悪魔言詞録
45.魔獣 バイブ・カハ
「カアー」
「カア〜」
「カァー」
「ほんと、どういう了見だろうか。この広大な空で私たちと、一戦交えようだなんて。カアー」
「そうですわ。仮りそめにも烏の姿になれど、私たちは戦をつかさどる女神ですのに。カア〜」
「話をしているだけ無駄だよ。さっさと実力を見せ付け、えさにして食べちゃおうよ。カァー」
「スッ、スススッ」
「スッ、フワリッ」
「スッ、シュバッ」
「フフフ。高所での戦いに全く慣れていないようだな。力がまるで入ってない動きだ。カアー」
「ウフフ。私たちを相手にしたのが運の尽き。そんな攻撃では傷もつけられまぜんわ。カア〜」
「クフフ。地を足につけているおまえと、空中にいる私たちとでは動きは段違いだよ。カァー」
「カアー。さあ、こちらの反撃だ。骨までついばんでやる!」
「カア〜。ええ、次は、大量に針を食らってもらいますわ!」
「カァー。じゃ、最期は、羽ばたいてふっ飛ばしちゃうよ!」
「どうにか生き残ったようだけど、もう虫の息だ。次のターン、持ちこたえられるかな。カアー」
「ここまで持ちこたえるとは、なかなかやりますわ。ま、時間の問題だと思いますけど。カア〜」
「なかなかがんばるなあ。早く楽になっちゃおうよ。死肉を頬張るの楽しみだなんだよ。カァー」
「カアー」
「カア〜」
「カァー」
「カアー。お、なんか始めたな。だが所詮、焼け石に水だろうがな」
「カア〜。ん、何か始めましたわ。まあ、無駄なことでしょうけど」
「カァー。あ、変なこと始めたよ。でも、勝ちは揺るがないもんね」
「「「ギギギャッァー〜!!!!!!」」」
「うそだろ。おまえ、マハジオ持ってんのか。カアー」
「ずるいですわ。私たちをたばかるだなんて。カア〜」
「イタタタタタ。いいから早く撤退しようよ。カァー」
「ちきしょー。今度会ったら、絶対にやっつけてやるぞー」
「悔しいですわ。次は絶対に、雪辱を果たしてみせます〜」
「元人間がいじめたって、皆に言いふらしてやるからなァ」