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ポケットに咲く花。

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「センターは梅ちゃん、これがまたカッコイイんだ」稲見は嬉しそうに言った。
「白をベースとした柄入りの、スカート丈が長めの衣装でした」駅前は思い出しながら笑顔で言った。アサヒ・ビールをジョッキで呑む。
「衣装憶えてんのすげえよな、駅前さん」夕は笑った。
「この歌ガチでいいんだよな!」磯野はしゃいだ。
 風秋夕と磯野波平がアサヒ・ビールの大ジョッキのおかわりを、電脳執事のイーサンに注文した。
「きいちゃんMCで二期生、三期生トークが始まって、確か日常がアンダー楽曲で一位に輝いたんだったよな?」夕は表情豊かに四人に言った。
「綾ティーは五年は秒だったと語ったね」稲見は笑みを浮かべて言った。
「葉月ちゃんがさ、二期生達にウィンクしてくれよって、頼んでおいてくれたんだよな?」磯野は楽しそうに語る。「でえ、ダンス中にウィンクをしなかった蘭世ちゃんと、絢音ちゃんがあ、ジャンケンしてえ、絢音ちゃんから順番にウィンクしてくれたんだよな?」
「その二人には、意図的に皆黙っていたんだよね」稲見は笑みを浮かべて言った。
「ウィンクも、実はほぼ全員にお願いしていたみたいでござったな!」あたるは笑顔だった。「何かの曲で、かずみんのウィンクが印象的だったんでござるよ……あれはぁ……」
「ステージの裏では、れなちさんが」きいちゃんさんにハイタッチをせがんだら、チョキを出されたみたいですね」駅前は可笑しそうに笑った。「パーに見えたのでしょうか?」
 風秋夕と磯野波平が注文したアサヒ・ビールの大ジョッキが、電脳執事のイーサンのしゃがれた老人の声と共に到着した。
「言霊砲だよ……。しょっぱな、与田ちゃんのウィンクが飛んだんだよ。俺はもうそこでトキトキメキメキ」夕は誇らしげに笑顔で言った。
「どんな衣装だったでしょうか?」駅前は思い出そうとする。
「衣装ぶっ飛ぶぐらいこの曲好きすぎてよう!」磯野は元気いっぱいに言った。「もう衣装は憶えてねえ!」
「サビのダンス、可愛すぎるでござるよな~」あたるはぽわっとしたうつろな眼で微笑んだ。
「次が、せっかちなかたつむりか」夕はにやけた。「ヤバいだろ~、アレは~」
「純白の衣装でしたわ……。はぁぁ」駅前はうっとりしながら言った。磯野は引いている。
「梅ちゃん、かっきー、さくちゃん、かずみん、ひなちま、いくちゃん、まいちゅん。だったね、メンバーは」稲見は笑顔で四人に言った。
「ヤバいでござるよ、せっかちなかたつむりは!」あたるは爆発寸前のテンションで言った。「コールも、超絶可愛い、かっきー! とか、落ち着いてできる節もあって、更にファン向けに構成されてるでござる!」
「可愛い過ぎるな、せっかちなかたつむりは」磯野はしみじみと囁いた。「でな、十八曲目が、錆びたコンパスだ」
「何曲目とか、お前凄いな……」夕は少し引く。「あの興奮の中で、冷静な波平がいるって、どうなのこれ……」
「名曲でござる!」あたるは叫んだ。
「センターはれなちだったね」稲見が言った。
「薄い水色の衣装でした」駅前は思い出しながら言った。
「笑顔から、次の瞬間、はええ動きに移り変われるれなちの、一瞬のスイッチが見所だな!」磯野は大きな笑顔で言った。
「清楚だったな。すげえ良かった」夕は深々と呟いた。
「次は、扇風機だね」稲見は眼鏡の位置を直して、無表情で言った。「間奏の時にね、飛鳥ちゃんときいちゃんがね、わざとぶつかり合うワンシーンがあったんだよ。見逃さないよ」
