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悪魔言詞録

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56.堕天使 エリゴール



 ヒヒーン! ヒヒーン!

 ふむ。氷川さまを裏切った私の判断。どうやら誤ってはいなかったようです。

 ヒヒーン! ヒヒーン!

 その卓越した戦いのセンス。われわれ仲魔を統率するカリスマ。わが召喚主と仰ぐのに、あなたは十分な力を持っていますよ。

 ヒヒーン! ヒヒーン!

 まあ、思想的には、正直、相容れぬものがありますが、ともに行動をしていくうちに分かってくることもあるかもしれません。この点については、今は、様子を見ておきましょうか。

 ヒヒーン! ヒヒーン!

 はい? 乗っている馬はもうちょっと静かにできないのか、ですか? いや、さすがにわれわれは意思疎通が取れているわけではないので、静かにさせることは難しいですね。無論、人馬一体な動きはしてみせますけどね。

 ヒヒーン! ヒヒーン!

 しかし、相手に気づかれず戦闘に持ち込むときとかに苦労するだろうって? いや、そういうときは大丈夫ですよ。こいつも戦闘のエキスパートなんで、そういうときはちゃんと空気を読んで、静かにしてくれます。

 ヒヒーン! ヒヒーン!

 あと、エサ代もいりませんよ。私のほうでまかないますので。ただし、何を食べさせてるかは秘密です。ちなみににんじんではありませんよ。

 ヒヒーン! ヒヒーン!

 ああ、このやりですか。なかなかいいやりでしょう。こういう馬に乗って、いかにも騎士っていう格好をしていると、結構、人気が出るかなあと思っているんですけどね。

 ヒヒーン! ヒヒーン!

 でも、中ボスとして何回か、召喚主さんと戦っちゃったから駄目かな。騎士なのに悪役なのは、ちょっとまずいかもしれないからなあ。

 ヒヒーン! ヒヒーン!

 なんか、最初と口調が変わってるけど、そういうキャラでいいのかって? 実は根はこういうやつなんですよ。ほら、ずっと氷川さまの下にいたから、仕方なくあんな口調でしたけどね。

 ヒヒーン! ヒヒーン!

 というわけで、こんなやつですけど、よろしくお願いいたしますよ、召喚主さん。

 ヒヒーン! ヒヒーン!


作品名:悪魔言詞録 作家名:六色塔