真白の雲と君との奇跡
ガシリと手を取り高揚した笑顔で言った杏寿郎に、義勇は何秒間か固まっていたけれど、コクンとうなずいてくれた。ロボットのようにぎこちない動きを見るに、もしかしたら、杏寿郎の勢いに押されただけかもしれない。
でも、そんなのささいなことだ。嫌がられていないのならそれでいい。最終的に楽しかったと言ってもらえればいいのだ。
手を握ったままで喜色を示す杏寿郎を、義勇はされるがままに見ている。
パチパチとせわしなくまばたく目はまん丸で、きれいな青いっぱいに杏寿郎の顔が映っていた。
作品名:真白の雲と君との奇跡 作家名:オバ/OBA