さみしさの後ろのほう 16~20
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変形するんじゃないかと不安になるぐらいうさぎのぬいぐるみは強く抱き締められていた。擦り剥いた膝は大きな絆創膏が貼られている。
「有難う御座いました。えっと、その、ぬいぐるみ」
相変わらず子供の表情の変化は乏しかったが、少し頬が赤かった。それだけでひとまずは大きな変化だろう。
「大事にします」
更に腕に力は込められて、もううさぎの首は落ちるんじゃないかと言う程だ。それを言うのも何だか気が引けたので、それぐらい喜んでくれているのだと前向きに解釈する事にする。
「だから、その、貴方も、」
少し迷ってから、真っ直ぐに俺を見上げて言った。
「大事にして下さいね?」
その表情は、――。
変形するんじゃないかと不安になるぐらいうさぎのぬいぐるみは強く抱き締められていた。擦り剥いた膝は大きな絆創膏が貼られている。
「有難う御座いました。えっと、その、ぬいぐるみ」
相変わらず子供の表情の変化は乏しかったが、少し頬が赤かった。それだけでひとまずは大きな変化だろう。
「大事にします」
更に腕に力は込められて、もううさぎの首は落ちるんじゃないかと言う程だ。それを言うのも何だか気が引けたので、それぐらい喜んでくれているのだと前向きに解釈する事にする。
「だから、その、貴方も、」
少し迷ってから、真っ直ぐに俺を見上げて言った。
「大事にして下さいね?」
その表情は、――。
作品名:さみしさの後ろのほう 16~20 作家名:志乃