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穴場の消し方

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その反応に気を良くして笑みを漏らすこちらの様子が不満だったのか、むっとした表情をしたかと思うと湯からあげた手で顔を押し退けられ、抗議の声が上げる。


「そ、そもそもっ、屋外で事に至るというのが異常だと、何故わからないっ」

「俺とて杏寿郎が本当に嫌がることなどしない。しかし、これでは……なぁ?」


向かい合う形になった互いの腹に、兆しはじめた両者の雄が触れそうになっていた。
遠慮なくこちらの顔を追いやる相手の手をそのままにそれを視線で示すと、さすがの煉獄も言葉が出ないようで顔を真っ赤にして歯噛みする。


「くっ…、君に触れられると……駄目なんだ。場も弁えずに、身体が喜んでしまう…」

「ーー、」


湯に温まった肌が紅潮し、艶やかさが増して目に毒だ。
加えてどこか悔しそうに言う姿に、ぞくりと下腹部が疼いた。
同時に、乱暴な衝動が湧き上がってくる。

食いたい。
四肢をちぎりたい。
臓物を掻き混ぜたい。
泣かせたい。
壊したい。

息が上がる。
人の擬態が解けそうになるのを必死に堪える。
欲に流されるという厄介な事態に陥らずに済むのは、もう傷つけたくない、守りたいという強い信念が根底にあるからかもしれない。
理性であれば崩れることもあるだろうが、俺は誓ったのだ。


「…大丈夫か、君…?」


項垂れて歯を食いしばったまま荒い呼吸を繰り返していると、遠慮がちに訊ねられた。

正直、いかに信念が欲に勝ろうとも、本能に忠実な鬼の身体でその欲を抑えつけ飼い慣らすのは至難の業だ。


「っ…、杏寿郎、許せ…」


唸るようになんとか言葉を絞り出すと、煉獄が湯あたりしないよう強引に体躯を岩場に上げ、反転させる。
膝下のみ湯に浸かり、尻を突き出すような姿勢に慌てたような声が上がったが、こちらの耳には届かない。
性急に逸物を突っ込みたい衝動を捩じ伏せ、後腔に指を差し込んだ。


「うわ!ま、待てっ、こんな…!」

「ああ……杏寿郎…、お前を滅茶苦茶にしたい…」

「ッく、……う」


焦りが出て、煉獄の後ろを解しながら引き締まった大腿に雄を擦り付けると、逸物が湯の滑りを借りて滑らかな肌を行き来する度に、甘い刺激が電気のように神経を走った。
さすがに痛むのか相手からの声はなく、返ってくるのは耐えるような息遣いのみ。


「熱い……熱いな、杏寿郎。お前は身も心も熱い」

「…ふ、…っ」


指を増やして更に後腔を掻き回す。
ぐちぐちといやらしい音に、煉獄の太股に雄を押し当てて腰を振る度にたつチャプチャプという水音が隠すように被さる。
ふと思い立ち、内股の奥にある双球を雄で軽くついてみた。
ほんの戯れのつもりだったが、僅かに煉獄の背がぴくりと反応したように思えて続け様に強く押し込んでやる。
応えるようにびくびくと背が震えると、少しして金の頭がのろのろと肩越しに振り返った。


「…そ、それ…やめてくれないか」


呼吸も荒く、快感に抗うように額に血管を浮き立たせ、眉根を寄せてはいるがその隻眼にはあられもない熱が宿っている。


「…やめていいのか?お前の顔には気持ちいいと書いてあるぞ」

「なっ…、」

くつくつと喉を鳴らして笑い、双球をぐりぐりと虐めてやると面白いほど眼下の身体が跳ねた。

「うあっ、やめ…ッ、ぁ」

「っ、お前の声を聞くと腹が疼く。もう挿れるぞ」


余裕をかまして追い込んでいたつもりだったが、自分自身も相当追い込まれていたらしい。
ぞくりぞくりと着実に衝動が腹の底に流れ込んでくる感覚に耐えきれず、指を引き抜き屹立を当てがうと、慎重に腰を進めた。


「……っん、ぐ…」

「大丈夫か、杏寿郎…」


呼吸を止めないよう、苦しげに息を細く吐く健気な背中を優しく撫でる。
労わりつつも、途中で止めると煉獄がツラいと以前言っていたため奥までゆっくり挿入していく。
熱く絡みつく肉壁に、腰が砕けそうになる快感と締め付けられる痛み。
さすがにこちらの額にも汗が滲む。
歯を食いしばり押し寄せる感覚を紛らわせていると、絞り出すような声がかかった。


「は…入った、か…?」

「もう少し…ッ、」

言いながら腰を押し込むと先端がとん、と行き止まりに触れた。

「これが……一番奥だな…?」


確認するように何度か奥を軽く突いてみる。
煉獄が下で息を詰めるのがわかった。
痛みによるものだと判断し、少しでも和らげてやらねばと相手の逸物に片手を忍ばせるが、僅かながら兆している感触を捉えて思わず手が止まった。
挿入による苦痛で、前回は縮こまっていたはずだ。

半信半疑で先端を奥に当てたまま少し身体を揺すってみると、肉壁がきゅっと収縮し、鼻から抜けるような僅かな息遣いを聴覚が拾った。


「杏寿郎…、少し、動くぞ」


ぼそりと小さく断りをいれ、腰を動かす。
大きく前後すると絡みつく粘膜に負担がかかる可能性もあるため、奥を繰り返しとんとんと突いていく。


「くっ……ぁ、んんっ」

「…あまり、締め付けてくれるなよ…。」

次第に抽挿の幅を広くしていき、手の中の雄を扱く。
煉獄の汗ばんだ背が堪えるようにたわみ、腹部がひくつくのがわかった。
腰を振る度に荒れる水面が、ちょうど張り詰めた相手の双球を擽っているようで、快感に拍車をかけている。

作品名:穴場の消し方 作家名:緋鴉