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悪魔言詞録

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39.鬼女 ターラカ



 ん? なんだい? こっちをジロジロと見ちゃって。

 この姿が珍しいのかい。でも、インドじゃあ多腕多頭なんて日常茶飯事だよ。あたしなんかにビクビクしてちゃあ、先が思いやられるね。そんなんじゃ、異形の神々どもは従えられやしないよ。
 それとも何かい、もしかしてあたしのことが気になるっていうのかい? あたしは気に入った男は襲っちまうが、襲われることはあんまないんだがね。もしそうだっていうんなら、襲いかかってくれてもあたしゃ構わないよ。

 何? そうじゃない? なんでいつもステップを踏んでいるのか? もしかして、アイドルでも目指していて、ダンスの練習でもしているのかって?

 何を言いだすのかと思ったら、そんなことかい。あたしらはいつ敵に襲われるか分からない身の上なんだ。常に周囲に気を配って戦闘に入れるよう、態勢を整えておくのは当然のことだろう。それがあたしにとってのこの動きなんだよ。
 それにだ、あたしがアイドルなんてできるわけないだろう? こんな身なりな上、もはや清純さのかけらもない。そもそも、どこにドクロの顔を持ったアイドルがいるっていうんだい。こんなのがアイドルなんて、ばかなことを言うんじゃないよ。

 うん? でも、VTuberにはバ美肉おじさんだっているし、いっそ多腕多頭のアイドルやタレント、配信者っていうのも面白いじゃないかって? それにバーチャルなら、2本の腕と一つの顔にだってなれる?

 ふーむ。世の中はそんなことになっているのかい。首を切られてすげ替えたやつならあたしらの時代にもいたけど、姿形だけじゃなくて性別も変えちまうやつがいるなんて、とんでもないことになってるんだな。
 しかし、せっかくのありがたい申し出だが、あたしはこのままでいいや。チヤホヤされたいなんて全然思わないし、いい男は襲って、嫌いなやつはぶちのめす。このほうがシンプルで楽しいよ。

 ……でも、普通の女子になって普通に恋をする、そんなのも、まあ、悪くはないかもな。


作品名:悪魔言詞録 作家名:六色塔