悪魔言詞録
153.地母神 カーリー
殴れ! 斬れ! 殺せ! ぶち殺せ!
よーし、よくヤった。こっちは私に任せとけ。
おい、そっちにもいたぞ! こっちがが片付くまでに、ヤッちまえ!
殺せ! 殺せ! 頭をかち割れ! 首をはねろ! 臓物をもぎ取れ!
ふう。取りあえずはやっつけたな。しかし、まだまだ足りぬな……。
何がって? 召喚主よ。そんなことも分からんのか。血だ、血が足りんのだよ。この私の中のたぎる血を抑えられるのは、他の者が苦しみの果てに流した大量の血でしかないのだ。
ああ、血が見たい。血を流したい。突き刺し、切り裂き、引きちぎり、殴打して、これ以上ない苦痛を味わわせながら、殺されるところがみたい……。
ん、なんだ? 召喚主、なんか用か? お取り込み中、申し訳ないけれど、他の仲魔が引いてるからもう少し独り言は小さい声でやってくれないか?
何を言っている? これは断じて独り言ではない。ともに戦う仲魔たちを勇気づけておるのだ。戦いとは命のやり取り。相手もそれこそ必死で向かってくる。それに打ち勝つにはまず言葉から優位に立つ必要があるのだ。恐ろしい言葉が飛んでくれば、それだけで相手の陣営の気の小さいものは怖気づくであろう。そういった小さなほころびから、連携が乱れていくこともしばしばあるのだから。
それに、私はそうやって怖気づいたやつを切り刻んで血を見るのが何よりも好きでなあ。あの死を覚悟した真っ青な顔。手足が震えて何もできなくなっているさま。絶望に打ちひしがれる心。どうやってぶっ殺してやろうかと、思わず気が逸ってしまうんだ。ヒッヒッヒ。
そういうことを口走るから、味方である仲魔たちも怖くて手が縮んでしまっている? なので、やはりちょっと慎んでくれないか?
ええい。うるさいのう。ならば、私を恐れぬ仲魔を連れてくればいいではないか。そうだ、私の旦那を喚び出してこい。あいつならば私を怖がることはないだろうし、いざとなって大地が割れそうになっても踏まれてくれるだろうからな。