二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

忘れないをポケットに。

INDEX|14ページ/31ページ|

次のページ前のページ
 

「飲み会なのにずっと途中から本読んでた人だよねえ?」来栖は可笑しそうに笑う。「へ~んな人だよねー、あの人も」
 比鐘蒼空は、ゆっくりと両耳から、イヤホンを外した。
「はい?」
「なんもてめえには言ってねえよ比鐘」天野川は比鐘を睨む。
「変な人って、言いませんでした?」比鐘は、来栖を見る。「おいらの事、じゃなくて?」
「あっはっは~」来栖は笑う。
「違うよ」あやめははにかんで言った。
「イナッチの事言ったの」レイもはにかんで比鐘に言った。
「そうですか……」
 比鐘蒼空は少し赤面してから、また静かに、両耳にイヤホンをはめた。
「口数は少ないけど、顔が赤くなってる」絢音は面白そうに言った。「うちらの事は、嫌いじゃなさそうだね」
「しゃべるチャンスだよ?」紗耶は比鐘を見つめて言う。「ミーグリでもない時間なのに、しゃべれるんだよ、乃木坂と!」
「そうよね~」悠理はうっすらと微笑んだ。「せっかくファン同盟に入ったんだから、しゃべればいいのに~」
「照れるんじゃないの?」沙耶香は笑みを浮かべた。「緊張するんじゃない?」
「えー、乃木坂で好きな曲はなんですか?」璃果は乃木坂46ファン同盟の五人にきいた。
 来栖栗鼠が元気よく答える。「璃果ちゃんは何ですか?」
「え。と……もう少しの夢」璃果は片手で、そちらは? と示す。
「僕は逃げ水とざざんざざぶん!」来栖は笑顔で答えた。
「俺はぁ、シング・アウトっすかね……」天野川は視線をうつむけて頭を搔きながら答えた。
「あたいはジコチュー、裸足でサマー、シング・アウト、扇風機、ルート246、インフルエンサー、シンクロニシティ、制服を脱いでサヨナラを…、スリー・フォールド・チョイス、てとこかしら」兎亜は斜め上を見上げて囁いた。「一番って言ったら、そんなとこね」
「わたくしは、ガールズルール、僕は僕を好きになる、空扉、君に叱られた、ごめフィン、ですわね」咲希は上品な口調で淡々と言った。「でも、好きな楽曲は無数にありますわ」
「そりゃ僕らもそうだよ」来栖は咲希に言う。「今は一番をきいてるんだから」
「ですから、答えましたわ」
 全員の視線が、自然と比鐘蒼空へと集まる……。
 比鐘蒼空は、ゆっくりとした動作で、両耳からイヤホンを外した。
「おいらは……、気づいたら片想い……とか、意外ブレークとか……釣り堀とか……、アクチュアリーも好きです」比鐘は、誰にも視線を合わせずに、そう呟いた。
「お、新曲も入ってる」怜奈は言った。「ありがとうございます」
「あ。この時間だから、たぶん、もうすぐ夕君たち来ますよ」遥香はそう言って微笑んだ。
「磯野の野郎も、来るんすかねえ……」天野川は遥香を見つめる。
「たぶん……」遥香は肩を上げて答えた。
「え、天野川さんて、怖い人なの?」悠理は屈託のない顔できいた。
「え……」天野川はフリーズする。
「この人、優しいですよ」来栖は笑顔で言った。
「うるせえ」天野川はフリーズを解く。
「まあ、ね。変な人は入っても、怖い人は入れんやろぉ」瑠奈は皆に言った。
「変わり者は多いけどね」遥香は笑った。
「比鐘ぇ、てめえイヤホン外せってさっきから言ってんだろう」
天野川雅樂は、手を伸ばして比鐘蒼空の耳に手をやろうとする。
「やめてね、ケンカは」遥香は天野川を見つめた。
「ケンカじゃなく、て……」天野川は、赤面した。「すいやせんっした」
 遠藤さくらは、エントランスの中央の方向に微笑んだ。
「あ、来た」

