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忘れないをポケットに。

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 五人はしばし歩き、目的の巨大な扉の前に立った。天野川雅樂がその巨大な扉を腕を力ませて開くと、電動で扉はゆっくりと開いた。
 通路が在る。左側の壁面には、三店舗、BAR施設のような店構えがあった。
「行くぞ」天野川はスマーフォンをポケットに仕舞い込んで、歩き出した。
「わ~、ビルの中に街があるみたいだね~」来栖は風景を喜んだ。
「んで、どこ?」兎亜はすぐに歩みを止めた天野川の背中を見つめて言った。「ここなの?」
「そうだ。ちったぁ自分で夕さんと連絡とれや」天野川はドアの前に立つ。
 自動ドアがスライドし、雰囲気の良いR&Bサウンドが五人の耳に飛び込んできた。尚、比鐘蒼空だけはイヤホンをしているが。
 店内に入ると、すぐに風秋夕が軽快に手を上げて合図した。
 五人はその場へと歩みより、急に、その脚を止める。止めざるを得なかった……。
 そこには、五人を振り返った、乃木坂46の齋藤飛鳥と、北野日奈子と、山下美月と、与田祐希がいる。
 五人は文字通り、驚愕していた。
「マジかよ……」天野川は、不意に呟いた。「これだけは、冗談だと思ってたけどな……」
「僕は信じてましたよ」来栖は、にこやかに、夕へと手を振った。
 風秋夕は五人の前で、その脚を止める。
「百聞は一見に如かず、だ」夕は微笑んだ。「秘密が大事だって、理解できたか?」
「驚きですわね……」咲希は乃木坂のメンバーから眼を離せない。「そこに座っているのは、本物の乃木坂なの……」
「こりゃおったまげた~」兎亜は面白そうに笑った。「ほんとにいるじゃん。夢かこれ」
「夕さん、マジで乃木坂と……」天野川は言葉を無くす。
 風秋夕はにっこりと、微笑んで、そのテーブルへと五人を案内した。
 齋藤飛鳥は驚いた様子で、初見の五人を座り尽くしたままで見上げている。北野日奈子はにこやかに自己紹介をした。
 山下美月と与田祐希も、驚いた様子ではあったが、先に話を聞いていた為に、北野日奈子に続いて、落ち着いた調子で自己紹介をした。
 話を聞いていなかったのは、齋藤飛鳥のみである。
「はい、紹介します」夕はにこやかに片手で紹介する。「こちら、ファン同盟の新メンバーの皆さん……。はい、自己紹介。雅樂から」
「あ、天野川雅樂(あまのがわがらく)です……。二十二歳、箱推しです……。あ」天野川はそこで、磯野の存在に気が付く。「磯野、てめえ……。乃木坂と一緒に何してやがる、殺すぞ……」
「一生言ってろ」磯野は呆れ顔で言う。「続けろよ、次のやつ、自己紹介。俺も会うなー、天野川以外初めてなんだからよ」
「あ、来栖栗鼠(くるすりす)って言います」来栖はにっこりと微笑んだ。「十九歳です。えっとぉ……基本箱推しですが、神推し、与田祐希さんと、筒井あやめさんです! うっわご本人達の前だよ!」
 女子達は、酔いも程よく回っているせいか、呆然と挨拶の声を返す。
「宮間兎亜(みやまとあ)です。こう見えても二十歳、成人してます。うっわ」兎亜はその表情とハスキーな声を驚かせる。「箱推しだけど、神推しいます。齋藤飛鳥ちゃんでぇ~す!」
「あら……」飛鳥は呆然と声をもらした。
「御輿咲希(みこしさき)と言います。年齢は二十一、基本的に乃木坂は箱推しですが、神推し、わたくしにもいます」咲希は綺麗な口調で淡々と言う。「神推し、美月ちゃん、まいやん、梅ちゃんです」
「えー」美月は美しく微笑む。「嬉しい、ありがとぉ……」