「あーあった!」夕は興奮して稲見を指差した。
「飛鳥ちゃんのセンター曲で、一番可愛いかもしれないでござる!」あたるは照れ笑いを浮かべながら誰にでもなく言った。
「ヤバいです、可愛すぎました。生きてて良かった……」駅前は心からの言葉を美しい表情にのせて言った
「でえ、VTRが流れてえ……」夕は言いながら、思い出す。
「カッコイイね、名言の詰まったナレーションとVTRだったんだよ」稲見は皆に説明した。
「二十一曲目、ありがちな恋愛な」磯野は誇らしげに言った。
「やっときたか!」夕はそう喜んだ後で、アサヒ・ビールの大ジョッキを喉に傾けた。「飛鳥ちゃんと美月ちゃんのダブル・センターだったなあ?」
「情熱的な赤と黒の衣装でしたね」駅前は満足そうに言った。
「歌詞がいいよな?」磯野は笑顔で言った。
「いいでござる! 曲もメンバー達の表情も、かっこよすぎるでござるよ!」あたるは心底嬉しそうに興奮してみせた。
「乃木坂の代表曲の一つだね」稲見はそう言って、うんと頷いた。
「次がなあ、全部夢のまま、だ!」磯野は騒ぎだす夕を咄嗟に見つめた。「なんだよ?」
「はいはい! あのさ、オウベイベー、の所で、美月ちゃんが親指おったてて、ぐうーしてウィンクしたんだよ!」
「へえ、見てるね」稲見は感心する。
「これに至っては、与田ちゃん可愛すぎるだろう?」磯野は顔をしかめて笑う。
「みなみちゃん美しすぎるでしょう」夕は微笑む。
「あやめちゃんは綺麗すぎるでござろうよ」あたるは顔をしかめて言った。
「次がぁ、サヨナラの意味だ!」磯野はどや顔で紹介した。
「キタでござる!」あたるは眼を瞑る。
「かずみん、いくちゃん、まなったんがフロントで、いくちゃんがセンターな!」磯野は楽しそうに言った。「最強で固めてあんな、改めて考えると」
「さくちゃんと久保ちゃんとかっきーが映った時に、あー……、三期と四期が、これを歌うのかー、とちょっと浸ったでござるよ」あたるはそう言って、微笑んだ。
「いい曲ですね、サヨナラの意味は」駅前は凛々(りり)しく顔つきを変えて、そう言った。
「とにかく、これは歌詞がいい」夕は皆に頷いた。「曲も神曲だしな。とにかくファンからの指示が厚い至高の一曲だ」
「次はジコチューで行こうだったね。飛鳥ちゃんの煽りね、やっぱり上手いよね」稲見は敬服しながら言った。
「みんなそれ超絶笑顔でやるから、本っ当に可愛いよな!」夕は興奮気味に言った。
「みなみちゃんと美月ちゃんがトロッコに乗って手ぇ振ってたな」磯野は思い出して、にやけた。
「これもまた人気曲でござるな!」あたるは大はしゃぎで言う。「今でもまだ真新しく、眼に浮かぶでござるよぉ~……」
「自己チューの後は、見事なさくちゃんの、挨拶でしたね」駅前も、そう言って眼を瞑った……。

遠藤さくらの挨拶が始まり、会場のオーディエンスと配信を見守るファン達に、遠藤さくらは、今日は本当にありがとうございました、と語った。彼女は弱い自分が悔しいと言う。次の曲をやる度に、覚悟が芽生えたのは本当だし、仲間達がいれば、何処までも頑張れるのだと。乃木坂の為に強くなりたいと、彼女は涙を我慢しながら語った。
乃木坂の皆が、大好きであると――。
二十五曲目、最後の楽曲は『ごめんねフィンガーズクロスト』である。実に炎の演出が美しく、儚(はかな)げに激しく歌い踊る楽曲のイメージに、ぴたりと一致していた。これは実に、歌いきり、踊りきる、遠藤さくらの渾身の一曲であると言えるだろう。
少しだけ険しい表情をしたまま、遠藤さくらは歌い踊り、美しかった。
作品名:ポケットに咲く花。 作家名:タンポポ