D.C.IIIwith4.W.D.
「勿論、ユーリさんの身に何があっても、それを受け入れること。禁呪と呼ばれるような魔法を解いたんだもん。ユーリさんの身に何かあってもおかしくないよ。それに、今の話を聞いて確信した。本当に何かあるかもしれないって」
なんだ、俺が可憐を甘く見過ぎていたのか。
彼女はこんなにも強いじゃないか。
「だから安心して、ユーリさん。私は何があっても受け入れる。例え悲しい別れになったとしても」
「それは、俺が嫌だな」
「だったら、そうならないように頑張ればいいんだよ。ユーリさんは凄い魔術師なんだ、それくらいできるでしょ?」
彼女の言葉を受けて、俺の心の震えが止まる。
なんだ、俺の不安は杞憂なものだったのか。
ずっと言えずにいたことを後悔してしまった。
「ああ、そうだな」
俺は可憐の手を握り、大きく深呼吸。
「未来なんて、わからないんだ。何かあったら、その時考えればいい」
「そう、その意気だよ!」
もう大丈夫。この娘と一緒なら、なんだってできる。
そんな風に思うのだった。
「でも、いただけないなぁ」
「何がだ?」
「そんな大事な話をいの一番にしたのが、私じゃなくて立夏ちゃんだったってこと」
「そ、それは……」
「私の事、そんなに信用できなかった?」
「違う!俺はただ――」
「私の事を巻き込みたくなかった。そうでしょ?」
「……心を読むな」
「ごめんねでも、私はそれを早く知りたかったな。だって、私はユーリさんの奥さんなんだもん」
「……悪かった」
「分かればよろしい」
本当に、この娘には一生かかっても勝てない気がする。
俺は本当に、彼女のことを分かっていなかったんだな。
俺は深い反省の念と共に、彼女をこれまで以上に信じていこうと心に固く誓うのだった。
作品名:D.C.IIIwith4.W.D. 作家名:無未河 大智/TTjr