悪魔言詞録
57.御魂 ニギミタマ
ああ、どうも。召喚主さん。お世話さまです。
そうだ。そういや、謝らなきゃならないことがありました。
何のことかって、そりゃあ、うちの種族、御魂の中でも一番、気性の荒いあいつ。アラミタマのことですよ。
召喚主さんも苦労したでしょう。あいつ、面倒くさいやつだからなあ。正直、いろいろとご迷惑をおかけしたと思いますんで、御魂で一番、穏健派の私が謝っておきたいと思うんですよ。
何、穏健派には見えない? アナライズを持ってるし、4種の高揚を持ってるぐらいだから、怒ったら怖いタイプだろう?
まあまあ、落ち着いてくださいよ。確かにアナライズで相手の弱点は読めますし、そこからの高揚攻撃は恐ろしいものです。でもね。私には肝心の攻撃魔法がないんですよ。
ようするに、仮に怒りを覚えることがあっても、殴る術がない。いや、直接攻撃はできるんですが、これら4つの高揚能力をうまく相手にぶつける方法がないんです。
そういう意味でも、直接殴ることに特化したアラミタマとは、正反対の能力を持っていると自分でも思います。でも、その代わり、合体にはなかなかいい素材なんじゃないかなって思いますよ。取りあえず一芸に秀でた仲魔にあてがって、高揚能力をつければ魔法の底上げにはなりますし、そうでない仲魔でも、合体して次の仲魔になったときに継承された高揚が生きることがありますからね。
そういうことなので、まあ、アラミタマとはいろいろとありますが、決してあいつのことは嫌いじゃないんですよ。むしろ、私とあいつだからうまくやれる、うまく補い合える関係になれるかなって思ってるんです。
だから、まあ、ここで一つ、私があいつの尻拭いをしておくのもいいかなと、そう思っているわけですよ。そういうわけですみませんでしたね。あいつのことは大目に見てやってください。
いや、アラミタマは十分、戦いでも合体でも役に立ってくれたって?
はあ。そうですか。なんか、形無しだなあ……。