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ポケットいっぱいの可愛い。

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「やですよ」飛鳥は座視で言う。
「お願いします」稲見は言った。
「頼む!」磯野は強く言う。「一回だけ!」
「えー……」飛鳥は面倒くさそうに首を鳴らした。「なんて言うんだっけ?」
「やーだよ。……嘘」夕は微笑んで言った。
「やぁーだよ……。うそ」飛鳥はそう言って、苦笑した。
「やべーーー!」磯野は立ち上がる。「わかってんなあ、夕てめえ!」
「ああ、確かに、飛鳥ちゃんのでれだね」稲見は微笑んだ。「最高だ」
「わっかる?」夕ははしゃぐ。「わかっちゃうみんな?」
「飛鳥はそれあるかもねー」まあやは無垢な笑顔で言った。
「うん。そうゆうとこある」日奈も長いまつげを瞬きさせながら言った。
「そう? ですか」飛鳥は無表情に戻る。
「ここは人が来ると火入れしてあるからね、もう来るよ」稲見はみなみに言った。
「うーん。お腹減った~」みなみは微笑む。
「あ……」夕はそれに気づき、声をもらした。
 それは星形に五台並んだエレベーター近くを通りかかった松村沙友理の姿であった。
「まっちゅーーん!」夕は立ち上がる。「こっちおいでよー」
「まっちゅんこっちこっちー!」磯野も立ち上がったままで沙友理を手招いた。
 松村沙友理は南側のソファに一人で座った。
「何を呑みますか、お姫様」夕はとびっきりの笑顔で沙友理に言った。
「え、みんな、お酒?」沙友理は皆にきく。
 それぞれが松村沙友理に己のドリンクを答えた。
「えー、まちゅ、どうしよ……」沙友理は悩みながら、夕に言う。「ホット・ココア」
 風秋夕は笑顔で頷き、電脳執事にそれを注文した。
「ご飯は?」稲見は沙友里にきいた。
「食べてきたー」沙友理は笑顔で答えた。
「まっちゅんも可愛いの元祖、みたいな存在だよな?」磯野は皆に言った。
「あー、そうだな」夕は深く納得する。
「なになに、なんの話?」沙友理は笑みを浮かべてきょろきょろする。
「可愛い、つったら、誰かって話だよな?」磯野は誰にでもなく言った。
「みなみちゃんがそうだね、て話になったんだ」稲見は沙友里に説明する。
「あー、えー、うーんみなみちゃん、うんそうだね。確かにー」沙友理は表情豊かに深く納得した。
 星野みなみは笑顔でいる。和田まあやも樋口日奈も笑顔であったが、齋藤飛鳥だけは無表情であった。
 酸辣湯(サンラータン)とホット・ココアが届いた。稲見が〈レストラン・エレベーター〉に届いたそれらを、移動式のキャビネットに載せて、テーブルまで運んだ。知らせてはいないが、人数分の、割り箸とレンゲが届いていた。
「ん。美味しぃ……」みなみは大きな瞳を見開いた。「飛鳥、ちょと食べてみて。あ辛いの大丈夫?」
「大丈夫だけど」飛鳥は、恐る恐るで味見してみる。「あうま……。うん美味しい」
「ねーちょっと食べてみて」
 星野みなみは全員の女子達に味見をしてもらった。その評価は高いものである。
「さっきまでバナナマンのお二人がいたんだよ」日奈はセクシーな視線で沙友理に言ったが、誘惑しているわけではない。「びっくりじゃない?」
「え、嘘やん」沙友理は驚愕する。「ほんとにぃ? 会った事ないわ、ここでぇ」
「私達も初めて会ったの」日奈は沙友里に答える。「しかもね、私達がここに来てる事も知ってたって」
「えーそうなん?」沙友理はどうしようもなく微笑む。「こわっ。どこまで知ってんのやろ」
「俺と飛鳥ちゃんが本命同士ってのは、知ってんだかなあ?」磯野は真剣な顔で言った。
「うるせえ」飛鳥は言う。
「あーもう、みなみ卒業しちゃうんだねえ。なんで、卒業しなきゃいい」まあやはみなみにほろ苦く微笑んだ。「じゃ、あと一年、がんばろ」
「ごめんねー」みなみは微笑んだ。
 風秋夕は黙って微笑む星野みなみを見つめていた。稲見瓶は、視線は落として、星野みなみの事を考えている。磯野波平は、〈レストラン・エレベーター〉に届いた四川風エビチリとホタテとえびのグリーンカレーを、移動式のキャビネットに載せて、テーブルへと運んだ。星野みなみに、笑顔を浮かべながら。
「さあ、新しいシェフの資格試験だ」稲見はみなみに微笑んだ。
「こっちも腕自慢ってのを雇ってるからな。まずいじゃ話にならん」夕もみなみに微笑んで言った。「感想聞かせて」
「本音でいいぜ」磯野はみなみに笑みを浮かべて言う。「俺的に酸辣湯(サンラータン)とグリーンカレーは合格だったけど、四川風エビチリは八十点ってとこだな。エビチリはかれぇとなんかなあ」
「うーん美味しい!」みなみは笑顔で飛鳥を見る。「エビチリ、食べてみて。みな次グリーンカレー食べてみるから」
「へーい」飛鳥は四川風エビチリを味見する。「うん……っ、辛ぇなぁ」
 星野みなみはその場の女子達全員に、四川風エビチリとホタテとえびのグリーンカレーを味見してもらった。評価は様々であった。
 星野みなみは笑顔で食事をすすめていく。
「一月は少しスケジュールに余裕があるんでしょ?」夕は女子達を見て言う。「遊びに来てね。ここに住んだっていいんだから」
「あんたそればっか言ってるよね」飛鳥は呆れた口調で言った。「住みませんから」
「まあ、来てくれてるだけで、リリィも喜んでるだろうけどさ」夕は微笑んだ。
「からーい……」みなみは片手で風を扇ぐ。「あっつい……」
「まあやもなんかたのもかな……」まあやは呟いて、メニュー表を手に取った。
「なんか新しいのとか、あるかなぁ……」日奈もまあやの開いたメニュー表を覗き込む。
「まちゅ、カレンダーありがとう」夕は沙友里に微笑んだ。
「いや、こちらこそ、ありがとうございます」沙友理は微笑んで夕に言った。
「なんか、わても、食欲出てきたな……よ、と」飛鳥はメニュー表に手を伸ばした。
「乃木坂とファンは運命共同体だ」稲見は女子達を見回しながら言った。「まだまだ、みんなを知っていきたい」
「まだまだ遊びたんねえよ」磯野はにかっと笑った。
「いっぱい遊びに来てね」夕はにっこりと微笑んだ。「待ってるよ」

