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ポケットいっぱいの花束を。

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「緊張……やぱ、最初は、緊張しかなかったですね」未央奈はそこで、思考を傾け、表情を毅然としたものへと変えた。「でも、乃木坂を続けていくうちに、だんだん前向きになっていけたというか、爪痕を残そうとか、家族やファンの皆さんにこれで恩返しができるとか、ポジティブな思考になってきて。最初がセンターっていうスタートでえ、私的にはほんとに、アイドルになりたくて乃木坂に入ったので、理想は、着実に、上に行けたらいいなっていう思い、だったんですけど、初めにそこを経験したからこそ、他の景色でえ、凄い学べる事も多いなって、気付ける事も出来たしい、改めてセンターっていう位置も大事なんだなって事にも、気付けて、そういう、前向きな自分になれたっていうのも、乃木坂に入ったからだし、不器用ながらに、頑張ってきたとは思います」
「そうか」今野義雄氏は微笑んだ。「成長したな」
「ありがとうございます」未央奈はくすっと笑った。
「未央奈ちゃん、ガチか。ガチで卒業するんだもんな……」夕はテンションを落として囁いた。
「卒業、するよ」未央奈は笑顔だった。
「結婚してくんねえかな」磯野は真顔でそう言った後で、磯野かつおにげんこつを食らった。「痛ってえな!」
「ナイス」今野義雄氏はにやけて言った。
「ナイスかつおさん」夕もそれに続いた。
「夕! てめえは卒業しちまうのかあ、ガチかあー」磯野はアホ面で言った。「て言っただけじゃねえか! 俺はプロポーズしてんだぞっ、どっちが愛情ぶけえと思ってんだ!」
「恋愛禁止だろ、バカ息子」磯野かつおはもう一つ、磯野にげんこつを落とした。磯野は「痛ってえなこらぁ!」と憤慨している。それを一瞥して、磯野かつおは申し訳なさそうに顔をしかめて言う。「俺らもヲタクとして、モー娘。に近かった身として、恋愛禁止は厳守しましたよ。こいつらにもしっかり守らせますから」
「大丈夫、かつおさん、俺がいる」夕ははりきった表情で磯野かつおに言った。
「俺もいますから」稲見も続いて言った。「あとは今野さん達に、というか、乃木坂に任せますよ。万が一恋愛が発覚しても、別に俺の気持ちは微動だにしないし」
「それはダメなんだよな」今野義雄氏は厳しい表情になる。「ファンが恋人だからさ、アイドルは。そういう思いでついてきてくれてるファンが大勢いるわけだから」
「等価交換か」夕は思い耽りながら言った。「乃木坂でいる為には、保留しとかなきゃいけない事なんかもあるんだな」
「ちっと待て!」磯野は大声で言った。「んじゃあ、卒業したら、できちまうじゃねえか、恋愛!」
「そーんな、すぐにどうって事ではなーいよー」未央奈は笑いながら言った。
「みさみさ、早かったぞ」ぼそり、と磯野は言った。
「乃木坂卒業してまで恋愛しないでくれとは言えないだろ……」夕は嫌そうに磯野を一瞥して言った。「考え方だよ。芸能界にいる限り、好きでいていいんだから。こんな素敵な事ないだろうに。芸能界を引退した後でも、その人の幸せを祈る事はできる」
「波平は独占欲があるね」稲見が言った。
 今野義雄氏と風秋遊、稲見恵、磯野かつおは別の話題に花を咲かせている。
「未央奈ちゃんが好きで好きでっ、仕方ねんだよう!」磯野は叫んだ。磯野かつおにげんこつを貰った。「痛ってえなさっきっから、そっちで喋ってろ馬鹿親父!」
「ふふ、ありがとう」未央奈は素敵な笑みを浮かべた。「嬉しいよ」
「未央奈ちゃんってさ、ディズニー・プリンセスみたいだよね」夕は柔らかい笑みで未央奈に微笑んだ。「こんな人いるんだな、本当に、て感じだよ」
「そ~お?」未央奈は上品に頬笑む。「ありがとう。ディズニー好きだから、嬉しいよ」
「み、未央奈ちゃんて、美しいよね」稲見はがたがたに緊張しながら、無表情で未央奈に言った。
「下手くそだな……。女の子誉めた事ないの?」夕は嫌そうに稲見を見る。「別に無理して順番守んなくていいんだぞ、イナッチ」
「上手い比喩はともかく、感情なら言える」稲見は眼鏡の位置を直して、未央奈を見つめる。「未央奈ちゃんが好きだ。いつも見てるし、声も聞いてる」
「お前はストーカーか」
「変態仮面だからな」
「嬉しい」未央奈は小さく笑った。「ありがと」

