悪魔言詞録
157.鬼神 ビシャモンテン
召喚主さんは、芸能界には興味はありますか?
なんでいきなり、芸能の話なんて始めるんだって? ええ。実はあの世界について思うことがあるんですよ。
例えば、コメディアンとして世に出た方がいたとします。ネタが面白い、フレーズが流行した、リアクションがいい。いろいろと売れる要素はありますが、まあ、とにかく売れて世に出たとしましょう。
でもこういった方々って、なぜか売れたら別のことを始めるんですよね。きっちりと作り込まれたネタで売れたはずなのに、MCとして進行の仕事をしているとか、リアクションが面白いのに、ひな壇でガヤばかり言ってるとか。まあ、これらはまだ関連がありそうですが、中には音楽や執筆の活動とかを始める方もいたりします。
お笑いの方だけでなく、ミュージシャンや俳優さん、声優さんやVTuberさんなんかにもいますよね。一つを突き詰めるのではなく、横にスライドして多角的に展開をしていく方々。
もちろん、このことを悪く言うつもりはありません。みなさん才能にあふれる方々なんでしょうし、気分転換にちょっと違うことをやってみて、そっちでも利益が出るならそれに越したことはありません。全部本気でやってるよって方ももちろん素晴らしいと思います。
ただね。一言だけ、私は言いたいんですよ。
テレビやネットがなかった時代に、四天王、十二天、七福神という複数のユニットを掛け持ちで活動していて、なおかつソロでも活躍し、さらに多聞天、毘沙門天、その他、数々の名義を持ちながら、軍神として聖徳太子や上杉謙信に崇拝され、戦だけじゃなく立身出世や商売繁盛、健康長寿といった諸々の利益を与えているとされている私だって、多彩な才能をフルに活用して活躍している存在だと思うんですよ。
ですから今後、芸能の神の仕事もしてみようかと思うんですが、召喚主さんはどう思います?
え、そこはアメノウズメさんの領分だからやめとけ?
ああ、そうでした。じゃ、やめときます。