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ポケットいっぱいの可愛い。

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「私も……」日奈は和美人の瞳をゆっくりと瞬きさせた。
「贅沢な会社だよな」磯野はふぬけづらをしかめた。「うちも一発CMでもしてちっと気合入れて稼ぐかな~」
「波平んとこは、今あれだもんな、コロナで、…大変だろ?」設楽修氏はつまみを食べながら磯野を見た。「不動産だろ? あれ違うっけ?何だっけ」
「あれだよね」日村勇紀氏は笑みを浮かべて磯野に言う。「貿易(ぼうえき)関係だったよね。それ憶えてる俺」
「そっす」磯野は頷いた。「大変っすよ、この時代……。飛行機さえ飛ばない時間が長かったっすからねぇ……」
「ファーコンに不景気はない?」設楽修氏は夕を見てにやけた。
「うちの会社が不景気になるとしたら、どこかの企業で歴史に名を遺す天才発明家が出た時ですね」夕はにこやかに言った。「うちもNASAと提携したり、研究分野には自信がありますから。将来、それをどうやって売り込んでいくか、それを常に考えてます」
「夕が社長やるの? その、いずれは」設楽修氏はそう言ってから、稲見を一瞥する。「あれ…、あれだよな、ウパと瓶のお父さんが、共同経営してるんだっけ?」
「はい」稲見は答えた。
「だよな。じゃあ」設楽修氏はにやけて夕と稲見を見る。「共同経営か、将来は」
「そう考えてますけど、ね。上が何て言うかな」夕は苦笑した。「でも、俺はやるならイナッチ以外とは組まない」
「嬉しい事を言うね、今日は機嫌が良いらしい」稲見はダルゴナコーヒーのカップを手に持ちながら、笑みを浮かべた。「設楽さんは、どうして元陸上部の日村さんと組もうと思ったんですか?」
「元陸上部って、ほんとに元陸上部みたいじゃんそう言っちゃったら」日村勇紀氏は苦笑する。「お笑いのコンビ名ね、元陸上部は」
「うん……。話すと長いんだけどね」設楽修氏は言う。「この、日村さんの面白さを、世に伝えるのは、俺の役目だと思ったんだよね。以上」
「みじけ!」磯野は驚く。
「はっは」夕は短く吹き出して笑ってから、にやりと言う。「一種の運命ってやつか」
「つーか日村さん家以外で、それこそ仕事以外でメシ食っちゃいけないんじゃないんすか?」磯野は日村勇紀氏を呆然と見つめながら言った。
「だー食ってないじゃん」日村勇紀氏はどや顔で言った。
「食ってんじゃないっすか!」磯野は驚いて、からの皿を見る。
「だ食ってないじゃん、違うじゃん、これは」日村勇紀氏は強引に融通を通そうとする。
「食ってんじゃないっすか、七百グラムなんてそうそう食えませんよ!」磯野は驚く。
「違うじゃん」日村勇紀氏は変顔をしてごまかす。
 その場に笑いが巻き起こった。
「日村さん。じゃあ、そろそろ俺ら行くわ」
「はい。じゃあねー、またねー」
 その場にいる誰もが、丁寧にバナナマンの二人に挨拶を済ました。
 それからすぐに、上着を羽織った設楽修氏と日村勇紀氏は、何でもない会話を楽しみながら、軽い歩調で帰っていった。
「あー、みなみちゃん、何吞む?」夕は帰が付いたようにみなみに言った。「ご飯は、まだ食べてない?」
「食べてなーい」みなみは無邪気に微笑んだ。
「なら、ちょうど昨日入りたての新しいシェフの得意料理でね、酸辣湯(サンラータン)と四川風エビチリとホタテとえびのグリーンカレーが絶品なんだ。辛いけど、大丈夫なら、おススメしておく」稲見はみなみににこりと微笑んだ。
「あーじゃあそれ食べるー」みなみは稲見を微笑んで見つめる。「…頼んで。忘れちゃった」