       4

「みなオレンジジュース」みなみは駅前に答えた。
「飛鳥さんは?」駅前は飛鳥に尋ねる。
「んーと……。カプチーノ」飛鳥はメニュー表をテーブルに置いて、ソファに深くもたれかかった。「あー……スペイン、また行きたいなぁ……」
「ね」みなみははにかむ。
 駅前木葉は電脳執事のイーサンに注文をしていた。二千二十二年一月中盤。星野みなみと齋藤飛鳥は、互いに連絡を取り合い、〈リリィ・アース〉に訪れていた。
 今は地下二階の東側のラウンジにてのんびりしている。乃木坂46ファン同盟の姫野あたると駅前木葉も一緒であった。
「今野さんほっといて、ですね。アベマの」駅前は笑みを浮かべる。「私の一番好きな動画です、あしゅみなのスペイン旅。そういえば、ここにはスペインの料理や飲み物も多く存在してますよ。ご存知ですか?」
「え、そうなんだ。知らんけど」飛鳥は駅前を一瞥して言った。
「えーほんと、そ、何が美味しかったんだっけ?」みなみは飛鳥を見つめる。
「生ハム?」飛鳥は微笑んだ。「わかんない全部美味しかった」
「ねーほんと、全部美味しかったー」みなみも微笑んだ。