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忘れないをポケットに。

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来栖栗鼠が答える。「はい。言っていいのかな~……」
金川紗耶は笑みを浮かべて言う。「いいよ、言っちゃいなよ」
掛橋沙耶香も微笑む。「言っちゃっていいよ」
「彼が僕を見つけた時ぃ、僕は、アンチ乃木坂の誹謗中傷と戦ってたんです」来栖は真剣な面持ちになった。「どうしてそうやって意地悪するのかって。見守ろうよって」
「夕さんが入ってきて、その炎上を止めたんだ」天野川が言った。「俺の時も同じだった。まさかそれが夕さんだとは気づかなかったが、誰だこの言葉の魔導士は、ぐらいにはびびったな。炎上を数回のコメントで沈めたからな……」
「僕も雅樂さんも、きっと誹謗中傷に屈しないところを気に入られたんだと思います」来栖は笑顔に戻った。
「わたくしは、なんというか、そのぉ……」咲希がしゃべり始めた。「わたくしにふりかかった人生に興味を持たれたんだと思いますの」
「というと?」絢音はきく。
「ふりかかった、て事は困難だよね?」怜奈は咲希に言った。
「はい」咲希は頷いた。
「は~やい話、このお嬢様は大金持ちの御曹司だったんだけど、一文無しになったのよ」兎亜は半眼ですらすらとハスキーに言った。「会社役員だったお父様の残したもの、それが多額の借金だったわけね……。でも払い終えたんでしょう? あんた」
「ええ、一円も残りませんでしたわ」咲希は首筋を伸ばして、気丈な態度で言った。「乃木坂のくれる楽しい毎日があれば、何てことなかったですわ。ふん。兎亜さん、あなたはどうなのですか?」
「あたい? あたいは、ねー。うん、あたいもねー、あたいの人生に興味持たれた、て感じかな?」兎亜は回想しながらハスキーに言葉を続ける。「あたいねえ、十六の時に家出してから、誰の力も頼らないで、一人っきりで生きて来たのよ。心の支えはいつも、いつでも、乃木坂の皆さんだったわ」
「あー、夕さんなら興味持ちそうだね!」来栖は楽しそうに言った。
北川悠理は言う。「蒼空さん、は?」
清宮レイも続いて言う。「どんな出会いだったんですか?」
比鐘蒼空は、イヤホンを両耳から外した。
「おいらはぁ……、SNSで。知り合いました」比鐘はそう言って、完結させた様子であった。
「そらぁみんなそうだろが、理由があんだろ、理由が」天野川は苛つきながら比鐘を睨みつけて荒々しく言った。「イヤホンも最初っから取っとけ。しゃべってるんだからよぉ。聞いてんのか、比鐘ぇ」
「おいらは、……友達を知らない」比鐘は、うつむいてしゃべった。「友達を、作った事がない……。乃木坂だけいれば、それで良かった……そうしたら」
「夕君が興味持ったわけか」遥香は言った。
「あー、うん、わかるかも」さくらは微笑んだ。
「友達より、いいもんを、教えるよ…て」比鐘は上目遣いで皆を見つめて、赤面して、すぐにまた、うつむいた。「乃木坂を想う、気持ちは、合格だから……て。ぜひ俺の、仲間になってくれって……」
「あー言われた言われた!」来栖は嬉しそうにはしゃいだ。
「あの、みんなさぁ、イケメンで、可愛かったり綺麗だったりするのは、偶然? それも審査基準なのかな?」レイは不思議そうに小首を傾げた。
「夕さんと実際に会ったのは、十月ぐらいでしたね」来栖は笑顔ではきはきと言った。
「見た目は関係ないんじゃない?」瑠奈は皆の顔を窺いながら言った。「興味持ったのは、あくまでもSNSのその人達を見てだと思うから」
「あー別に恋人選びじゃないから、とか言いそうですよね」遥香ははにかんで言った。
