悪魔言詞録
128.妖精 ティターニア
ああ、暇。本当に暇。いかんともしがたく暇。
ねえ、あんた。何かすることはないの? あんた、ヨヨギ公園の私たちの騒ぎもあっという間に沈めちゃうし、それなのにあたしを仲魔にして呼び出すし、そのくせあたしはメンバーに入れたまま、退屈な戦闘ばかりを繰り返しているじゃない。もう少しあたしを楽しませようという気はないの? あたしに生と死のはざまを行き来するような、ドキドキした気持ちになってもらおうなんて気は一切ないのかしら?
そんなにドキドキしたいのなら、ストックにでも入って旦那とでも一緒にいればいいって? 何言ってんの。あいつなんてもう一番ときめかない男の代表格よ。あの程度の小さな力で妖精の世界を守るのが精一杯。そんな妖精王があたしを満足させることができるか否かなんて、火を見るより明らかでしょう?
いい、あたしはね。この世界を創造しようというあんたに期待してるの。あんたなら、今まで味わったことのない刺激を与えてくれる。今までにない感情のたかぶりをあたしに与えてくれるって信じているの。まあ、それでもあの人との婚姻関係は解消できないけどね。あんたは言うならば、遊び相手。
でも、逆に言えば遊び相手なんだからしっかり私を満足させてくれなきゃ。この地で新しい世界を作って王となってのさばるぐらいのことをしてくれなきゃ、あたしはいっこうに満足できないわ。
そうなったら、まあ、妖精界の女王である私と一夜をともにしてもいいかもしれないわ。もちろん旦那には内緒だけれどもね。それぐらいのことをしなければ、あんたは私に指一本、触れられないというわけよ。まあ、召喚された以上、命令は聞いてあげるけどね。
じゃあ、命令する? ええ、何でもしてちょうだい。仲魔にしたい悪魔が数匹いるから、しばらく退屈な戦闘に付き合ってくれ?
だから言ったでしょう? あたし、今、暇なんだって。そんな扱いをしていると、世界を造り出しても相手してあげないからね!