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今もそっとポケットの中で・・・。

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『というわけで、もうエンディングに、なってしまいましたが、三十分早いですねえ。あら、何ですか、ええー凄い、えーこわこわこわこわ怖い、これスクショタイムですよ~。えー嬉しい~。ありがとうございます~。じゃあね、じゃあ後でこれね、大切に、食べます。ていうわけで、あっという間に、エンディングですが。改めて、三十分って、改めてあっという間だなって思いますね。普段自分では、一時間半の番組をやったりしているんですけどぉ、なかなか三十分ですべてをお伝えできているかはわからないですけど。こうやってね、写真集を記念して沢山の方に見ていただいて、ねこうやって、宣伝できるのも幸せな事ですし、いろんな方が、これをきっかけに、新内の、いいところを見つけていただいたり、してくれたら、嬉しいなって』

「まいちゅんそれはね、あんよだよ! 足だよ足!あとケツだな! そうだな!」
「黙っとれ貴様ぁ!」
「聞こえない……」

『やー、楽しかったのかなあ? 何かもう私が、ぺちゃくちゃぺちゃくちゃしゃべってるだけだったような気もするけどな。でもほんとにぃ、びっくりするぐらいコメントが早くて、読めきれなかったので、んー全部読みたかったです本当は。んーでも、眼に止まるものは、出来る限り、あの目視していたので、ありがとうございます。けっこう嬉しいコメント沢山あったので、やーふだん、なかなか新内は、誉められない事で有名ですけど、今日に限ってはね、誉めてくれる人が沢山いらっしゃったので、嬉しく、幸せに寝れそうです。はい。泣いてる? てコメント。泣いてないです。だ~いじょ~ぶでぇす。でもけっこう、感動しましたけどね、このケーキには』

 月野夕は笑顔でパソコンを一瞥してから、キッチンの冷蔵庫にファンタ・オレンジを取りに行った。
「ダーリンの野郎、ま~た間に合わなかったじゃねえか……」中嶋はしらけっつらで言った。
「リアルタイムは格別だからね」稲見はパソコン画面に微笑んだ。
キッチンから「おーい、何ファンタ飲むよ~?」と月野夕の声が響いた。
「ファンター!」中嶋は大声で答える。
 キッチンから「だから何味だよ……」と聞こえる。
「ファンタなら何でもいい」稲見はパソコンを見つめながら、少し大きめの声で答えた。
「冷てえのもってこいよ」
「おらよ」
「あ、ぶ! 投げんなよ…てめえ……」
「はいよ、イナッチ」
「ありがとう。終わるね」

『何か愛されてるなぁって、改めて思いました。んー、本当に、写真集を出して思ったのがぁ、周りのスタッフさんとかファンの皆さんとかにぃ、本当に何か新内って、何だろ、思ってもらって、仕事をもらってるんだなって、おも、いましたぁ。んー何か、普段、なかなか感謝する機会、無いんですけど、この場を借りて、本当に、いつもありがとうございます。うん、何かこうやって一人でぇ、ね、一つのものを出す、ていうと、何か責任とかも色々感じるんですけど、ま改めて、色んな方々が関わってくれているなって思いますし、何か出して良かったなって、思ってもらえるような、人にならなきゃな、て、改めて思いました。うん。最後めっちゃ真面目やん! ふふふふ』

「まいちゅんって、真面目だよな?」月野夕は中嶋に言った。
「OLの顔もあっからな!」中嶋はけらけらと笑う。
「カフェのオーナーも経験済みだしね」稲見は言った。

『そうでもほーんと思うんです。今日とかも、沢山色んな所にまわらせていただいて、その度に色んなスタッフさんとか色んなファンの方に、会ってぇ、ほんとに、ありがたいなって思います。でどこ行っても写真集観たよとかラジオ聴いてるよとか、ショールーム観るねえとか、がんばってねとか言われるので、いや~、ありがたい事ですほんとに。ね明日も、色々新内は出たりするので、チェックしていただけたらなと、思います。うん!』

 ショールームの「乃木坂46新内眞衣ファースト・写真集『どこにいるの?』発売記念SP」の生配信の終了と同時に、パソコン画面に元の風景画面が戻った。
 月野夕と中嶋波平は、テーブル席でくつろいでいる。稲見瓶も、読みかけの新内眞衣の写真集を手に取って、床のザブトンに座った。
 月野夕も、新内眞衣の写真集を開いた。
 中嶋波平も開く。
 パソコンからは、乃木坂46の『制服のマネキン』が流れていた。
「さあ、続き続き~」
「お前ら、変な声とか出すなよ。俺集中すっからな?」
「さあ、後半戦、楽しみだ」

       3

「まいちゅん……」
「?」新内眞衣は振り返った。「ん何ぃ?」
 風秋夕はどうしようもないくらいに、微笑み、新内眞衣を見つめる。
「どした?」眞衣は苦笑する。「なにぃ?」
「好きになったのが、今日だとしても。この想いを超えるものはない」夕は眞衣を見つめたままで言った。「それが、好きになってからの歳月も長いとなると……、もう、何でこんなに好きなんだろう、て……」
「突然なに?」眞衣は改めて苦笑した。
 〈リリィ・アース〉の地下二階エントランスのメインフロア、その東側のラウンジ、通称〈いつもの場所〉に、乃木坂46二期生の新内眞衣と、乃木坂46ファン同盟の風秋夕はいた。
「何でこんなに好きなんだろう」夕はもう一度言った。
「あのさ……。女の子口説くんなら、他に行きなよ」眞衣は小首を傾げて、改めて夕を見つめ返す。「私は、あれよ? 一応、乃木坂ですからね、まだ」
「ファンと乃木坂は繋がってる」夕は微笑む。
「そーれは、そう…だけどさ。そうじゃなくて」
「好きなのを、好きって言葉にしただけだよ」夕はまだ温かいコーヒーをすすった。「口説くなんて、こんなもんじゃないよたぶん。毎日薔薇の花束が届くよ」
 風秋夕は笑った。新内眞衣もはにかむ。広大なフロアにはジャビンのR&Bサウンド『スレンダー(ユアー・ラブ)』が流れていた。
「まいちゅんってスレンダーだよね。この曲、スレンダーっていう曲なんだけどさ、これ聴くとリアルにまいちゅん思い出すんだよ。昔っから」
「ふーん。カッコイイ曲だね」眞衣はまた、携帯電話をいじり始める。
「……」
 風秋夕は足を組み替えて、腕組みをしたままで、新内眞衣を静かに見つめる。
「?」視線に気づいた眞衣は笑う。「なあに? 何ですか、今日ちょっと変じゃない?」
「好きなんだよ?」夕は足を開いてソファに座り直した。「本当なら、独り占めにしてしまいたいぐらいなんだ。たまには、数秒見つめたっていいでしょう?」
「やだ」眞衣は苦笑する。「何か変な感じする。やだやだ、やだ!」
「おてんばなお姫様だ」夕はにっこりと微笑む。
「あのねえ、私の方が年上ですからね……」
「それが?」夕は眼を見開いて眞衣を見る。
 新内眞衣は溜息を吐いた。
「今日イナッチはいないの?」眞衣は辺りを見回す。「ダメだ夕君、今日暴走してるわ」
「どう、このままBRAノギーでも行きませんか?」夕は微笑む。
「なんかこのまま行ったら、酔えなそう」眞衣は警戒している。
「酔ったら抱っこ、してあげるけど?」
「そういうの!」眞衣は夕を指差す。「無しのはずでしょ! あールール違反だ~!」