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ポケットに咲く花。

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 あっという間に、『僕は僕を好きになる』に楽曲は変わった。センターは三期生の山下美月であった。特別ダンスパフォーマンスが含まれており、名曲は更に勢いを増す。
 炎の爆発と共に『インフルエンサー』が情熱的に始まった。センターは三期生の与田祐希と、同じく三期生の山下美月である。妖艶なそのダンスと、卓越したキャッチ―な歌詞、パワフルなサウンド。どれをとっても乃木坂46の象徴といえるだろう。
 VTRに誕生したばかりの乃木坂46が映る。あの時、自分達が東京ドームで歌っている姿を想像できたものはおそらくいない。出会いと別れを知り、その名前を、誇れる自分になっていく。彼女達は力強く未来を見据えている。
 彼女達が、乃木坂46--。
 三期生を代表として、梅澤美波がここに立っていることを奇跡の様だと語った。
賀喜遥香は、十年という言葉を聞いて、先輩方の偉大さを知ると。これからの乃木坂46を築けて行けたらいいですと語った。
与田祐希は、島育ちだった頃からは想像もできない、可愛い衣装を着たりと、信じられない今を送っていると語った。
遠藤さくらは、先輩たちは、みんな乃木坂が好きだといいます。そんな乃木坂が私も好きですと語った。
山下美月は、乃木坂46は私達が守りますと語った。
秋元真夏は、新しい時代を作るのは、今いる後輩たちです。乃木坂46をこれからもよろしくお願いいたしますと、語った。

『せーの、努力、笑顔、感謝、うちらは乃木坂上り坂、46--!』

 『きっかけ』の歌詞を、皆が少しずつ大事そうに歌っていく。紙吹雪がステージ上に飛び、舞っていく……。乃木坂46を語るならば、この『きかっけ』を知らねばならないだろう。
 齋藤飛鳥の煽りから、『シング・アウト』が始まった。本の虫であり、言葉にうるさい稲見瓶が最も好きな歌詞であると公言しているだけもあり、見事な程に美しい心を持った歌詞であった。
 与田祐希の煽りが入った。『夏のフリー&イージー』である。センターは三期生の与田祐希であった。会場中に広がるメンバー達。バルーンに乗る生田絵梨花と山下美月。久保史緒里。秋元真夏、北野日奈子。トロッコも会場を巡っている。
 山下美月の『東京ドームー、行くぞー!』という絶叫から、三期生の山下美月がセンターの『ガールズルール』が始まった。引き続きトロッコやバルーンに乗り込んでいるメンバー達は必死に、オーディエンスに手を振り、笑顔を浮かべる。ステージのメンバー達はこれを全力で爽快に歌い踊った。
 四期生の賀喜遥香センターの『君に叱られた』が開始される。何だか、安心するような、納得感のある、歌詞には不思議な説得力があった。高山一実が賀喜遥香の背中を押すシーンでは、賀喜遥香はうつむいて涙していた。

『皆さん、ありがとうございました――』

 秋元真夏のMCで、次がラストの曲だと告げられた。
 それは『他人の空似』であった。十周年を記念して創られたこの曲は、乃木坂46のこれまでの集大成といえるダンスパフォーマンスで構成されている。
新しい曲なはずなのに、姫野あたるは涙が止まらなかった。
 駅前木葉も泣きじゃくっている。
 秋元真夏のMCが曲中に入る。これからも、必ず、全てをプラスに変える事を誓い、これからも、乃木坂46をよろしくお願いします――と秋元真夏はMCをしめくくった。

 がむしゃらに走ったその先に、とても素敵なステージが待っていた

『もう、最後の日って、こんなに楽しんだって、びっくりしてます。今、とっても幸せで、空を飛びぬけていっちゃいそうなんですけど、それも、この後のライブでちゃんと伝えたいと思います』

 高山一実は笑顔でそう言った。
 皆さん、ありがとうございました――ばいばい!と手を振りながら、乃木坂46はステージを後にした。
 暗闇に包まれる東京ドーム。紫の僅かなライティングが、感謝の言葉を照らし出している。

憧れのアイドルになれたあの日、理想を追い求め、坂道を上り続けた。
 
 がむしゃらに走ったその先に、とても素敵なステージが待っていた。

 生まれて初めて味わった感動、ゴールなど無いと知ったあの時も。

 ざらつく不安な心を抱いた時も、いつもそばに皆さんがいてくれた。

前を向いて行けた、好きになってくれてアリガトウ。

スペシャルサンクス・乃木坂合同会社

 会場中が、スティックバルーンを叩く木霊でいっぱいになる……。
 それはアンコール。
 高山一実のVTRが始まった。本当にありがとうございました、今まで。と彼女は笑顔で語っていた。小さなころから、アイドルに憧れていた。正統派というよりも、面白キャラと言われた事も有りましたが、彼女はいつも、メンバーを支えていてくれました。
 高山一実さん、あなたはいつも、笑顔でした。そんなあなたの笑顔に、みんな元気を貰っていたと思いますよ。
 泣いている彼女が映し出される。泣いている、メンバー達も。
 高山一実さん、ご卒業、おめでとうございます――。

スペシャルサンクス・秋元康先生

『私の色』がかかり、水色のスパンコールの輝く、背中に大きなリボンのついたロングドレスで登場したのは、高山一実であった。ポニーテールであった長い髪を、解き放って背中へと流し、大きな煌めくピアスを両耳にしている。輝くネックレスも。その姿は、恐ろしいほどに、美しかった。
会場中が、水色とピンクの半分半分の色に染められていた……。

 稲見瓶は、笑みを浮かべて鼻をすすった。
 こんなに納得のいく卒業も、納得のいかない卒業も
 初めての体験だよ。昨日まで、これまでの十年を思い返していた
 笑ってきた分だけ、泣かされたよ。
 でもね、その泣いた分だけ、たぶんかずみんは今日、笑っている。
 そんな事にも気が付かされた。十年とは、かくにも偉大だね。
 どれだけ君を好きか例えてみようか……。
 やめておこう。
 卒業を素直におめでとうと、言えなくなるかもしれないから。
 俺のポケットに全部の記憶を詰め込んでおくんだ。
 そのポケットには、きっと花が咲く……。
 何色かな?
 かずみん、君の花だよ。
「かずみん、卒業、おめでとう……。かずみーーん!」
 稲見瓶は、鼻をすすった。笑顔で、涙を溢れさせながら。

今日、二千二十一年十一月二十一日をもちまして、乃木坂46を卒業します、と、改めて高山一実は語った。小説を書くと、彼女は伝えた。十年間、乃木坂のメンバーが大好きであったと。今の乃木坂も大好きだし、昔のメンバーとくだらないことして笑った時間も大好きだし、生まれ変わったら、また乃木坂になりたい。それぐらい、乃木坂46が大好きであったと語った。
スタッフの皆さんにも、家みたいな雰囲気を作ってもらい、感謝していると、彼女は笑顔で語った。
秋元先生、立ち上げ当初のスタッフさん達、私の人生を変えてくれた、とそう語った。
そして、友達たちが大好きだと。東京を一緒に楽しんでくれてありがとうと。
そして、家族。家族に関してだけは、愛情表現が下手であると踏まえながら、今まで育ててくれてありがとうと、彼女は語った。
最後に、彼女は言葉を詰まらせる。
作品名:ポケットに咲く花。 作家名:タンポポ