悪魔言詞録
24.魔獣 イヌガミ
ガブリッ! エへへ。
ガブッ!ガブッ! エへへへへ。
へ? なんで、敵にかみつくたびにニヤニヤしてるんだって?
ああ、いや、なんといいますか。これ、あんまり話したくないんですよね。なんというか、私の製造法とかそんな話をしなくちゃいけないし。
……いいんですか。はあ。ちょうど時間もあるし、話を聞こうじゃないかって? 分かりました。では、お話しいたしましょうか。
まず、われわれイヌガミを作る方法なんですが、諸説ありまして。その中の一説、というか私の場合ですが、犬を首だけ出して地中に埋めるんですよ。で、届きそうで届かない位置にエサを置くんです。当然埋められた犬は、そのエサに食いつこうとしますが、あと少しというところで届かない。こうして、飢え死にする寸前、エサがほしくてたまらない状態で犬は首を切られるんです。
これから先も諸説あるんですが、私の場合は、往来に埋められて人に踏まれましたね。これは、さらに怒りを増長させる効果があるようです。まあ、やられる立場にしてみたらたまったもんじゃありませんけどね。
こうして強烈な負のオーラをまとって完成したのが私たちイヌガミなのですが、この作り方だとどうしても生前、食べることができなかったエサに未練が残ってしまうんですよ。だから私たちはついつい、食い意地が張ってしまって、かみつくという行為をしてしまうんです。もう悪魔なので、エネルギーは別の形で摂取してますが、やはり食べることの疑似行為であるかみつきは、楽しいこともあってやめられないんですよ。
はい? かみつくのもいいけど、回復やファイアブレスも必要なときにはしてくれ?
そりゃあ、もちろんですよ。ちゃんと召喚主の言うことは聞きますよ。でも、おいしそうな敵に出あったら、かぶりつくのはいいでしょう? まるまると太ったイソラとか、ガブリとやりてえなあ……。
え? イソラは駄目? あいつは絶対にファイアブレス?
……そうですか。分かりました。