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セブンスドラゴン2020 episode GAD2

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「二人は無事なんですか!?」
 二人の安否は、シュウの知りたいことの一つであった。
「あァ。トウジはまあ、当たり前だが、リアンも作戦に参加してる」
 二人は一月前にシェルターに運び込まれたが、すぐに回復してドラゴン討伐作戦にあたっていた。
「リアンは、戦うことを自分で選んだんですか?」
「あァそうさ。選抜試験の時に見てたから分かるだろうが、リアンは能力者だ。だからか、ドラゴンを倒す事に同意したんだ」
 ドラゴンと対峙して戦いになるのはS級能力者のみである。リアンにはその力があった。
 シュウにも戦えるだけの能力があった。しかし、すぐに決心する事はできなかった。
「私が行っても、足手まといにならないでしょうか?」
「何言ってやがる。お前、トウジたちとでかい親玉級のドラゴン、通称帝竜と戦ってた時すげェ力を発揮したそうじゃねェか。自信持てよ」
 シュウは、自信など持てるはずがなかった。帝竜と戦った時何故か意識が曖昧になり、自分の力で戦った記憶がはっきりしていなかったのだ。
「……と、オレとしたことが喋りすぎたか。死を待つか、戦うか。決めるのはシュウ次第だ。じゃあな」
 ガトウは、医務室を去っていった。
 シュウは、ベッドの上に座ったまま考えた。
ーーこんな時、お祖父ちゃんなら何て言うかな……?ーー
 鬼教官と恐れられたシュウの祖父は、何事にも白黒つけないといけない人であった。鬼と恐れられながら、正義感もとても強い人であった。
 彼は戦いの道に進むのを厭わない人物であっただろう。
ーー戦う力……本当に私にあるなら……ーー
 シュウはまた、意識が朧気になった。
「うっ……!」
 シュウの脳裏に声にならない言葉が流れた。
ーー戦いの時はやってきた。最早逃げる道はない……ただその身を以て竜を狩れーー
 言葉が消えると、シュウの意識はもとに戻った。
「戦いの時……」
 ふと、医務室のドアが強く開けられた。更に負傷した自衛隊員が運び込まれたのだ。
 遠目からでも分かるほどの大怪我をしているようだった
「ドラゴンが……つよ、過ぎる……!」
 苦しそうにうわ言を言う自衛隊員を見て、シュウは決意した。
ーードラゴンを倒せば、これ以上怪我人は増えないーー
 脳裏に浮かんだ言葉よりも、実際に怪我をしている人を見ることで、シュウの気持ちはドラゴン退治に向いたのである。
ーー絶対にこれ以上人を苦しめない!ーー
 シュウの決意が固まった瞬間であった。

 Phase3 反撃の狼煙

 場所は新宿御苑の地下シェルター。その最奥には外部と通信のできる作戦指令室がある。
 ここにはイヌヅカ総理ら政界の人間、自衛隊の上層部、そしてムラクモ機関が集まる、人類最後の拠点と言っても過言ではない。
 事態は政界の人間にはどうすることもできず、既に指令の権限はムラクモ機関に一任されていた。
 自衛隊の仕切りもムラクモ機関の手にあり、ドラゴン駆逐の全てはムラクモ機関に託されていた。
 今もまた、各方面の人々がこの作戦指令室に集まり、次の作戦を立てる会議を行っていた。
「四季シュウ。まずは勇気のある決断、ありがとう」
 会議の司会進行を務めていたのは、ナツメであった。その補助には研究員のキリノがあたっていた。
「ヴァイタルチェックも問題ありません。一ヶ月寝ていたのが嘘みたいですよ」
 キリノが言う。
「俺からも礼を言うぞ、四季。本宮と二人ではドラゴンと戦うのに限界を感じていたところだからな」
「ちょっと、それってわたしが役に立たないってこと? トウジ君」
 リアンは口を尖らせた。
「二人では、と言っただけだ。戦力が増えるのは今の状況を鑑みるにありがたい事だからな」
「ちょっと二人とも……!」
 なにやら言い争いになりそうな二人に、シュウが差し挟んだ。
「……お話しを続けてもいいかしら」
 ナツメが状況を収めた。
 全員が黙し、ナツメに視線を向けると、ナツメは話を始めた。
「今のところ作戦は七〇%進んでいるわ。自衛隊とムラクモ機関の共同戦線でね。ここまで来たらドラゴンとの直接戦闘も逃れられなくなるわ。そうなったらガトウやあなたたちS級能力者の力が不可欠になる。必ずね」
 ガトウやナガレ、シュウたち三人がドラゴンに直接対決できるS級能力者である。一人でも欠けては戦いは辛いものとなる。
「ちょっと待ってくンねェか、ナツメ嬢」
 ガトウが差し挟んだ。
「いくらドラゴンと戦える頭数が増えたって言っても、こいつらを帝竜戦につれてくのは無理があると思うぞ」
「もちろん、帝竜の所まで行ってもらうつもりはないわ。三人にはガトウたちをサポートする役割にあたってもらうわ」
 それから、とナツメは、今までずっとモニターの前でキーボードを叩く二人を向いた。
「ナビ、都庁の現状はどうなってるかしら?」
「ナツメ総長の言う通りだ。作戦遂行率七十一%。マモノはほとんど倒せている」
 黒いインナーを身につけ、大きな袖口がまるで翼のような、一風変わった姿の中性的な少年が答えた。
「ですがドラゴンの数は減っていません。このまま手をこまねいていては、またこちらが不利になります」
 少年とほとんど同じ格好をした少女が続けた。
 この二人はよく似ており、兄妹かと思われた。
「Nav.3.6はガトウ隊の支援を、Nav.3.7はトウジ率いる十三班をお願い」
 ナツメは言った。
「了解」
「了解しました」
 二人のナビは立ち上がり、それぞれ担当する部隊に礼をした。
「Nav.3.7。実戦経験の浅い者たちが二人もいるが、安心しろ。俺もサポートする……」
「ねえねえ、さっきからその呼び方、物を扱うみたいで可哀想だよ。せっかく二人ともかわいい見た目してるのにさ」
 リアンが割って入ってきた。
「別にオレは気にならないけどな」
 少年の方のナビが答える。
「私たちはナビです。道具扱いされて然るべき存在です。呼び方など適当で良いのです」
 少女の方のナビも答えた。
「そんなぁ、二人ともノリが悪いなぁ」
 リアンは残念そうにシュウを見た。
「シュウちゃんもそう思わない?」
「私は……」
 シュウは考える。二人の姿形は可愛らしさに、武骨な名前など浮かばなかった。しかし、その辺にもいそうな名前も似合わない気がした。
「Nav.3.6、三六……みろく……Nav.3.7、みーな、はっ!」
 シュウは思い付いた。
「男の子の方はミロク、女の子はミイナって言うのはどうかな!?」
「ミロク君にミイナちゃん。いいよ、いいよシュウちゃん」
 リアンは賛同した。
「ミロク、ねぇ。まあいいよ、好きに呼んでくれ」
 ミロクは、名付けられても淡白な態度のままであった。
「ミイナ……これが私の名前……」
 対するミイナは、満更でもないようだった。
「素敵な名前を貰ってよかったわね、ミロク、ミイナ」
 ナツメは言った。
「さて、お喋りはここまでよ。ガトウは先行しているナガレと合流後帝竜への道を切り開いて。十三班は別にやって貰うことがあります」
 十三班の任務は資材集めであった。ただし、資材集めと言っても、ドラゴンを相手にしなければならない、十分危険の伴うものだった。