あなたを好きで良かった
どのくらいの時間が経ったんだろう。私の涙はすっかりと出尽くしていた。
もう一度顔を洗ってスッキリしようとしたが、目の下に酷いクマができている。こんな顔じゃもう皆には会えないなと思った。
「それじゃあ私は部室に帰って解散させてくるから、ムギはもう帰れな」
「うん、ごめんね。迷惑かけちゃって」
良いってことよ、そう笑ってくれた。もう怒ってはいない、いつもの明るいりっちゃんだった。
「今どうこう出来る問題じゃないから、ゆっくり時間かけて解決していこうな」
「うん」
返事をして私は歩き出した。心の中のものを吐き出したことで気持ちが少し楽になった。
だけど問題は解決していない。明日から皆に合わせる顔がなかった。
その夜、携帯電話に一通メールが届いた。
Form:平沢 唯
Sub:NoSubject
Text:明日話したいことがあるの
作品名:あなたを好きで良かった 作家名:大場雪尋