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ポケットいっぱいの花束を。

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「知ってるでござるよ。夕君の情報によるとでござる、えー」あたるは沙友理達を見回しながら説明する。「特徴としては、コミュ障、男嫌い、常に照れて笑っている、勉強嫌い、可愛かった、らしいでござるよ」
「きいちゃんに似ているから、好きになったのかしら?」駅前は虚空を見つめながら誰にでもなく呟いた。「ダーリン、付き合いがあったのは、いつ頃との事ですか?」
「それがでござる、中一、なんでござるよ!」あたるは嬉しそうに皆に言った。「その頃、きいちゃんはまだ乃木坂にいないでござる!」
「え~じゃあ偶然なんだぁ?」沙友理はメニュー表を開きながら言った。「ねー食べよう食べよう」
「そだね。食べよう」眞衣も賛同する。「真夏、メニュー取って」
「あーねえ、ここに載ってる、チーズ・トマト・スパゲッティって美味しいんだよ」真夏はメニュー表を皆に配りながら言った。「波平君のお父さんの、えと、何だっけ……行きつけのお店の、人気メニューだったんだって。食べたの、美味しかったの」
「食べる食べる」絵梨花は不思議なダンスを踊った。
「え待って、あんま、頼み過ぎても、食べられなくない?」眞衣は心配そうに言う。
「大丈夫大丈夫」絵梨花は自信たっぷりに言った。「人間、限界だと思ったところから、まだいけるから。これ私前にも同じような事言った記憶があるんだけど」
「まつ。タッカンマリあるよ」眞衣はにやけて沙友里に言った。
「あ、頼んだ~」沙友理は天使のような笑顔で、可愛らしく言った。「タッカンマリ~」
「まっつんタッカンマリ頼んだの?」絵梨花は驚いて眼をむいた。
「頼んだ~、えへへ」沙友理は可愛らしく笑う。「みんなが話してる時に、タッカンマリちょうだい、て、イーサンに頼んだ。えへへへ」
「はや」絵梨花は納得して、またメニュー表に視線を落とした。「んんー。食べてないのいっぱいあるなー……な~ににしよっかなー」
 先程の松村沙友理の可愛らしさを見逃さなかった駅前木葉は、今、あごがしゃくれてきている。彼女は高揚するとこのような緊張状態を引き起こすのだった。
「ましゅむらしゃんはぁ~、あのう、好みのたぶうぇものとか」
「きゃあ!」沙友理は驚きの悲鳴を上げた。「うえーん木葉ちゃーん……、びっくりするから~……」
「あす、すぅいましぇん」駅前はしゃくれきった顔で、限界まで微笑もうとする。「驚かしてしぃまってぇ、あのぅ、緊張、でしゅかね。ははあごが、ね。ふふ……」
「何? その顔、はは」絵梨花は素直に笑った。「なーにやってんの~?」
「木葉ちゃん、緊張すると顔が強張っちゃうから」眞衣は湧き上がる笑みを堪えて説明を買って出た。「緊張してるんだよね?」
「ふぁい?」駅前は、もはやこの世のものではない顔で振り返る。「高まってまぁ~しゅ」
「高まってるんだ」真夏は爽やかに笑った。「凄い顔だよ……木葉ちゃん……」
「これ程までに必殺、顔面筋肉痛を出すとは!」あたるは駅前を睨む。「何を見たでござる! 何かっ、何か可愛い何かを見たのでござろう!」
「ふふ……」駅前は、不敵な笑みを浮かべた。
「メリ~クリスマ~ス!」
 店内に流れるクリスマス・ソングを遮るように叫ばれたその声は、元乃木坂46一期生の桜井玲香と、同じく元乃木坂46一期生の若月佑美であった。
 皆は肩を組んで現れた二人を大歓迎する。桜井玲香と若月佑美は、最初に高山一実と西野七瀬のいるカウンター席で挨拶をし、激しく自分達を呼ぶ新内眞衣達のテーブル席へと落ち着いた。
