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手袋を買いに行ったら大好きな人ができました1

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 炭治郎と禰豆子が頭を下げてお願いすると、霞柱様はやっぱりどうでもいいという顔をして、ひらひらと手を振りました。
「勝手にしなよ。君たちはあの子の試験にも合格しているからね。あんまり失礼すぎることさえしなければ、好きにしてていいよ」
 霞柱様のお許しが出たので、炭治郎たちはさっそくお弁当を食べることにしました。雨が降る前に帰らなくてはいけないので、伊之助や善逸が元気をなくしてしまうのは困るのです。

「そういえば、向こう岸にいたお面の子は霞柱様の眷属なんですか?」
「そうだよ。仲間や家族が危ない目に遭うかもしれないのに、自分の望みが叶うほうが大事な奴の願い事なんて、神は叶えてやらないもの。あの子の試験に合格しなきゃ、ここには来られないんだ。最近では、お参りじゃないのにここに来られたのは君たちだけだよ」
 霞柱様はこともなげに言い、つまらなそうに小さな溜息をついています。
 それを見て、早くも口いっぱいにお弁当を頬張った伊之助が、ちょっと馬鹿にしたように鼻を鳴らしました。
「ふーん、神様ってのはめんどくせぇな」
「お前、神様に向かってなんでそんなに平然としてられんのぉ!? 信じらんない、あ~やだやだなんにも考えてない奴は気楽でいいよなぁ」
「んだとぉ! 紋逸、てめぇやるかぁ!?」
「お前たち、食事中に喧嘩するんじゃない! あ、そうだ。霞柱様もお弁当食べませんか?」
 ぼんやりと炭治郎たちのやり取りを見ていた霞柱様は、炭治郎の言葉にきょとんとまばたきしました。驚いた顔をすると、神様だというのに炭治郎たちとおんなじ子供のように見えます。
「僕に? 僕は柱だよ? なのに一緒にお弁当を食べようって言うの?」
「炭治郎っ、お前までなに言い出してんのぉぉ!? すいませんすいません、こいつら物知らずばっかりなんです、なんにも考えてない能天気なんですぅぅ!! 罰を与えるのは勘弁してぇぇぇっ!!」
「善逸さん、騒ぐのも失礼でしょ。静かにして!」
 禰豆子に叱られてしょぼんとする善逸に苦笑して、炭治郎は、なおも霞柱様に言いました。
「ご飯はみんなで食べたほうがおいしいですから! それにこのお弁当は、霞柱様に対価としてお渡しするために、洋服屋さんが用意してくれたものなんです。洋服屋さんのお弁当、本当においしいんですよ?」
 ニコニコと言う炭治郎に、霞柱様はさもおかしそうに笑いだしました。
「君って変わってるね。神様に一緒にご飯を食べようなんてさ」
「神様だって一人は寂しいと思うんです。ご飯だって、神様だからみんなと食べないなんて、悲しいですよ」
 霞柱様はじっと炭治郎を見ると、やがてにっこり笑ってうなずきました。

「気に入ったよ、炭治郎。あの人の加護が先じゃなければ、僕が眷属に迎えたのになぁ。僕の名前は時透。いいかい、もしも僕を呼ぶときは、そう呼びかけるんだよ?」

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