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悪魔言詞録

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53.妖精 ケルピー



 水の精なのに、なんで馬の格好してんのかって?

 召喚主さん、それがさ、俺もよく分からねえんだ。水属性って女性が多いはずだし、俺も美少女の姿で人間の前に現れたこと、結構、あるんだけど、なぜか馬なんだよな。
 しかも後ろ足がないって、幽霊みたいなものと思われてんのかな。とにかく、俺もよく分からねえんだ。

 うん。まあ、確かに馬と水、あんまり関係ないよな。馬も生き物だから、喉が渇いたら水辺で水くらい飲むだろうけど、それを加味しても、正直、そこまで関連性は高くないよなあ。

 え? 他の水属性とはうまくやってんのかって? ああ、ミズチあたりは仲が良いよ。でも、かわいい女の子の知り合いはいないなあ。やっぱ馬だとダメなのかも分からんね。

 ……なあ、召喚主さん。あんたは、モテそうだよな。人間だけじゃなく、悪魔からも評判がいいんじゃないのか? 引き連れている仲魔の中にも、隠れて恋慕っている娘がいたりするんだろう? いいなあ、うらやましいなあ。一体、どうやってものにしてんだ? いや、聞いたところで教えてくれるわけねえか。この手の事柄ってのは、自然とにじみ出てくるもんだっていうしな。

 しかし、こうやって考えてみると、多分、俺もしがないケルピーの一人としてこの世に生きて、いつの間にか世を去っているんだろうなあ。え? ケルピーに寿命なんかあるのかって? 人間よりははるかに長いけど。まあ、長くても、結局限りがあるから、他の生き物とそんな変わらんよね。
 だから、結局ケルピーの中にも、長い人生を無駄に使っちまうやつが出てくる。多分、俺もそうなんだろう。人間にだっているだろう、そんなやつ。もちろんそいつらを全否定したくはないけどさ、いざ自分がそうですってなると、やっぱ思うところがいろいろとあるよな。

 召喚主さんにさ、こんなことを理解してくれとは言わないけど、そういう日陰でうじうじしてるやつを使役することもあるってのは、頭の片隅に入れといてほしいな。


作品名:悪魔言詞録 作家名:六色塔