悪魔言詞録
110.妖魔 イフリート
あ、召喚主さん。ちょっと困ってることがあるんです。相談に乗ってくれないっすかね。
あ、ありがとうございます。話っていうのは他でもありません、最近の俺たち、イフリートのことについてなんです。
俺たちは、いわゆる煙の立たない炎から誕生したんですけど、ちょっと最近、火の魔神としてのイメージが定着しすぎじゃないかなって思うんですよ。
もちろん、炎から誕生したわけですから関連が深いのは認めますよ。でも、決して炎専門の魔神ってわけじゃないんすよ。もう少し幅の広い分野を手掛けているわけで……、もうちょっとどうにかならないかな、というか、召喚主さんのお力でこのイメージを変えられないかなって思ってるんです。
別に炎の魔神でもいいじゃないか? 誤解させておくなら誤解させておけって? いや、そうもいかないんですよ。だって、なんか炎の魔神って暑苦しくて、汗臭いイメージだし。サラマンダーさんに代わって四大精霊の一角を担えるようになったのはうれしいけども、もう少しイメージの向上を図りたいんですよね。ほら、同じ四大精霊だと風を担うシルフや水のウンディーネは、やっぱり女性型の精霊だけあって、イメージもいいでしょう? だから俺も、爽やかな炎のイケメンとして活躍したいんですよね。
え? 土の精霊はどうなんだって? まあ、あそこはノームさんとコボルトさんがしのぎを削っているところですが、あそこもあまりいいイメージはないですね。なんというか、陰キャっぽさが強い感じで。
いや、人のことはいいんですよ。俺のことです。せっかく四大精霊に選ばれたりするようになったんだし、せっかくだからいいイメージで売っていきたいじゃないですか。だから召喚主さん、ここでちょっと俺のことをフィーチャーしてくださいよ。
でも、この世界では火に宿る精霊はフレイミーズだから、難しい? いやいや、そんなことを言わずに、仲魔の出世のチャンスだと思って、一つお願いしますよぉー。