「え、皆さん、何処で暮らしてるんですか?」璃果はふと疑問に満ちた表情で乃木坂46ファン同盟の五人に言った。
「俺ぁ、埼玉で」天野川は緊張を強いられながら言った。「東京で働いてるんで、仕事帰りとかに、たぶんここに、集まります」
「僕は東京に一人暮らし中だよ」来栖は笑顔で言った。「あんがい近いし、いっぱい来れちゃうなー、あはは」
「俺も一人暮らしなのは同じだ」天野川は言葉を付け足した。
「あたいも秋葉原に一人暮らし、ここには通いですねぇ」兎亜は広い空間を見上げる。「ここ……無駄にでっかくないですか?」
「でかいよね」怜奈は苦笑した。
「わたくしは、しばらくの間、ここの地下五階の九十八号室に泊めていただいておりますわ」咲希は貫禄あるしゃべり方ですらすらと言った。「お金を貯めて、しばらくしたら、皆さんと同じように一人暮らしをする予定です」
「じゃあ会える機会、沢山ありますね」あやめは天使の微笑みで咲希に言った。
「あ、ええ、はい。そうですわね」咲希は慌てるように答え、赤面する。
「駅前さん達にはもう会ったんですか?」レイは気になった事を質問した。
「あー会いました」来栖は最初に答えた。「駅前木葉さんって、びっじんですよねー」
「ダーリンはかなり癖が強かったけど」兎亜は笑った。
「えっとねー……」祐希は思い出したように、皆に説明する。「夕君とぉ、天野川さんとぉ、波平君はぁ、中学からの知り合いみたい。でも、波平君とか、仲、良くないんでしたっけ?」
「磯野は、言わばライバルっす。夕さんは、俺の恩人です」天野川はテーブルからドリンクを手に取って、一口だけ飲んだ。「昔、俺が暴走族にケンカ売っちまった時、集団にボコられる日があったんすけど……。夕さんがそこを通りかかって、一緒に、戦ってくれたんすよ……一生忘れませんよ、あんな人、神だ。ただお互い顔知ってるだけの知り合いなんか、ほうっときゃいいのに、一緒んなってボコられてくださって……」
「数、多かったの?」来栖は痛そうな顔できいた。
「二十人以上いた……」天野川は続ける。「その後っすよ……解せないのは。磯野が、かってに仲間連れて、その族潰しに行ったんです……。潰れはしなかったけど、二十人ぐらいボコして帰ってきたみたいで……。勇者気取りっすよ。んな事したら、夕さんのやってくれた事は何処に行きます? あの野郎は夕さんのしてくれた事を、無にしたんだ……」
「それで、波平君の事嫌いなんだぁ?」祐希は少しだけ驚いた様子できいた。
「大っ嫌いっす!」天野川はきつい表情で眼を瞑った。
「そうかー、同い年で、何でさん付けなのかが気になってたけど、そうなのねー」怜奈は納得の様子であった。
「でもさ、かたき討ちに行ったんじゃくて?」瑠奈は天野川を見つめる。
「そうは言ってましたけど、余計な事っす。俺はもう、夕さんに心を救われた後でしたから……」天野川は、そう言って瑠奈をしばらく見つめた。頬が赤くなる。「あ、あの、別に瑠奈ちゃんの意見がどうのとかじゃあなくてっ」
「え、ああ、うんはい」瑠奈は笑う。
「あいつの、デリカシーが無いところが、ムカつくんです」天野川は呟いた。
 その場の乃木坂メンバーの何人かが、声を合わせて「ああ~」と相槌を打った。
「磯野さん、面白いけど」栗栖は囁いた。
「てめえは黙ってろ、来栖」天野川は間髪入れずに言った。
「夕君はなぜ、こんなにお金持ちなの?」咲希は疑問を問うた。
「自分達でも、学生時代に起業して大金稼いでたし、あ、イナッチっていう人とね。会った? でえ、今は親御さんの大企業に就職してるし」怜奈は答えた。
「そうなんですね」咲希は思い出す。「イナッチさん……、あの、眼鏡の方ね」