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悪魔言詞録

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102.神獣 ヤタガラス



 実は、この国で生活していて、正直ホッとしている部分があるんですよ。

 なぜかっていうとですね。例えば西洋の国だと、われわれカラスっていうのはどうも悪役にされてしまうことが多いんですね。やれ気味が悪いから魔女の使いにしちゃえだとか、色が黒いせいで夜の象徴にされたりとかで、皆、怖がっちゃってそれほど好かれないんですよ。うかうかしてると石持て追われちゃったりしてね。文字通り命取りになっちゃうこともあるんです。

 その点、アジアの国々、特に日本という国は違いますよね。なにせ神の使いとして崇めてくれますし、ええっと、確かサッカーっていうんですか、スポーツ競技の協会のエンブレムにもさせてもらえるほどの優遇っぷりです。こんなにありがたいことはありませんよ。

 え、確かに神話時代の頃は、結構いろいろな国でも崇められていた。けれども、最近はカラスが農作物を漁ったり、人間の捨てたゴミを漁ったりするんで、日本だけでなく、どこの国でも今は嫌われている? ぼ、僕ら、そんなことになっているんですか?

 ほ、ほら、でも、僕の場合はちょっと普通のカラスと違いますから、大丈夫ですよ。なんせ、三本足。他のカラスよりも一本、足が多いんですよ。これは、どこの国にもいない気もするし、ちょっと霊験あらたかな気がするでしょう。実際、かつては神さまを導く役割を果たしたわけですし。だから、きっと他のカラスは大変かもしれませんが、僕は大丈夫ですよ。

 ……でも、3本目の足ってよく男性器の比喩に用いられるし、あんまりいいイメージがない?

 そんなあ、人間という生き物はどうしてすぐそっち方面で考えるんですか。たしかにわれわれ生き物にとって種の存続は重大事項です。しかし、だとしてもです。私、ヤタガラスの数少ないトレードマークを生殖器として扱うなんて、そんなひどいことをしなくてもいいじゃないですか。

 はあ、この国も住みづらくなったら、どこかに出ていこうかなぁ


作品名:悪魔言詞録 作家名:六色塔