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ボクのポケットにあるから。

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「さくらんぼの、パジャマにしました」璃果はそう言って微笑んだ。
「普段からもこんな感じだよねえ、璃果ちゃん」奈於が言った。
「え? 知ってる?」璃果は驚いて口元を片手で隠した。
「今ねー、ちょっと怖がってたよ」真佑は笑う。皆も笑った。
「バレたかと思った」璃果は苦笑した。「でも着てるー」
 会話は幾つかのグループに分かれて行われている。
「えーじゃ次はゆりゆり」真佑は悠理を見つめて言った。
「緑のパジャマにしました~」悠理は皆に見せるようにそう言って、クッションを抱き直した。「イチゴですー」
「天国か、ここは……」夕は鋭く見つめる。
「楽園、かもな……」磯野は凝視している。
「ねえ私さあ私さあ」真佑が言う。「この間のリハーサルの時にさぁ、あの悠理ちゃんにね、緑似合うね、って言った、その日のぉ、時に、このう、パジャマに変わったの」
「そうそうそう。全然違うのね、まゆたんに緑似合うねって言われて、あ」悠理はそこで気が付いたようかのように、抱いている緑色のクッションを皆に見せる。「これも緑」
「あー」という可愛らしい歓声の様な声が飛び交った。
 一方では、稲見瓶が例の如く、少しだけ身震いのする話題を提供していた。
「千九百三十九年、十二月の十日とされている日にね、中国でぞっとするような事が起こった。それはね、日本軍に攻勢をかけるべくして南京付近に集結していた約、三千の兵隊達がね、一瞬にしてこの世から消えたんだ。正確に言えば、連絡が途絶えて、その場所に確認に行っても、戦闘の後も無くね、誰の姿もなくなっていたらしい」稲見は話に聞き入るメンバー達の一人一人の眼を見つめて、話していく。「大砲は所定の位置に配備されたまま、野営の火は燃えたままだったらしい。これはね、実は旧ドラえもんの映画、のび太の日本誕生でも描かれてる一節なんだ。神隠し……、世界的にこの事件は謎のままだとされてる。ドラえもんが言うにはね、時空乱流(じくうらんりゅう)に吞み込まれたせいだって事になってる」
「え、古い方のドラえもん?」遥香は恐る恐るできいた。
「そう」稲見は頷く。「声ががらがらな方。まあ、どっちもがらがらだけどね」
「本当に、消えちゃったの?」美緒は真剣な面持ちで言った。「三千人が、どうやったら一瞬で消えられるの?」
「神隠し」稲見は言う。「千と千尋の神隠し、でも有名な名前、神隠し。この現象は、実は世界中に存在する、列記とした大事件なんだ」
 遠藤さくらは静止画のように、唇を嚙んだまま固まっている……。
「ほんまに神隠しなん?」瑠奈は眼を見開いて稲見を凝視する。「あすいません今、タメ口が出ちゃいました。えでも、神隠しって、え、ほんとに?」
「駐屯(ちゅうとん)してた兵士達を取り調べても、何の物音も聞いていないと言うばかりだったみたいだよ。この事件はね、複数の文献(ぶんけん)に登場する比較的メジャーな失踪(しっそう)事件なんだけどね、確認できた文献はいずれも信憑性(しんぴょうせい)の薄いものばかりで、そもそも事件そのものが実話か否(いな)か慎重に現在も検討されてるんだ」稲見はうん、と頷いて、続ける。「リー・フー・シェンという人物が重要な何かを握ってるらしいんだけど……、そもそも誰なのか、生きてるのか死んでるのか、実在する人物なのかがね、これまた信憑性が薄いんだ」
「ドラえもんでやったっていうのが凄くない?」あやめはふっと緊張の糸を解いて、会話しているメンバー達に言った。「だってドラえもん嘘つかないじゃん」