「飲み物は、とりあえずお茶にしようか? 辛いからね。うん。イーサン、冷たいお茶と、酸辣湯と四川風エビチリとホタテとえびのグリーンカレーを至急、お願いします」
 稲見瓶は電脳執事のイーサンに注文した。畏まりました――と応答があった。
「飛鳥何飲んでるの?」みなみは隣を見る。
「ん。アイス、コーヒー」飛鳥はストローを咥えながら答えた。
「ちまとまあやは?」みなみは笑顔でそちら側を見る。
「飲むヨーグルト、みたいなやつ」日奈は笑顔で答えた。
「ポニーテール、ていうカクテル。ここのオリジナルなんだって」まあやはコリンズ・グラスを一瞥しながらみなみに答えた。「美味しいよ」
「ふうん。夕君達は何飲んでるの?」みなみは笑顔で夕達を見る。
「カフェ・オレ」夕は笑顔で答えた。
「ダルゴナコーヒーだよ」稲見は無表情で答える。
「ミルクティーな」磯野は笑みを浮かべてみなみに答えた。
「そっかぁ。あー、ちょと、お腹すいた」みなみは腹部に手を当ててはにかむ。
「可愛いなぁ……」夕はみなみの笑顔に見とれながら呟いた。
「声に出てるよ、夕」稲見は言った。
「出したんだよ」
「可愛い、つったら、やっぱみなみちゃんか?」磯野は誰にでもなく言った。「つう事ぁ、世界共通の可愛いだよなあ?」
「可愛いなんてだいたい世界共通だろ」夕は呟いた。「そうじゃなくて、世界に通用する可愛いだって事が、凄いんじゃねえか」
「そうだね。みなみちゃんに微笑まれたら、誰でも恋をする」稲見は納得した。
「大丈夫。飛鳥ちゃんは特別だから」夕はにっこりと飛鳥に微笑む。
「なんですか、急に……」飛鳥は夕を迷惑そうに一瞥した。
「確かに比べられないし、比べようとするのは間違いだね。それじゃもったいない」稲見は淡々と語る。「個性があるわけだし、その個性が可愛いに直結してる場合が多い。だったら比べ合いは可愛いのつぶし合いと同じだ」
「そんな比べようのない乃木坂の可愛いの中でも、やっぱりみなみちゃんを可愛いの天才と言いたくなるんだよ」夕はにこやかにみなみに言った。「可愛いのチャンピオンだよね」
「ありがとー」みなみは苦笑する。
 その時、電脳執事のイーサンのしゃがれた老人の声で〈レストラン・エレベーター〉にドリンクが届いた事が知らされた。稲見瓶は立ち上がってそれを星野みなみのテーブル・サイドへと運んだ。
「ありがと」
「ストローは、使う?」稲見は袋に入ったままのストローを見せる。
「うーん、じゃあ使う」みなみははにかんだ。
 稲見瓶は上品に、ストローには触れないように袋を剥がし、星野みなみに手渡した。
「ありがとう」みなみは微笑む。
「俺、みなみちゃんにありがととか言われちゃうと、なんか変な気分になるかも……」磯野は鼻の下を伸ばして笑みを浮かべた。
「その顔をやめろ!」夕は嫌がる。
「波平君はどうしてそんなにエッチなの?」日奈は潤った瞳で、磯野を見つめて言った。
「でひ、ひなっちま、そりゃ殺し文句だぜえ」磯野はスケベづらで微笑む。「ひなちま、どうしてそんなにエッチなの? てもっかい言ってくれよぉ」
「なんでえ?」日奈は笑う。「どうしてそんなにエッチなの?」
「ぐうう!」磯野は嬉しがる。「まあや、まあや言ってみ!」
「え。……どうして、何だっけ?」まあやは日奈に耳打ちで教えてもらう。「あ、どうしてそんなにエッチなの?」
「んー。ちげえな」磯野は首を傾げる。
「お兄ちゃん、て言ってみて」夕はまあやに言った。
「お兄ちゃん……」
「うっっひょーー!」磯野は一瞬だけ立ち上がって喜んだ。「夕てめえ、て~めえこの、いい奴だなてめえ!」
「だろ?」夕は磯野に微笑んでから、飛鳥を見つめる。「飛鳥ちゃんはねえ、やーだよ。……嘘だよ。て言ってみて」