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手袋を買いに行ったら大好きな人ができました 3

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「『災い』の恐ろしさはみんなもよくわかっているだろう。その首魁である鬼舞辻無惨はとても強くて狡猾だ。おそらくは、年の替わる夜に襲ってくるのは手下の『災い』だけで、無惨は安全な居城にこもって高みの見物をするつもりだろうね」
 お館様の声はやさしくて穏やかなのですが、お言葉の内容は恐ろしく、動物たちはみんな震えあがりました。
「もちろん、柱たちは君たちを守るために戦う。今の柱たちは歴代最強だと私は信じているよ。だからきっと、無惨以外の『災い』なぞに後れを取ることは決してないだろう。それに、無惨を討ち取る手立てもすでにわかっている。無惨は闇の生き物だ。多くの『災い』と同じく日の光を嫌う。強い天の力を持つ新年のご来光を浴びせさえすれば、無惨であっても塵となり、跡形もなく消え失せる」
 お館様のお言葉にワッと湧いた安堵のざわめきも、続いたお言葉を聞いた途端に、落胆の溜息に変わりました。

「けれど、無惨を倒すには、柱たちの力だけでは果たせないんだよ」

 とても強くて不思議な力を揮える柱様たちでさえ敵わないというのなら、力もなく弱い自分たちに、いったいなにができるというのでしょう。なす術なく殺されてしまうよりほかないのでしょうか。
「そこで君たちに私からお願いがあるんだ。無惨の居城である無限城は、私でさえ破れない強い結界に守られている。神である私や柱たち、またその眷属では、無限城には入れないんだ。無惨にとっては餌でしかない動物でなければ、無限城は決して侵入を許さない」
 お館様のそのお言葉に、炭治郎の胸がドキンと大きく鳴りました。禰豆子の手を握る手にも力がこもります。しっぽが興奮にふくらんで、我知らずユラユラと揺れました。炭治郎をじっと見つめる禰豆子の視線にも気づきません。
 炭治郎はドキドキとしながら、お館様のお言葉の続きを待ちました。聞き漏らすまいと大きな耳はぴくぴく震えて、耳飾りが小さく揺れています。ほかの動物たちが不安と怯えで騒めくなかで、炭治郎だけは大きな赫い瞳をきらきらと輝かせて、一心にお館様を見ていました。

「私のかわいい子供たち……このなかに誰か、無限城に入る勇気のある者はいるかい?」

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