二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

ボクのポケットにあるから。

INDEX|6ページ/18ページ|

次のページ前のページ
 

「所々歌詞は違うし、だってお前、これ男が女の子に思ってる」
「うーるせえ! みーんーなーが見てるーのに抱きついたりー、ハンサムーにおーこおったりー、激しすぎるー、かんーじょーおー、そう、受け止めることに疲れちゃったんだごめんー」
「疲れちゃってんじゃんだって……」夕は嫌そうに言った。「あとハンサムーにーって、そんな歌詞ねえし!」
「これ、男の子の気持ちだよねえ」絵梨花は恐る恐るそう言った。「破天荒な女の子に思ってる気持ちが、歌詞になってるんだよね?」
「いくちゃん、ちゃんと聴いてたかぁ?」磯野は満面の笑みだった。「二番の登場人物は、てか彼氏は、俺だろうが!」
「その耳どうなってんだ……たく」夕は溜息を吐いた。「そもそも歌の歌詞ってのは、自分に当てはまるようにも書かれてんだよ」
「はいうっせえ消えろクソ野郎バカ野郎この野郎」磯野は満面の笑みのまま、夕に中指を立てていた。「ほいクソ野郎の負け惜しみだよ」
「関係を元に戻したいって言われてんだよ? お前……」夕は少しだけ羨ましそうに、磯野を睨んで言った。「浮かれんな!」
「でもさあ、恋してる歌だよね」沙友理は思い出しながら言った。「なんかー、恋愛中、ていう感じの歌詞だった気がするー」
「全部夢にしちまいたいぐらいに恋に真っ最中なわけよ」磯野は偉そうに言った。
「確かにー」沙友理は眼を見開いて言った。
「何で自分だと思ったの?」絵梨花は真顔で磯野を見つめて言う。「どこのとこよ?」
「気がでけえって事だろ? 要は」磯野は言う。「人目とか気にしねえで抱きついちゃったりよぉ、俺そーいうの怒られた事あっからよ」
「怒ってんのは大体俺だな」夕は考えながら言った。「自分の事一応わかってんだな」
 電脳執事のイーサンの呼び声の後、間も無くして、注文したカニ鍋とセブンイレブンのサイド・メニューが〈レストラン・エレベーター〉にて到着した。
 四人はテーブルにインスタント・コンロを置き、火をつけて鍋を温める。
 それから間もなくして、四人でカニ鍋を楽しみ始めてから五分も経たぬうちに、乃木坂46一期生の齋藤飛鳥が地下二階のメインフロアの東側のラウンジに通りかかり、四人は彼女を呼び止め、共に食事にと誘った。
「カニだぁ」飛鳥は薄い笑みを浮かべて、ソファに着席した。「何で、私の分のお皿とかあるの?」
「六人前頼んだから」絵梨花は澄んだ眼で飛鳥に言った。「ちょうど良かったでしょ、結果的に」
「まあ……」飛鳥は鍋を見つめた。箸を貰う。「あ、ありがとうございます」
「飛鳥ちゃん、何飲む?」夕はにこやかに言った。
「アイスティーにしようかなー」飛鳥はそう言ってから、磯野の視線にびくり、と気付いた。「何ぃ! 何ですか?」
「んひ~、今日もかんわいいなー、飛鳥っちゃん」磯野はにたにたと微笑む。
「イーサン、アイスティーを一つと、セブンのシャキシャキレタスサンド、一つだ」夕は空中に向けてそう言った。電脳執事のイーサンの声が返ってくる。「飛鳥ちゃん食べてみて、シャキシャキレタスうんまいから」
「ほーい」飛鳥は反射神経で返事をした。
「飛鳥ちゃんってアニメとか観る?」夕は飛鳥の皿にカニと食材を丁寧に盛りながら、飛鳥達に話しかける。「まちゅはラブライブとか、観てたよね?」
「ラブライブ~!」沙友理は頬に食材を詰め込んだままで笑った。「んめっちゃ観てる」
「観てないな」飛鳥は夕から皿を受け取る。「ありがと」
