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再見 五 おまけの詰め合わせ〜

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 甄平が藺晨に噛み付いた。
「待て待て待て、、私が無理に、長蘇を連れていったと言うのか?。、、とんでもない、長蘇は喜んでいたのだぞ。
 私だけを悪者にされては、不愉快だ!。」
 藺晨が怒り出す。
「宗主は追われる身なのですよ!。宗主の身に何かあれば、どう償うと!!。」
 見かねた長蘇が、割って入る。
『甄平、止せ。藺晨だけのせいでは無い。私も軽率だったのだ。
 熊王は、あれ程の手練だ、官兵が手を焼いただけはある。今回は都の軍が、討伐に来なかっただけ、良しとしよう。都の者が来たなら、こちらの襤褸(ぼろ)を掴まれ、余計な腹まで探られたら、今後に支障を来たしたろう。』
「ですが、宗主、こんな実名入りの講談まで出来てしまっては、琅琊閣が探られて、宗主の身に危険が及ぶかと、、、。」
『ふふふ、、、講談なぞ。
 似たような話は、山ほどもある。
 まだ語られ始めたばかりなのだろう?。見ていろ、直ぐに、似ている、もっと面白い話が出てくるから。
 本筋はそのままで、登場人物の名も変わり、別の人物も沢山出てきたり。その後は、本筋も消えて、熊王の事件も、もっと風情を付けた物語に変わるだろう。その変貌たるや、驚くぞ。
 今、事実を語る講談師が、自分が初めに語ったと主張しても、他の講談師も負けてはいない。皆が皆、自分が作った話だ、と、主張をするから、もう大混乱さ。誰の講談が事実かなぞ、どうでも良いのだ。事実と適当に、辻褄の合う面白い嘘だけが、聴衆に受け入れられて、残っていく。終いには事実すらどうでも良くなるのだ。私と藺晨の話なぞ、立ち消えるのは時間の問題だ。』
「長蘇、、、お前、、、、詳しいな、、。」
 藺晨が感心している。
「そう言えば、宗主はお好きでしたね。軍務の暇を見つけては、聞きに行っていた事もありましたね。」
「、、あぁ、、そういえば。」
 黎綱の言葉に、甄平も何か思い出した様子だった。
「そんなに好きだったのか?、講談!。知っていれば、講談の書でも取り寄せたのに。街に下りずとも、楽しめたではないか。、、いや、、待てよ、、街に出て、講談師が語っていても、長蘇はあまり興味を、示さなかったでは無いか?。」
 思いもよらぬ長蘇の趣味に、藺晨は身を乗り出した。
「いやいや、、違うんですよ。宗主は霓凰郡主に、教える為に聞きに行って、、、、」
『煩いっ余計な事言うな、黎綱!。』
 長蘇がぴしゃりと、黎綱の話を止めたが、手遅れだった。
「ほ─────っ、長蘇〜!、意外だ、、何てこまめな、、。そんな男とは知らなかったぞ。」
『、、、、まぁ、、実名を使われたと、藺晨が騒いで訴えたりしなければ、早々に、自然と消えていくだろう。それだけの事なのだ。
 藺晨が囲っているのも、女子と思ってもらえたら、それはそれで、事実を撹乱出来て、私という者には程遠くなる。
 姿を見られぬ様、注意はしているから、琅琊閣の者とて、私の事なぞ知るまいがな。』
「なんだ、なら、甄平が心配する程の事では、ないでは無いか。
 安心しろ、甄平、良かったな。お前の主は、今後共、無事だ。」
 藺晨が笑いながら、甄平に言った、が。
「いいえ!、良く無い!。」
 甄平が三人に向かって、力強く言う。
「は?。」
『何がだ?。』
「ん?。」
 甄平は三人を、代わる代わるに睨みつけた。
「私を、騙したでしょう!、お三人共!。
 皮屋で鞘を頼んだのは、宗主だったのでしょう?!。
