悪魔言詞録
154.夜魔 ジャアクフロスト
どうやって弱点の火を克服したのか知りたいのかホ?
うーん。オイラの強さの秘密を教えるとまねされちゃうからあんまり教えたくないんだホ。でも、あんたはオイラが弱かった頃から知ってるぐらいの古い付き合いだし、今はオイラの主の立場だから仕方がない、教えることにするホ。
オイラは、強くなるためにカブキチョウという場所に入り浸っていたホ。それはあんたも知っているはずだホ。そんな足繁く通っていたその街に、素晴らしいものがあるということにある日、気が付いたんだホ。
そいつは人間が死んだあとに入るひつぎみたいな形をしていて、中に入ると青い光が出てくるんだホ。これがすごい暑いんだけど、慣れないうちはどっかからそよそよと心地よい風も送ってくれるんだホ。
これは火属性の鍛錬になると思ったオイラは、こまめに時間を取ってそこに通い詰めたんだホ。そうしたら案の定、火属性に対する耐性が備わっていたんだホー。でも、残念なことに自慢の白い肌がこーんな真っ黒になってしまったんだホ。
でも、これは仕方がないホ。大悪魔になるための小さな犠牲だホ。何かを得るためには何かを失わなければならない、それがこの世界の悲しいおきてだホ。
他にもあのカブキチョウという街はいろいろなものがあったホ。あの街でいいことも悪いことも学んできたホ。いわゆる酸いも甘いもかみ分けてきたってことだホー。あと、命を狙われる危険もあったホ。とっても物騒な街だし、仕方がないホ。そうして、怖い人や悪魔たちと命のやり取りを続けているうちに、自分でも驚くほど打たれ強くなったし、正義の力である破魔や恨み節の呪殺なんかにも対応できるようになったんだホ。
だから、あんたも強くなりたかったらカブキチョウに行くのをおすすめするホ。ああ、あそこで会ったからもう行ってるのかホ。
でも、普通はあそこにいくと全てを奪われるだけって話だホ。ということは、オイラたち、実はすげえってことだホー。