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ポケットの中の夏。

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 磯野波平に呼び出されたメンバーは、現在〈リリィ・アース〉の自室以外に存在している人物、というカテゴリーから、乃木坂46三期生の梅沢美波、久保史緒里、岩本蓮加、向井葉月、阪口珠美、佐藤楓の六名であった。
 先程、乃木坂46四期生の柴田柚菜と矢久保美緒と黒見明香が自室へと引き上げて行ったので、現在ここにいるメンバーは、乃木坂46一期生の齋藤飛鳥と、同じく一期生の樋口日奈と、先程紹介した三期生の六人と、三期生の大園桃子と、乃木坂46ファン同盟の風秋夕と磯野波平と稲見瓶であった。
 合計九人で、現在この巨大な〈プール〉を使用している。
 流れている音楽は『ひと夏の長さより…』から変わり、乃木坂46の『ありがちな恋愛』になっていた。
 尚、女子達は水着の上にTシャツと短パンを着用している。
「まだ七月ですよ? 寒くないですか?」美波は水に肩まで浸かりながら夕と史緒里に言った。「久保は、寒くない?」
「うん」史緒里は愛嬌のある表情で頷いた。「たぶん寒がってるの梅だけだと思う」
「梅ちゃん温水プール行く?」夕は美波の顔を覗き込んで言った。「あっちにあるよ? あったかいのも」
「いやあ、じきにあったかくなるよ」史緒里はそう言って、身体を水面に浮かせる。「ぷあ」
「動いてれば、ね」夕は優しく美波に言った。
「うん……」美波はやる気になる。「じゃあいっちょ、泳ぎますか。でん! 競争しない?」
「いいよー」楓は笑顔でロボットの発声のように返事した。「百メートル、泳げるの?」
「いや、わかんない」美波は苦笑する。「これたて百メートルもあるの?」
「あるよ」夕は苦笑した。「でかいよね」
「でえか!」美波は驚いた。
 久保史緒里はプールサイドの大園桃子の元に行く。
「桃子~」史緒里はちょこん、とプールサイドに掴まった。「泳ごうよ~」
「桃子さっき泳いだんだよ」桃子は笑顔で返す。「ちょっと休憩しなくちゃ。あのね泳いだら、休憩しなくちゃいけないんだよ?」
「いや知ってるけど。休憩長くない? て」史緒里は口元を尖(とが)らして言った。
「あとちょっと休憩」桃子はプールサイド・チェアに背を預け、眼を瞑った。
「蓮加、行くよ~」珠美はビーチボールを蓮加に向かって打った。「行け!」
「へったくそ~」蓮加は反れたビーチボールを取りに行く。「あ~じゃあさあ、罰ゲーム決めようよ~」
「お、そりゃいいな。決めようぜ決めようぜ」磯野はテンションを上げる。
「ご飯食べれなくなる系は嫌だな」葉月は苦虫を食ったような顔で言った。「白米禁止、とかさ」
「じゃあ今日と明日、パン無しね! 行くよ波平君!」蓮加は磯野に向かってビーチボールを飛ばした。「あ~!」
「任せろっ!」磯野はナイスレシーブして、葉月へとビーチボールを飛ばした。「葉月ちゃん飛べえっ!」
「ええ~!」葉月は横に飛ぶ。「とうっ! 届かないよ!」
「今のって、はづぅ?」蓮加は珠美に振り返ってきく。「どっちだった?」
「波平君でしょう、どう見ても」珠美は顕在的に鋭い大きな眼を笑らわせた。「その前に、蓮加って話もあるよ」
「ええ~」蓮加は珠美を睨んで、片方の頬を膨らませる。
 稲見瓶はプールサイド・チェアにて寝そべっている。齋藤飛鳥のプールサイド・チェアの隣にて休憩していた。左から、大園桃子、齋藤飛鳥、稲見瓶と、並んで寝ている。
「ひなちま、もっかい飛鳥ちゃんと桃子ちゃん、こっちに呼ぼうぜ」夕は悪戯っ子のように笑った。「作戦、作戦」