 よくも私を、騙してくれましたね!。
 私を一体何だと!。」
 甄平は、見た事の無い様な剣幕で、捲し立てた。
 それだけ、甄平は怒り心頭なのだ。
 藺晨が甄平を、宥(なだ)めるように言う。
「まぁまぁ、、皆、悪気は無いのだ甄平。長蘇が酷く落ち込んでいて、、、少し気を紛らわせてやろうとした事なのだ。まさか今のこの格好では、人前には出られまい?、それこそマズかろう?。」
「、、、にしても、何故、私にまで嘘をつく必要が?。私はそんなに信用なりませんか?。」
「長蘇に女子の格好をさせる、と言ったら、甄平は怒っただろう?。だから、お前には言わなかったのだ。」
「怒りますよ、そりゃ怒りますよ。宗主とあろう方が女装などと、、、。」
「だろ?。」
「ですがね、、、女装したならしたで仕方ないとして、何故、私に嘘までつく必要が?。」
 甄平の怒りは収まらず、藺晨に食い下がる。
「いや、、、怒るから、、、。」

「私だって見たかった─────!!!。」
 甄平の堪忍袋の緒が、ぷつりと切れた。
「は?。」
『そこ?。』
「それか?。」
 意外な怒りの矛先に、三人はぽかんとする。
「宗主の女装、私だけが見てないんですよ。そんな話が有りますか!!。若閣主も、黎綱!、お前も見たんだろ?。ずるいずるいずるい!!。私だって見たいです!。」
 甄平は唾を飛ばしながら、怒っている。
「宗主!!、着替えて見せてください!。黎綱、ほら早く衣をお持ちしろ!。」
 長蘇は甄平に詰め寄られたが、ふっ、と外を見て、、。
『、、、あっ、飛流だ!。飛流と約束をしていたのだ。じゃ、またな、甄平!、ご苦労だった。
 ───とぅ!。』
 しれっと長蘇は、窓から外へ飛び出して行った。
 飛流なぞ、どこにも見えはしない。長蘇の苦肉の脱出だった。
 黎綱は黎綱で、、
「あっ、薬を煎じていた途中だった、、うっかりしてた。では、若閣主(藺晨に拱手)。甄平も仕事に戻れ!。皆、忙しいんだ。ブツブツブツブツ、、」
 いそいそと部屋を出て行った。
 甄平がちらりと、残された藺晨を見た。
「、、、若閣主、、若閣主は絵が描けますよね!。宗主の姿を描いてください。お願いします。」
 今度は、甄平は藺晨に詰め寄り、腕を掴んで離さない。
「あぁ〜?、私が〜??、、。なんで私がお前のた、、、、、、、、ウッ、、。」
『、、為に描かねばならぬのだ』、と、その後の言葉は、とても言えなかった。甄平は、じっとりとした、哀願する様な、悲壮な目で、藺晨を見るのだ。
「、、、、わ、、分かった、、から、、紙と筆を、、。」
「はいっ!!。」
 甄平の顔が、ぱぁっと明るくなった。
 大急ぎで甄平は、部屋の中から、紙と筆と硯を持ってきて、藺晨の前に広げ、甄平はその横で墨を磨(す)り始めた。
 床に広げられた紙を、真っ直ぐに直しながら、藺晨は語り出した。
「父がな、長蘇の施術を拒否したのだ。」
「はい?。」
「長蘇の火寒の毒を取り除ける者は、父しかいない。その父が強く拒否して、この琅琊閣を下りて旅に出てしまったのだ。
 長蘇の絶望たるや、側で見ていられぬものだったぞ。」
「はい。」
 長蘇のその姿は、甄平も知っていた。
 藺晨は、さらさらと、紙に筆を走らせる。
「あれ程落ち込んでは、別の病になる。少しでも長蘇の気晴らしになるならと、私が街へ誘ったのだ。」
「はい、、、。」
「だがあのままの姿では、人目を引く所ではない。だから女装をさせ笠を被せたのだ。
 長蘇はもとより、私は人に女子の衣を着せるなぞ出来ぬ。黎綱は着せられた。だから黎綱は知っているのだ。私や長蘇が出来るのならば、黎綱は知る事は無かったろう。たまたま、なのだ。」
「、、、、。」
「私やお前は良い。人と話せ、自由に出歩ける。