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手袋を買いに行ったら大好きな人ができました2

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 そりゃあ、お客さんは滅多に来ないかもしれませんけれども、洋服屋さんがお店を離れたら、お客さんは買い物ができません。それに、洋服屋さんが炭治郎たちにお遣いを頼むのは、手袋やマフラーに払うお金の代わりなのです。
 それなのに洋服屋さんは、炭治郎たちのためにご飯やお弁当を用意してくれて、暖かいベッドで眠らせてくれたりもします。どんなにお手伝いしても足りないくらい、洋服屋さんのほうがずっと多くのことを、炭治郎たちにしてくれているのです。
「お言葉ですが! 洋服屋さんは俺たちに本当にやさしくしてくれます! お手伝いはお代の代わりにしてるんです、洋服屋さんを悪く言うのはやめてください!」
 きっぱりと大きな声で言った炭治郎に、善逸がギョッと目をむきました。
「お、おい、炭治郎っ。柱様になに言ってんだよっ」
 慌てる善逸が止めても、炭治郎は一歩も引く気はありません。
「おい、テメェ。それが柱に対する態度かァ? 口の利き方を知らねぇガキだなァ」
 すっかり気を悪くしたらしい風柱様に、眷属の少年もオロオロとしています。
「兄貴、こいつらはちゃんと自分で崖を下りてきたんだ。試験は合格してるんだよ。こんなチビどもが頑張ったんだぜ?」
 取りなす少年を見て、風柱様はまた舌打ちすると、ピィッと指笛を吹きました。するとたちまち風が巻き起こり、どこからかやってきた鳥が、何羽も炭治郎たちの頭の上を飛び回りだしたではありませんか。
 やがて、一羽の鳥が高く一声鳴くと、風柱様の手に真っ白な羽根を一本落としました。
 その羽根を少年に手渡して、炭治郎たちに向かって顎をしゃくると、風柱様は言いました。

「おらよォ、これを持っていけや。あの野郎は気に食わねぇが、しかたねぇ。おい、俺の名前は不死川だァ。もしも俺を呼ぶときは、そう呼びかけるんだなァ」

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