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悪魔言詞録

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112.鬼神 ジコクテン



 最近、有名になるということについて考えていましてね。

 私たち四天王にも、やっぱり一人だけ、飛び抜けて有名なやつがいるんです。まあ、私を含む他の3人も別に無名ってわけではないんですが。どうしてもそいつだけが脚光を浴びていまして。

 でも、当たり前かもしれませんが、それをねたんだり、不満に思うということはないんです。むしろ、そのことについて考えることでいろいろなことが分かってきたんです。

 やっぱり、有名になるとその分、より大きなものとか多大な期待とかいったものが求められるわけで、彼もやはりそういう部分で苦労しているようなんです。
 そういう意味では、それほど有名ではない私たち、具体的にいうと私とコウモクテンとゾウチョウテンですね、は気楽なもんです。各々の方位を守護さえしていれば良いわけですし、それは今までもずっと行ってきたことなわけですから、精神的にはそれほど重荷ではありません。

 ただ、その一方で、やはりうらやましく思うというか、彼のような脚光を浴びる身の上になれないことに、一抹のさみしさを覚えることも時としてあるわけです。彼のような立場にはどうあっても私はなれない、それに対して、どう向き合うかという問題が私たち3人にのしかかってきている。他の二人がどう考えているかは分かりませんが。

 でも考えた結果、私は気付いたんです。逆に言えば彼は、私たち3人の立場に立つことはできないんだということに。メジャーになれない自分、そんな立場には恐らく彼は立てないんだということに。

 そう考えてみると、もしかしたら彼のほうが私たちの立場になりたがっているのかもしれないと思ったんです。そう考えれば、結局は私の願望もただのないものねだりなのかもしれません。

 それならば、私は私にできることをするのみです。誰が民草に愛されようと、誰に従おうと、打倒すべき敵が誰だろうと、私は私の力を尽くす、それだけをしていけばいいと思うのです。


作品名:悪魔言詞録 作家名:六色塔