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狩沢さんと帝人のデート

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「とは言ってもね、いつもは渡草っちのワゴンに荷物積んで貰ってるんだけど

さすがに今日はずっと持ち歩いてたら疲れちゃって!お茶して休憩しよって思ってたの!

せっかくだから一緒にどう?」

思わず正臣のほうに顔を向けるが正臣はにっこり笑って狩沢さんの持つ紙袋に手をかけ

る。

「もちろんOKですよ!帝人も俺もちょうど今茶しようかって話になってたんで!」

「あ、別に荷物もちになって欲しいってことじゃないよ?さすがにそれは図々しいし。」

狩沢さんは袋に手をかけた正臣に驚いたようだったけれど、正臣はやや強引に

紙袋を狩沢さんの手から引き離す。

「何言ってるんですか。一緒にお茶してもらうんですから!これくらいはさせてください

よ!じゃあ帝人はこっちの袋な。」

正臣から慌てて袋を受け取る。こういう時自然と動けるところは、正直うらやましい。

帝人自身も狩沢さんの荷物を持ってあげようか迷っていたのだが・・・

そんな視線に気づいたのか気づいていないのか自然に狩沢さんから荷物を受け取ってしま

っていた。

「本当にありがとうね!あんまり歩くのも何だから、近くによく行く喫茶店あるんだけど

良かったらそこにしない?」

「あ、本当ですか?じゃあ行きましょう!」

ひょこひょこと歩き出す狩沢さんに続いて2人は池袋の裏路地へと入っていった。



「-------ほんとはね、メイド喫茶にしたかったんだけど、さすがに2人に悪いかなって

思って!」

真顔でそう切り出す狩沢さんに2人はあいまいに笑う。

「もしかしたらって頭の片隅には思ってたんで軽く覚悟はしてたんですけどね。

何かかえって気を使わせちゃって申し訳ないです。」

「ええ、覚悟してくれてたんだ。そっか〜。だったら猫耳メイド喫茶もえ!とか出来たの

かぁ」

「・・・あ、いや〜猫耳はちょっと俺も想定外だったかもです。」

ニコニコ楽しそうに話す狩沢さんに合わせて軽快に話し続ける正臣。

そんな正臣を見ながら帝人は少しだけ意外というか妙な違和感を感じていた。

・・・正臣、全然普通そうに見えるけど・・・狩沢さんに対してはいつもの女の子とか女

の人に対する対応と何か違うような・・・。何か・・・狩沢さんに対してちょっと遠慮し

てるっていうか・・・。

いつも撃沈してはいるが、正臣はめげずに街行く女性に声をかける。

その対象は同年代の女の子に限らず、年上の女性もそうで、正臣はそんな女性たちに

いつものようなおちゃらけた雰囲気で話しかけることがほとんどだった。

だが、今目の前で話す正臣から感じるそれは、年上の女性に対して持つある種の敬いに近い。

正臣が一目置いてるってことなのかな・・・。本当に狩沢さんって何者なんだろ・・・。

「・・・おい。おい。帝人?」

急に視界の外から正臣がぬっと顔を出してくる。

「何この子ったら。ぼーっとしちゃって俺の話まったく無視ですか?

ていうかお前狩沢さん見すぎ。凝視してたぞ。」

「え?あ、すいません!」

顔が熱くなるのを感じる。無意識にずっと見つめてしまっていたようだ。

変に思われたかなと狩沢さんの顔色をうかがう。

「んー?全然いいよ?減るもんじゃないし。てか竜ヶ峰君ってほんと真面目だよね!