「えーどうするぅ?」日奈も微笑んで考える。「何かで釣るぅ? でも欲が無いよ飛鳥」
「飛鳥ちゃんと桃子ちゃんが欲しいのは、今はリラックスなわけだから……」
 風秋夕は「任せといてよ」と樋口日奈に言い残し、プールから上がって行った。
 しばらしくて、〈プール〉内にイーサンの声の放送が入った。それは只今から、プラネタリウムが始まる、との報告であった。
 ゴムボートを二つ抱えて、風秋夕は戻ってきた。
「プラネタリウム?」飛鳥は桃子に言う。「ここで?」
「そうなん、ですかね?」桃子は首を傾げた。
 他のメンバー達もざわついている。
「飛鳥ちゃん」夕は微笑んで飛鳥に言う。「この船に乗って。この上でプールを流れながら見上げる星空が、また最高なんだ」
「え、ここがプラネタリウムになるって事?」飛鳥は驚いた顔で言った。
「すごーい」桃子も驚いている。
「さあ、桃子ちゃんも乗って」夕はそう言ってから、飛鳥に手を差し伸べる。「星空の下に浮かぼう」
齋藤飛鳥はプールサイド・チェアから起き上がる。「何人乗り?」
「一人乗りだよ」夕はとびっきりの笑顔で答えた。「さ、桃子ちゃんも来て」
 プールサイドに浮かんでいるシンプルなデザインのゴムボートを、風秋夕が押さえ、最初に齋藤飛鳥が悲鳴を上げながら乗り込んだ。
 続いて、風秋夕がゴムボートを押さえる中、もう一つのゴムボートに、大園桃子がこれまたけたたましい悲鳴と共に乗り込んだ。
 齋藤飛鳥と大園桃子は、ゴムボートに乗りながら、仰向(あおむ)けに天井(てんじょう)を眺めている。
 稲見瓶はすっかり眠っていた。
「さあイーサン、プラネタリウムの始まりだ」夕は天井を見上げてそう言い、ゆっくりと水の中へと入った。「皆、上見てて……」
「わああ」
「うわー」
 ライティングが徐々に消えて、真っ暗闇になると、空に輝く星々が美しくくっきりと眼に見えた。
「はーん、こりゃいいわ……」飛鳥は呟いた。
「最高……」桃子も呟いた。
「こーれは凄い、綺麗」美波は見上げた星空を絶賛した。「こーれは……」
「これはヤバい。こーれは」史緒里は星空を見上げて、微笑んだ。「すごーい……きれー」
「アナウンスは切ってあるんだ」夕は皆に説明した。「会話できた方がいいでしょ?」
「天井が高いから、またそれがいい感じだね」楓はロボットが感動した時のように喋った。「良い感じ……」
「綺麗~」珠美は星空を見上げている。
「あ、あ、流れ星!」蓮加も星空を楽しんでいた。「今の見たねえ? 見た?」
「ヤバいな、これは。ね!」日奈も星空を見上げて感激していた。「湖から見てる星みたい……」
「感動的……」葉月は星空を見上げてロマンティックに染まる。「こぼれそう、星たちが……」
「俺は、いいや……」
 磯野波平はプールサイドに上がった。髪の毛を手でしゃかしゃかと水を切り、テーブルに置いてあったタオルで髪を拭いた。
「あでも、何の星座か、アナウンスないとわかんないな……」飛鳥は仰向けのまま、夜空に顔をしかめる。
「桃子あの星が好き」桃子は仰向けのまま、星空を指差した。「あの一番光ってるやつ……」
「波平、何で上がったんだよ」夕は不思議そうに磯野に言った。「星空好きじゃん、お前」
「いやさあ、俺さあ……」磯野は苦笑する。「夜の水の中って、サメとか、でっけえバケモンがいんじゃねえかって思っちゃうんだよね……」
「え?」
「え!」
「いやだからぁ、」磯野はまた、苦笑する。「実はこのプールん中にい、でっけえサメとかが、今にも足とかに食らいついてくんじゃねえか、てな。思っちゃうんだよ、はっは」
作品名:ポケットの中の夏。 作家名:タンポポ