       9

「みり愛ちゃんがいいんじゃーん」夕は少し酔い始めていた。「純奈ちゃんがいいんでしょうよー。わかってないなー、まいちゅんが燃えるんじゃんかー。れなちが可愛いんじゃんだって。蘭世ちゃんがいないとつっまんねーじゃーん。絢音ちゃんが清楚でいいんじゃねーかー」
「そんなに言われてもお前、だってこっちは素人だぞ」風秋遊は苦笑した。
「理々杏ちゃんだろうが! 梅ちゃんだろうが! 久保ちゃんだろそこは!」磯野は興奮気味に言った。「あやてぃーだろ! 葉月ちゃんじゃんかよ! 麗乃ちゃんだろうが! たまちゃんがどうして出て来ねえんだっ! でんちゃんだろ! だってそうだろ!」
「俺はみんな可愛いの知ってるんだよ、バカ息子。声がでかいんだよ」磯野かつおは顔をしかめて磯野に言う。「追っかけでもないんだから、名前出てこない子だっているだろうが」
「掛橋沙耶香ちゃんが挙がらないとは、残念だね」稲見は稲見恵に淡々とした口調で言った。「璃果ちゃんはとても可愛いし、黒見ちゃんは無邪気な笑顔の鏡だ。レイちゃんはトップクラスの美貌だし、まゆたんは可愛いの権化だよ。悠理ちゃんは、悠理ちゃんこそ可能性の塊だしね。とっても可愛いよ。それに、瑠奈ちゃんは超絶美少女にもかかわらず、面白い。弓木ちゃんも超絶美人なのに面白いんだ。松尾ちゃんも可愛いしものまねも一級品だし、矢久保ちゃんは知れば絶対に放っておけなくなるよ」
「わかったよ」稲見恵は苦笑して、頷いた。「知識が足りなかった、すまない」
「二期生も、よろしくお願いします」未央奈はぺこり、と大人達に会釈した。「私も二期生なんで」
 今野義雄氏は、仮設簡易ベッドで、今は気持ちよさそうに眠っている。
「私の、名前挙げてくれたのは、どなた、ですか?」未央奈は、観察するような視線で大人達三人に言った。
「俺俺」磯野かつおはニカ、っと微笑んだ。「可愛い子、堀ちゃん、てな。覚えてたんだよ」
「ありがとうございます」未央奈は誰もが憧れるような美しい苦笑で言った。
「俺なら真っ先に挙げるな」夕は酔い覚ましにと、お茶を飲んで言う。「二期生のエース、リーダー的存在なんだよ、未央奈ちゃんは」
「その可愛さたるや、と言えば」稲見も酔ってきていた。「見ての通り、だね」
「確かに綺麗だな」風秋遊は未央奈を見つめて言った。「アイドル、ていうより、女優さん、て気もするけどな。ポーカーフェイスが、笑うと凄い印象的に柔らかくなるから、演技とかに向いてそうだよな」
「眼が大きい」稲見恵が続いて評価した。「眼が特徴的。次に何処かで見かけても、その眼は覚えてる」
「眼鏡も似合いそうな顔してるよな」磯野かつおはにこやかに未央奈に言った。「丸眼鏡とかよ、大きめの眼鏡?つうの?」
「あ、眼鏡好きです」未央奈は気付いたかのように言った。「眼鏡も使うんで……」
「遅いね、絢音ちゃんときいちゃん。こんな時間に呼び出しちゃまずかったかな」夕はロレックスのヨットマスターを見ながら言った。