紀田君も見習ったらいいのに。」

「狩沢さん!それは俺を軽くディスってますよ!俺だってそこそこは真面目なんです

よ!」

いつものように捲くし立てる正臣を見ながら帝人は

やっぱり気のせい・・・?特別狩沢さんに何かあるってわけじゃないのか。

と思い直した。

「紀田君が真面目かどうかは置いておいて」

「置くんですか!?」

「そういえば今日は杏里ちゃんはいないの?いつも三人一緒じゃない?」

「あぁ、杏里は今日はちょっと用事があったらしくって!」

「あぁ、そうなんだ。杏里ちゃん可愛いよね!私杏里ちゃんともお茶したいな!」

意味ありげにニヤニヤ笑う狩沢さんを見て正臣がすかさず突っ込みを入れる。

「まさかの杏里狙い!?目の前にこんな美少年がいるというのに!」

「正臣・・・。美とか自分で言うのはやめようよ・・・。」

狩沢さんは肯定も否定もせずに意味ありげにこちらに目配せする。

「だって杏里ちゃんって黒髪前髪ぱっつんメガネ美少女なんだよ?

あんな萌え要素の塊みたいな子お近づきになりたいよ!」

意気揚々とまくし立てる狩沢さんにやや圧倒されながらも正臣も調子を合わせる。

「さすが狩沢さん!杏里の素敵ビジュアルはやっぱ女の人からも羨望のまなざしを集める

んですね!

俺も帝人も杏里に夢中なんですよ!まさに三角関係!そう、恋のバミューダトライアング

ル!」

思わず正臣のほうを勢いよく振り向くがそれに気づく様子も無く一方的に語り続ける。

「え?やっぱり君たちってそういう関係?」

「それが聞いてくださいよ。俺が猛烈アプローチをしているというのに!

帝人は全然乗ってこないんですよ!」

「え!?紀田君って竜ヶ峰君狙いなの!?」

わずかに身を乗り出して目を輝かせる狩沢さんを見てすかさず2人で訂正を入れる。

「いえ!」「違います!そうじゃなくって」

「・・・なーんだ。普通の三角関係かー。」

「さっきからそのつもりで話してましたよ?ていうか今の一部分だけ切り取りましたよ

ね?狩沢さん。」

「いつも研ぎ澄ませてるからね!感覚を!」

「何を察知するんですか!いや、答えは聞いてないですけど!」

「あ、リュウタロスだね?」

突然わからない単語が飛び出して戸惑うがきっと狩沢さんのことだ、何かのアニメのキャ

ラに違いない。

正臣も分からなかったようで微妙な表情を浮かべている。

「・・・話がどんどん脱線してません?いや、帝人がね!こいつがもう照れ屋で奥手でそ

の上真面目でいや悪いことじゃないんですけどね!全然進展しないんですよ!関係が!」

話の中心がいつの間にか自分に摩り替わっている!?

「な、別に僕はそんなつもりじゃ!」

「じゃあどんなつもりなのかね帝人君!もっと杏里に対して『愛してるよ!大好きだよ!

ラブ!ラブ!』って言わないと伝わらないぞ!気持ちは!!」

「言ってない!今まで一回も言ってないからね!?」

2人のやりとりを見ていた狩沢さんがぱっと閃いた様に口を挟む。

「竜ヶ峰君は女の子にはあんまり興味ないとか!?」

「ほら帝人!狩沢さんが別の切り口から食いついちゃったぞ!」

「違います!!それこそ誤解ですから!!」

「え~~残念だなぁ。竜ヶ峰君ってちょっと雰囲気的に総受けいけると思ったんだけどな

ー。」

「そう・・・?」

またよく分からない単語が出てくるが正臣が慌てたように口を挟む。

「いいんだ帝人。分からなくていいんだ。いやむしろ分からないでくれ。お前の親友でい

させてくれ。」

「いいよね!男の子の友情って!」

にこにこ楽しそうに会話を続ける狩沢さんとややげんなりした様子の正臣。

「勘弁してくださいよ狩沢さん!・・・いやでも実際、もっと帝人のほうから積極的にい

けたらなーって思うんですよね。」
作品名:狩沢さんと帝人のデート 作家名:えも野