「このエピソードはね、フランク・エドワーズというラジオパーソナリティが、世界各地の不可解な出来事や、事件を集めて紹介していた、世にも不思議な物語、という番組で紹介された話なんだ。フランクさんがこの事件を知った元となる記事が存在するはずなんだけどね、それはどこにも伝わってないみたいだ。ドラえもんでは、千九百三十七年と紹介されているんだけど、実際にこの事件に関しての記事には、千九百三十九年説と、千九百三十七年説がある。十二月、ともあるけど、日本の新聞の中には十月、としているものもあったらしい」
「ちゃんと新聞にも載ってたんだ?」紗耶は発言したが、顔がぼうっとしている。
「載ってたみたいだね」稲見は眼鏡の縁(ふち)を持ち上げて頷いた。
「えーどこ行ったんだろう……」沙耶香ははにかんで言った。「こわー」
「イナッチさんの顔が怖かった」美佑は少しだけ本気で言った。「あと声も……」
「失礼しました」稲見はくすりと笑った。「でも、それに似た文献にある失踪事件、つまりオクシデントの神隠しでね、大勢の人が煙に包まれて一瞬で消えた、という事件がある。でもその文献を漁っていくとね、やっぱり消えた兵士達は白旗を上げて降伏して、捕虜になっていたという証言が出てきたんだよ。その事件も未解決事件なんだけど、証言の役割は大きいね。必ず理由は在り、確かに事象は起きているんだから」
「あの……」瑠奈が稲見に言った。
「ん?」
「オクシデント、て何ですか?」瑠奈はにやけながらきいた。
「ああ、西洋の事だね」稲見は無表情で立てた親指を見せる。「オリエントは東洋」
「知ってた~」美緒は満面の笑みで言った。
「かっきーのパジャマも可愛い!」真佑ははしゃいで言った。「聖来とおソロじゃない?」
「お揃いでーす」聖来は笑顔で言う。「色違いなのー。私赤~」
「私ね、青なんだけど、おうちではね、意外と着てないの」遥香はそう言って、次に声を発した柚菜を見つめた。「ん?」
「おうちはピンクのイメージあるー」柚菜は笑顔で言った。「かっきーさ、最初の頃のパジャマ、ピンクだったよねえ?」
「えーピンクだったかもー」遥香は照れ笑いで答えた。
「ピンク……」夕は呟いた。
「ピンクか~……」磯野は満面の笑みで言った。
「じゃあ最後、さくちゃん」真佑はさくらを指差して言った。
「可愛いー」という声が飛び交う。
「さくちゃんそれは、それはもしかして自分で選んだのかな?」真佑はその場を楽しんで発言した。
「違うのー」さくらは近くにいた聖来にフードをかぶらされた。ウサギの耳がついた着ぐるみのようなパジャマだった。「違うの違うの、聞いて聞いて、聞いて下さい。違うのこれは、みんなが選んでくれたから着たの」
「そなんかさくちゃんって、凄くさ、うさぎさん、てイメージが凄く強いから」真佑は笑顔で言った。「もう、キュンキュンが止まらなーい……」
「やべえ、キュンキュンが限界突破しそうだぜえ……」磯野は顔をしかめてにやける。
「何だその限界突破って、お前、お前やめろよ? 二度と集まってくれなくなるぞ!」夕は説得するように磯野に言った。
 磯野波平と風秋夕の取っ組み合いが一時的に始まったので、近くに座っていた何名かがソファを立って避難した。
 やがてそれも落ち着き、話題は乃木坂46四期生のライブについてとなった。
「いやー見事だったね。三、四期生ライブが、二千十九年の十一月に代々木であったよね。あの頃からもうすでに圧巻の魅力だった」稲見は眼鏡の位置を修正しながら誰とも視線を合わせることなく言った。「四番目の光、あの感動は忘れないよ。今ね、のぎ動画でもう一度観られるよ」
「たまーに観るよ」柚菜が言った。