「なんかさあ、あのーよぉ、何かあるじゃんか、自分のアニメ! つうか、この漫画がやっぱ好きだなーとかさ」磯野は絵梨花のカニ鍋を盛りながら言った。「ほい、いくたん。俺なんかはさぁ、刃牙(ばき)とか、東京リベンジャーズとかなんだけどさー。みんな何よ?」
「刃牙、観てたよ」沙友理はくすっと笑った。
「まっちゅん、気ぃ合うじゃねえか。おもしれえよなー?」磯野はそう微笑んでから、絵梨花を見る。「いくちゃんは何よ?」
「私ぃ?」絵梨花は少しだけ考えながら言う。「スラムダンクかな。あーあとぉ、鋼の錬金術師とか」
「ハガレン!」沙友理は表情を歪めて微笑む。「好きい!」
「へー、意外」夕は驚いた顔を見せた。「スラムダンク好きなんだ。ハガレンって、作者女の人なんだよね、確か。俺もアニメで全話観たな。面白かった」
「あれは? 夕君の好きなアニメは?」沙友理は夕に言った。「ジブリ、とか観てそう」
「俺は、細田守監督の作品とか、新海誠監督の作品とか、あとぉ、聲(こえ)の形も好きだな。まちゅは?」
「私はぁ、んーいっぱいあるけど。コードギアス?」沙友理は夕を見て、それから四人を見て、にこやかだが真剣に言う。「一番好きかも。あとぉ、それこそラブライブ?」
「誰が好きなの?」夕は楽しそうに言った。「俺少し知ってんだけどさ」
「んー、上原歩夢ちゃんです!」沙友理は眼をいっぱいに瞑ってそう言った。つぶらな瞳を開けた後も、にこやかに言葉を続ける。「まぁ正直全員好き。毎週観てるうちにどんどん好きが増えていって、全員好きだけど……全員好き」
「わかっか?」磯野は飛鳥と絵梨花にきいた。
「ううん」と絵梨花。
「わっかんない」と飛鳥は苦笑した。
「俺わかるよ」夕はとびっきりの笑顔で沙友理に言った。「後は、誰とか好きなの?」
「せつなちゃん可愛いし、りなさん回は感情移入凄くしたし、あいさんみたいな人、憧れる」沙友理は尊そうに説明する。「かなたちゃん無意識に頑張っちゃうの、めっちゃ応援できるし。しずくちゃんの気持ちわかりすぎる、本当の自分がどれかわからなくなる時あるもん……」
「わかんのか、お前」磯野は眉を上げて夕を見る。
「んんー、わっかる、ぎり」夕は苦笑した。夕は沙友理の皿に具材を盛る。「本気のファンだな」
「全員にそれぞれ想いがあるので、ラブライブ大好き。あ、ありがとう」沙友理は夕から湯気ののぼる皿を受け取った。「人生の楽しみでした」
「飛鳥ちゃんは?」夕は飛鳥を見つめる。「好きなアニメとかー、漫画?」
「私ぃ? んー。ないかな」飛鳥は小首を傾げた。「あえて言うなら、ディズニー系かな。キャラ、キャラクターとかね、好きだけど」
「飛鳥ちゃんは小説のイメージだもんね」夕は微笑んで言った。
「飛鳥ちゃんにおススメされたやつ、読んだぜ?」磯野は一瞬だけ斜め上を見上げて、考えながら飛鳥に言う。「乱反射、だっけか? あれはぁ、あれだな。犬のクソをほったらかしにするあのおっさんが悪りいな」
「ふふん」飛鳥は苦笑した。「読んだんだ」
「サスペンスが好きで、ハッピーエンドが苦手なんだよね」夕は興味深そうに飛鳥に言った。「イナッチがよく言ってるんだけどさ、殺人事件ものでハッピーエンドは無い、てさ、言うんだよ。人が死んでるからね、て。でもさ、ハッピー的な終わり方のサスペンスもあるじゃん?」
「まあ、あるんじゃない?」飛鳥は答える。「あんまり、好みではないけど」
「ダークなやつってさ、何か読み終わった後に、ぞくぞくする快感があるよね」夕はにこやかに飛鳥に言った。「俺が読んだ中で、特別枠にあるのは、ドグラ・マグラ。わかる?」
 齋藤飛鳥は頷いた。他の皆はきょとん、とした顔をしている。