 風秋夕は、「ん?」とこちらを振り返った西野七瀬に、「ううん、何でもないよ。見とれてただけ」と返した。
「ふ……」七瀬は鼻を鳴らして苦笑した。
「あー今なぁちゃんの事口説いてたでしょーう?」一実は微笑んだままで、夕の事を睨んだ。「絶対口説いてたよー、今ー」
「何だとこらぁ!」磯野は興奮気味に夕を睨みつける。「聖なる夜だからあーだこーだはやめとけよとかっ、くどっくど言ってやがったのはてめえじゃねえかこら! ああ!」
「なぁちゃんをほっとく男って、男って言えんの? それ」夕は開き直って、冷たい視線で言った。「ダメダメ、ダメリカンドッグ」
「あ~そうゆう事言って~」一実は子供の様に言う。「わ~るいんだ、夕君~」
「か~ずみん。嫉妬してくれた?」夕は一実に微笑んで言った。
「してないしてない」一実は小さく笑った。「し~ないよ~……。で、イナッチは何やってんの?」
「クロスワードパズルだね」稲見は無表情で答えた。
 半円にカーブしたカウンター席には、左側から、磯野波平、稲見瓶、高山一実、西野七瀬、風秋夕と、並んで着席していた。カウンターは内側に半円型にカーブしている為、覗き込まなくてもそれぞれの顔が窺えた。
「今やるの、それ」七瀬は笑窪を作って笑う。
「変かな」稲見は七瀬に微笑んだ。
「まあな」磯野は答える。「お前は変だ、はっきり言って変態だな。お前はさ」
「かずみんクイズとか、得意だよね?」夕は一実に言った。一実は頷いている。「じゃあクイズね。イナッチの初恋の人は、誰でしょう?」
「えー」一実は稲見を振り返る。稲見はクロスワードパズルを再開させた。「誰だろう……」
「初恋?」七瀬は夕にきく。
「初恋」夕は七瀬にはにかんで頷いた。「だ~れだ?」
「えぇー」七瀬も考え始める。
「アインシュタインとかじゃねえの?」磯野はつまらなそうに呟いた。「エジソンとかよ」
 西野七瀬は、人知れず磯野波平の発言に笑わされていた。
「お母さん」一実は夕を見つめて言った。「初恋の人、お母さん」
「なぁちゃんは?」夕は七瀬を見る。
「えー、……わかんない」七瀬は回答を諦めた。
「残念」夕は二人の女子に笑った。「正解は、学校の先生でした。中一の時の」
「えー!」声を上げる一実。
「先生か……」納得する七瀬。
「あまりね、他言しないように」稲見はまいったようにクロスワードパズルから顔を上げて夕に言った。「優しい人だったんだよ。一目惚れとかではない感情だったね」
「尊敬っていうんだよ、そういうのは」夕はけらっと笑って言った。「真面目だな」
「じゃあよぉ、じゃあ俺の初恋はだあれだ!」磯野ははしゃいで二人の女子に言う。
「船さんだろ」夕が言った。
「誰がサザエさん一家の磯野波平だこらあ!」
「波平君って、初恋とか早そう?」一実は七瀬にきく。
「うーん……どう、なんだろう」七瀬は思い悩む。「あでも、小学生の、低学年、とかかな?」
「どうなの?」一実は波平を見る。
「実はよお」
「あああ!」夕はそちらを覗き込んで大声を上げた。
 店内の入り口付近に、乃木坂46四期生の、賀喜遥香の姿があった。
「かっきー、こっちこっち!」夕は遥香を大きく手招く。「メリークリスマス!」
「あ、こんばんは」遥香は一実と七瀬に最初に挨拶をした。「メリークリスマスです」
「メリークリスマ~ス」一実はにこやかに遥香に返した。
「メリークリスマース」七瀬も同様に感じ良い笑顔で会釈した。
「ダ~メだってかっきー、俺んとこ来いよぉ!」磯野は顔をしかめて遥香の腕を掴んだ。
 賀喜遥香は困惑する。
「ぬわあ~に、触ってんだこのクソ野郎!」夕は冷静さを欠いて叫んだ。「誰が俺のお姫様に触れていいっつったこ~の馬鹿野郎!」