悪魔言詞録
5.妖魔 ディース
あら、あなた。もしかして、私を誘ってますの?
こんな丸はげで紋様入りのお姉さんに手を出そうなんて、あなた、少々変わってますのね。それとも、からかっているのかしら。後者だったら……、容赦しませんわ。炎の魔法で、骨まで焼き尽くしてよ。
え? からかってなんかない? ぜひともわたくしが必要なんだ?
あら、なかなかうれしいこと言ってくれますわね。とうとうわたくしにも、春がやってきたのかしら。寒い地方でも、待ち続ければ暖かさはやってくるものですわ。
いや、申し訳ないけど、そういう意味じゃない? わたくしの持つ魔法がこれから先、重要なんだ?
ええ、はい。うん、なるほど。
じゃあ、緑色のキーラを取り戻すために、星に顔がついたアイツをやっつけたいと。で、アイツの呪いから身を守るために、わたくしの魔法が必要なわけですのね。もう、そうならそうと早く言ってくださって。ああ、恥ずかしい。すっかり勘違いして、舞い上がってしまいましたわ。
でも、そうですわね。ここだけの話、同じ氷川様の下にはいるけれど、実はわたくし、アイツが大嫌いですの。髪とひげが不潔っぽくて、性格も何かいやみったらしいし。
わかりましたわ。あなた、結構かわいいし、協力いたします。わたくしが、呪殺から守りますから、アイツをやっつけてくださいな。
……そうですわね。つかぬこと聞きますが、キーラを取り戻したら、わたくしたちの関係は終わりですの? わたくし、合体の材料にされてしまうのですか?
そのときの活躍次第、ですのね。
まあ、そうでしょうね。でも、自分で言うのも何ですが、もう少しだけ長くそばに置いといてくれたら、たくさん恩返しをしてあげられましてよ。そのときはこんな丸はげじゃなくて、きちんとしたりりしい姿でご一緒できるのですが。
えぇ? じゃあ、期待しないで待ってるって?
あっ、さては、信じていませんわね。あなた、さっき口説かなかったこと、絶対に後悔させてみせますわよっ。