 比鐘蒼空(ひがねそら)は両耳からイヤホンを取る。
「比鐘、蒼空です……。歳は、二十……」比鐘はぼそくさと言う。「箱推し、です。……神推し、西野七瀬さん、と、松村沙友理さん、です……」
「はいびっくり~!」夕は女子達に微笑む。「乃木坂にも新メンバー加入、同時にこちら、ファン同盟でも新メンバー、加入で~す!」
「何で?」飛鳥は夕を見上げる。「何でなの? 聞いてないんですけど」
「何で、か……て言うと」夕は、またにっこりと微笑む。「この五名とも、箱推しの乃木坂ファンで、俺が心底惚れた人物達です、お姫様」
「よろしくお願いします!」来栖は微笑んで言った。
 乃木坂46の四人は、まじまじと乃木坂46ファン同盟の新メンバー達を眺める。
 金髪マッシュの来栖栗鼠(くるすりす)。身長は百七十センチ程で、女の子のような容姿をしている。
ハイブラウン色のセミロングの宮間兎亜(みやまとあ)。身長は百五十五センチ程で、半眼がちの、可愛らしい顔つきをしている。
黒髪のツイストパーマの天野川雅樂(あまのがわがらく)。身長は百七十七センチ程で、細身の美形だが、眼つきが悪かった。
茶髪のゆる巻きロングの御輿咲希(みこしさき)。身長は百六十五センチ程で、綺麗でどこかゴージャス感がある。
黒髪のナチュラルセンターパートの比鐘蒼空(ひがねそら)。身長は百七十六センチ程で、整った顔立ちをしていて、大人しい。
「え、ほんとに?」飛鳥は瞬きを強調させて、夕を見上げた。「ほんとに言ってます?」
「心強い味方だよ」夕ははにかんだ。「SNSで発見した、乃木坂をこよなく愛している仲間達だよ。みんな一人一人にストーリーがあって、俺が一方的に惚れこんだんだ」
「夏頃からかなぁ?」来栖は言う。「夕君に出会って、たぶん、一方的に面接されてたんだと思います。今思えば、だけど」
「仲良くなってからの夕君の話は、それはもう、夢みたいな想像話ばかりで」咲希は口元を片手で押さえた。「でも、夢じゃなかった、みたいですわね……」
「生きてて良かった~」兎亜はにっこりと半眼を喜ばせた。「飛鳥ちゃ~ん、下僕になりやすぜ。よろしくどうぞ~」
「ども……」飛鳥は眼を白黒させながら会釈する。
「磯野、てめえは夕さんの事利用して、こんな事してやがったのか……」天野川は磯野に鋭い視線を叩きつける。「俺様の乃木坂を……、許さねえぞ、磯野ぉ」
「先輩として言うけどね、ケンカはダメだよ」稲見は澄ました表情で天野川に言った。「先輩と言ったけど、天野川君とは同い年だけどね、たぶん」
「イナッチ、ついでに自己紹介、しちゃえよ」夕は稲見に言った。
「稲見瓶です。あき瓶のビンと書いて稲見瓶です。イナッチと呼ばれています」稲見は無表情で、眼鏡の位置を修正する。「二十二歳、いて座、千九百九十九年十二月生まれ、趣味は料理です。それと、この地下組織に出入りするには、掟があります。それぞれ、たぶん夕から聞いていると思うけど、破れば世界のどこにも居場所がなくなるような罰が待っています。存じていて下さい」
「波平」夕は磯野を見る。
「お~」磯野は強気の笑みを浮かべる。「俺ぁ、磯野波平だ」
「ぷ」来栖は小さく吹き出した。
「あーてめえコラぁ! あー笑いやがったな俺のフルネームでえ!」磯野は来栖を指差して立ち上がる。「俺がリーダーなんだぞ! 出禁だっ、てめえなんかはっ!」
「ごめんなさい、磯野さん……」来栖ははにかんだ。「聞いてたんだけど、笑っちゃった」
「出禁だ~!」
「おら、続けろって。自己紹介……」夕は嫌そうに磯野を見る。
「磯野波平だ……。二十二歳、イナッチと夕とタメ。趣味は筋トレだ」磯野は来栖に眼つけながら言った。「よろしくな、クルス、つったか、小僧……」