悪魔言詞録
177.大天使 ラファエル
旅人の守護天使として言わせてもらえれば、旅っていうものは本当にいいものです。
まず、非日常が体験できます。普段と異なる文化や風習を肌で味わえるというのは、あなたに貴重な知識を授けてくれることでしょう。
あなたはそこで、自身の価値観の広がりを実感すると思います。物事を偏見で見ていたり、固定観念にとらわれたりといったことを解消してくれるというわけです。
さらには、視野が広がります。新しい視点で物事を見られるようになり、こんな考え方や感じ方もあるな、こういう発想も面白いかもなといった、今までと違う世界が見えてくるでしょう。
また、別の角度から見てみると、旅は人の優しさに触れられる大きな機会だと思います。見ず知らずの赤の他人が、一介の旅人である自分に優しくしてくれる。それは人生に希望を抱かせ、世の中も悪いものではないと思わせるのに十分なイベントです。そして、それらは人を捨て鉢な諦めから解き放ち、新たな活力を与えてくれることでしょう。
まだ見ぬ人に出会える、それ自体も大きな利点だと思います。気の合う人というのは、狭い世界ではなかなか会うことができないものです。旅という形で人とのめぐり合いが増えれば、無二の親友を得る可能性もそれだけ広がっていくものなのです。
ここまで旅の長所を挙げてきましたが、もちろん旅には短所もあります。新しい場所に赴くのは不安を伴いますし、そこで出会う人が優しいとは限りません。それどころか、場合によっては盗難の可能性や、死の危険を感じることもあるかもしれません。
しかし、これらも自身の成長への糧と考えれば長所になり得ます。これらを克服したとき、あなたはより大きくなっている自分に気がつくことでしょう。
と、ここまで話してきて思ったのですが、この受胎したトウキョウを旅して生き抜いてきたのが他ならぬ召喚主さんなんですよね。これは、神父にラテン語を教えるようなものでした。あいすみません。