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悪魔言詞録

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117.夜魔 ロア



 自分で言うのもなんですけど、結構僕、見た目のインパクトはあると思っているんです。

 まず不気味なドクロ。これだけでもかなりのインパクトなのに、そこにヘビが絡みついているんです。とぐろを巻くように、両目をぬるりとすり抜けて。
 こういうの、すごく気味が悪いでしょうし、苦手な人は本当に駄目だと思うんですよ。しゃれこうべはいわゆる死の象徴ですし、ヘビだって不気味で危険な動物の代表格です。そんな二つの取り合わせ。僕自身の実力は置いておくとしても、外見はもっと注目されていいと常々思っているんですよ。

 でもね、なかなかそうもいかないんです。召喚主さんはまだ喚び出していないようなので、あまり詳細は語らないことにしますが、私よりよっぽど見た目的にインパクトの強い悪魔がいるんです。彼女を一度見てしまうと、もう私なんて霞んでしまうぐらいすごい見た目なんです。

 まず、ヘビが絡みついているというのが私ともろにかぶってるんです。いや、格下の私のほうがかぶってると言ったほうがいいかもしれません。しかも、あっちは絡みついているのが妖艶な裸の女性なんです。

 こんなもん、勝てるわけないでしょう。細長いヘビが全裸の女性の局部をぎりぎりで隠している、そんな姿なんですよ。そんなえちえちな格好をされたら、健全な男子、まあ、召喚主さんは半分悪魔ですけど、なら、ついつい目で追ってしまうに決まっているじゃないですか。しかも彼女、私よりもはるかに強いときているんです。もう形無しですよ。どうしようもないったらありゃしない。

 まあ、今が女性優遇の時代ってのはあると思います。一昔前は戦いなんてムキムキの汗臭い男がやるもので、女性は後ろで回復などのサポートをやるという風潮がありましたが、今はそんなこともありません。われわれは悪魔ですから、男女の別もそんなにありませんし。

 でも、ここまで醜いものを追いやらなくてもいいじゃないか、僕はそう思うんですよ。


作品名:悪魔言詞録 作家名:六色塔