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悪魔言詞録

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169.魔人 トランペッター



 折り入って相談があるんだけど、召喚主さんは楽器をたしなんでいるかい?

 全然できない? 学校で習ったリコーダーやオルガンもあやしいくらい? そっか、いくら戦うことには秀でていても、こっちの方面は難しいか。

 いや、実はね。トランペットにもちょっと飽きてきたんで、違う楽器を練習しようと思っているんだ。

 だって、考えても見てくれ。この世の終末という1回だけの大イベントのために、こっちは延々とトランペットの練習をしているんだぜ。そりゃ、本番で絶対に失敗はできないのはわかっているけどさ。その日が来るまでの長い歳月、ずっと練習をしているこっちの身にもなってくれよ。

 しかも、普通の練習じゃないんだ。間違えて音を出しちゃったら終末が始まってしまうから、絶対に音を出さずに練習を続けているんだよ。でも、音の出ない楽器を演奏するつまらなさは、楽器が不得手な召喚主さんもわかってくれるだろ?

 でもさ、先日、よくよく考えたらトランペット以外なら音を出してもいいってことに気付いたんだ。終末に吹くのはあくまでトランペットだからね。それ以外の楽器なら音が出ても終末は始まらない。チェロ、ティンパニ、エレキギター、シタール、なんでもござれだ。シンセやサンプラーでテクノを奏でるDJ魔人ってのも面白いかもな。

 でも、これも一つ問題があってさ。違う楽器の演奏中に、この世の終末が来てトランペットを吹けなかったら大目玉を食らうんだ。勤務態度が悪いと言われてこの職をクビにされかねない。だから、そういうときのために、誰かが俺のトランペットをいざというときに代わって吹いてくれないかなと思っているんだよ。

 なあ、召喚主さんの知り合いに楽器に長けたやつはいないか? 管楽器、しかもトランペットならなおいいんだがね。

 真面目にトランペットに集中したほうがいいって? いや、魔人もワークライフバランスが重要な時代だし、息抜きぐらいさせてくれてもいいと思うんだがなあ。


作品名:悪魔言詞録 作家名:六色塔