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ワクワクドキドキときどきプンプン 3日目

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「玄弥の言うとおり、おまえが狙われてるから俺が行くって言ってるんだ、義勇。敵に対して手が足りないからって、おまえが出るのは駄目だ」
「敵の気配が多いなら、なおさら私と錆兎だけじゃ炭治郎たちを守りきれないかもしれないでしょ。義勇もここでみんなを守って。錆兎もだよ」
 義勇も少し目を見開いたけれど、錆兎の驚きはそれ以上だったんだろう。とっさに反論しようとした言葉をグッと飲み込んで、真菰の真意を見定めようとじっと目を見る錆兎に、真菰も引くことなく目をそらさない。
 オロオロとみんなを見回す禰豆子と手を繋いで、炭治郎も錆兎と真菰の様子に不安になりながら、義勇へと視線を移した。
 義勇はいつもの無表情だ。きれいな顔を見るだけじゃ、義勇の感情は読めない。でも。

「わかってるでしょ、錆兎。私たちはまだ小さいんだよ。敵が一斉にかかってきたらつかまるかもしれない。錆兎が人質にされたら、宇髄さんたちも動けなくなっちゃう」
 真菰の言葉の正当性と、自分の意地や矜持をくらべれば、真菰に軍配が上がったんだろう。錆兎は一度きつく唇を噛むとうなずいた。
「……わかった。たしかに真菰のほうが正しい。ありがとな、真菰」
「ううん。義勇もそれでいいよね?」
 言い含める真菰に、義勇が眉をひそめつつもうなずこうとしている。でも、駄目だ。それじゃ駄目だから。

「義勇さん、俺たちは大丈夫です! 宇髄さんや煉獄さんを助けてあげてください!」

 だって、義勇からはとても悲しい匂いがする。悔しい匂いがする。守られるだけじゃ嫌だって義勇が思うなら、炭治郎は応援するだけだ。
 義勇はヒーローなんだから。ヒーローは友達が危ない目に遭うのを放っておいたりなんかしないのだ。

 見上げる炭治郎をじっと見つめ返して、義勇が小さくうなずいた。
「行ってくる」
「はい! 頑張ってください!」

 炭治郎に預かっててくれと花冠を渡してくれる義勇の顔は、いつもの無表情。だけどきれいな瑠璃色の目は、道場でムザンくんの前に立ったときと同じ、強い光を放っていた。

 はぁっ、と、ため息が二つ聞こえて、錆兎と真菰がそろって苦笑した。
「しかたないな。義勇、油断するなよ?」
「こっちは任せて。いってらっしゃい」
 二人にももう義勇の悔しさは伝わってるんだろう。うなずいた義勇とのあいだには信頼が見える。
「ぎゆさん、頑張って!」
 禰豆子が言えば、就也たちも義勇を応援することに決めたのか、大きな声で口々に頑張ってと言い出して。

 子供たちのエールを受けながら愛用の竹刀を手に走り出した義勇の背は、初めて見たときと同じように、大きく逞しく見えた。