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悪魔言詞録

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131.軍神 ガネーシャ



 どうも、よろしくお願いします。

 なんか元気がないみたいだって? いつもこんな感じですよ。ああ、でも、過去にいろいろとあったからっていうのはちょっとあるかもしれませんけれど。

 何があったのか教えてほしい? でも、自分からはあまり話したくないので、さっきまで話してた私の母(パールバティ)に聞いてみてくださいよ。
 いや、つらいかもしれないけれど、こういうことは自分の頭の中でまとめて自分の口から話したほうがいいと思う? そういうもんですかね。まあ、話すのは別に構いませんけど。

 私、生まれがちょっと特殊でして母のあかから生まれたんです。まあ、わりとよく聞く話といえばそうですけど、でもあかから作られたって……。なんか自分が不浄なもののように感じてしまうんですよね。

 その後、私は母の入浴時の番をしていたら、実の父に首をはねられてしまったんです。まあ、この件は私が父の顔をよく知らなかったのも悪いんですけど、仮にも軍神を務めるものがさっくりと首をはねられるなんて恥ずかしいことこの上ありませんよ。

 で、その後私を息子だと気づいた父は、ほうぼうを探して首を取ってきたんです。でもそれが象の首。実の父に、「おまえ、これから象の顔で生きていけ」って言われたようなものですよ。まあ、この象顔が功を奏したのかはわかりませんが、私は愛される神にはなりました。でもね。もうちょっとちゃんと、両親に愛されたかったなあと思っているんです。

 でも、お父さんはちゃんと首を探しに行ってくれたし、お母さんだって入浴時の番をさせるくらい息子を信頼していたんじゃないかって?

 ……まあ、そうかもしれません。でも、あの人たちそもそも破天荒すぎるんですよ。召喚主さんもさっき、いきなり目の前で自分の首を切って血を飲めとか母に言われてたでしょう。ああいう突拍子もないことをさも当然のようにやるとこなんですよ。ほんと、なんとかしたほうがいいと思うんですよねえ……。


作品名:悪魔言詞録 作家名:六色塔