       8

「きいちゃん、何飲む?」夕はソファに腰を下ろしながら日奈子に言った。「あ、あとリッスン達も自由に頼んでね。食べ物も豊富にあるから」
「リッスン?」紗耶は顔を険しくさせる。「て誰? 誰の事?」
「はぁ~い」来栖は笑顔で手を上げた。「来栖リス、のリスで、リッスン、でぇす!」
「カフェ・モカ・W生クリーム・フラペチーノ」日奈子はソファに着席した。夕は注文をする。日奈子は来栖を見つめる。「リッスンって呼んだらいいの?」
「きいちゃんに呼ばれるなら、名前がいいなー」来栖は笑う。
「名前、って、リス、だっけ?」日奈子は「うん」と元気よく頷いた来栖に苦笑する。「栗鼠って呼ぶのは、ちょっとなー」
「みいんな来栖って呼ぶから、栗鼠って呼ばれた事ないんだよねぇ~」来栖は寂しげに微笑んだ。
「てめえ、何で俺の横に来た」天野川は磯野を睨み尽くして言った。「殺されてえのか磯野ぉ」
「一生言ってろ、お前は……」磯野はしらけっつらを、笑顔にして言う。「乃木坂ファン同盟のレディ達よ、俺はファン同盟のリーダーの磯野だ。同盟内では恋愛は暗黙の了解だから、俺と付き合ったっていいんだぜ?」
「恋愛は禁止と、そう夕君に聞いてますけれど……」咲希は磯野を一瞥した。
「あーんた、顔はいいけど、ちょっとどこか天然ねえ~」兎亜は磯野を座視で一瞥しながら言う。「なーに、女に飢えてんの? でもダメよ、私ら大切な身体なんだから。心無いセックスはしないわ」
「せ……」稲見はフリーズする。
「はいはい宮間ちゃん、セックスとかはっきり言わない。未成年もいるんだからね」夕は兎亜に苦笑してみせる。「ていうか、乃木坂の前で下品な言動を言うと、駅前さんの奥義食らっちゃうよ」
「駅前さんって、武道家なの?」兎亜は少しだけ想像する。「印象ないわねえ~」
「サーフィンで、板や足の裏に塗るすべり止めのワックスの事を、セックス・ワックスというでござるよ」あたるは過激すぎた言葉に現実逃避している。「それの事でござろう」
「ピュアねえ~」兎亜は笑った。
「兎亜ちゃんは、そういう感じの人なんだね」レイは弱めにはにかんで、言った。「なーんとなく、わかった気がする」
「あたい育ちも口も悪いけど、レイちゃんを愛しているのだけは、理解してほしいわ」兎亜はレイを儚く見つめた。「はうーん……かんわいい!」
「私の事は、知ってくれてる?」怜奈はファン同盟の女子達に言った。
「れなち~! 超絶大好きよ~!」兎亜は笑顔で言った。
「ざきさん、あなたは枯れた大地に咲いた一凛の薔薇ですわ」咲希はうっとりとした表情で怜奈に言った。「知るも何も、歴代のあなたを知っていますとも」
「何で、俺の横に座りやがった?」天野川は磯野を睨みつける。「あえてか?」
「何お前……、キャンキャンキャンキャン、子犬か」磯野は鼻で笑う。
「ねえケンカしてる……」あやめは隣のレイに言う。
「あれじゃない? ケンカぁじゃあないんじゃない?」レイはそちらを見つめながら、あやめにしゃべる。「仲良しってるんじゃない?」
「えなに、誰が本当のリーダーなの?」日奈子はにやけて質問する。「いるの、リーダーって」
「俺だろうが、リーダーは」磯野は顔をしかめて日奈子を見る。「なに、その、今更わかりきった質問……」
「とち狂ってんじゃねえぞ磯野ぉ!」天野川は眉間に皺を寄せて興奮する。「だぁれがてめえの下になんかつくかボケぇ! 夕さんに決まってんだろう!」
「この際だから、決めちゃえば?」紗耶は面白がって提案した。
「えー」沙耶香はうぶく微笑む。「えー誰がリーダーなのー?」
「この場合、普通に夕君じゃない?」悠理は皆の顔を窺っていく。「ですよねえ?」