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セブンスドラゴン2020 episode GAD2

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「いきなりドラゴンと対峙する任務になるけど、あなたたちにはドラゴン相手でも戦える力がある。バックアップはナビにやって貰うから、安心して」
 ナツメは言った。
 十三班の役目、それはドラゴンの屍体から溢れ出る血の中に存在する魔石、Dz(ディーゼット)を集めることだった。
 これは宝石の原石のような非常に不思議な石であり、加工すれば、あらゆるものになりうる、まさに魔法の媒体である。
「さあ、作戦開始よ。ガトウ隊十班にはミロクが、トウジ隊十三班はミイナがナビゲーションしてくれるわ」
 それぞれナビの担当が決まると、ミイナはシュウたちに小さく礼をした。
「ふつつか者ですが、ナビはしっかりやらせて貰います。よろしくお願いします」
「そう畏まるな、ナビ……ミイナ。俺がいれば容易い任務だ」
 トウジとリアンは、既にドラゴン退治の経験があった。任務の遂行になんら支障がなかった。
 しかし、シュウだけがドラゴンと対峙したことがなかった。その為シュウは不安だった。
「どうした四季? 顔色が悪いぞ」
「あ、いや、私はトウジ君のようにドラゴンを退治したことがないから、少し怖くて……」
「こわがる事なんかないよ、シュウちゃん。意外となんとかなるもんだよ?」
 リアンも戦闘経験があった。人間相手のナイフ使いでもドラゴンに通じたとのことだった。
「シュウ、お前はあの四季教官の孫だ。本当はすげェ力持ってンだろ?」
 ガトウもシュウを励ました。
「……そうでしょうか?」
 シュウは、自分から戦いの道を選んでおきながら怖じ気づく自分が情けなく思えてきた。
 シュウは、もう後戻りできる場所にはいなかった。戦いに身を置いて生きるか死ぬかの戦場に行くしかなかった。
ーーこんな所、お祖父ちゃんに見られたら怒られちゃうよねーー
 恐怖心を残しながらも、シュウは今度こそ決めた。
「分かりました。行きましょう」
 ガトウ、トウジ、そしてリアンにそれぞれ目配せすると、皆笑い返してくれた。
 シュウにとって、戦いの火蓋が切って落とされんとしていた。

 Phase4 『逆サ都庁』

 奪還対象となっている都庁は、ドラゴンの勢力下に置かれ、ダンジョンと化していた。
「これって!?」
 シュウ以外の者は、作戦で訪れているため驚く様子はなかったが、シュウは初めて見る異界になった都庁に驚きを隠せなかった。
「驚いただろう? 都庁の周辺全部まっ逆さまになっているんだ」
 トウジが言うように、大地が天に、空が地になっていた。
 天に地面がどこまでも広がっているような感覚を覚え、地には暗黒の空が気の遠くなるほどの広さをたたえ、日蝕の明かりだけがこの都庁を照らしていた。
「行くぞ、中の重力は元のままだ。漆黒の空に落ちることはない、臆せず進め」
 トウジが先行した。
「大丈夫だよ、行こ?」
 リアンが後に続いた。
 シュウは、これまでに見たことのない風景に、足が竦んでしまっていた。
 それでも勇気を出し、二人の後を追った。
 二人に続いてやって来た都庁の内部は、トウジの言う通り重力は変わっていなかったが、都庁そのものの天井を歩かなければならず、座りの悪さを感じずにはいられなかった。
 都庁に入ると、トウジは左腕にはめた機械仕掛けの籠手を操作し始めた。
「こちら十三班。本部応答願う」
 籠手に向かって話しかけると、籠手のモニターパネルが光り出し、ミイナの姿が浮かび上がった。
『こちら本部。都庁に到達したようですね』
「これから先はどこへ向かえばいい? ナビを頼む」
『ここから先上に……いえ、下に向かってください。都庁十階に今回の目的のドラゴンがいます。そのドラゴンの討伐、並びにDzの回収が今回の作戦行動になります』
「了解した。速やかに目的地にゆく。オーヴァ」
 トウジは通信を切った。
「聞こえていたと思うが、この都庁の十階が俺たちの目的地だ。敵はドラゴンのみではない。マモノも討伐対象だ。ぬかるなよ、四季、本宮」
 トウジは、二人に注意喚起する。
「いやー、今日もすごいね。何度来ても鳥肌が立っちゃうよ」
 リアンは言う。
「シュウちゃんもそうじゃない?」
「……こんな所本当に大丈夫? 突然大穴が空いてあの真っ暗な空にまっ逆さまなんて事はない?」
 シュウは不安の局地にいた。
「重力は感じてるように元のままだ。急ぐぞ」
 トウジはぶっきらぼうに言うと、回廊の天井を歩いていった。
 シュウは、天井という抜ける可能性の高い物の上を行くのに、恐怖心があった。
「四季、本宮! 敵だ。マモノが現れたぞ!」
 回廊を進んでいると、マモノが三体出現した。
 ラビという兎のマモノとエアーグラスという大きな蝶のマモノ、そしてマモノ化したオオツノシカである。
「戦力に大差はない。四季、お前はあの兎と戦え。リハビリには丁度いい相手だ」
「ええ!? こんな所で戦うの!?」
 戦力は勝り、負けるはずのない相手であったが、場所に怯えていたシュウは戦いにも恐れをなした。
「もたもたするな。早く戦え! いらん怪我をするぞ。俺はシカを殺る!」
「じゃあ、わたしは蝶々をやっつけるね」
 トウジがオオツノシカを、リアンがエアーグラスと相手取る事になり、シュウはラビとの戦いから逃れられなくなった。
ーー……怖いけどやらなきゃーー
 シュウは、帯びていた刀、加賀清光を抜いた。
 抜刀したシュウを見て、ラビは戦意をあらわにした。
 ラビは、持ち前の素早い動きでシュウに迫ってきた。そして鉄をも穿つ前歯を突き立てんとした。
「……えいっ!」
 勝敗は一瞬であった。
 シュウは、向かってくるラビの動きに合わせて突きを放っていた。
 突きは迷いなくラビの小さな額を穿ち脳を貫いていた。
 シュウの強力な突きで、生命力を失ったラビは霧散した。
「あ、あれ……?」
 倒した本人であるシュウが一番倒した事が信じられない様子であった。
「やるじゃんシュウちゃん!」
 既に毒の刃でエアーグラスを倒しているリアンが駆け寄ってきた。
「燃え尽きろ!」
 トウジも魔法の炎でオオツノシカを倒した。
 三人の手によってマモノは全滅した。
「戦いにすらならなかったな」
 トウジは言った。
「まぁ、もう慣れちゃったからね、マモノの相手は」
 リアンも余裕を見せる。
「あれ……こんなもんだったかしら?」
ーー四季、やはりお前は……ーー
 シュウ同様、驚かずにいられなかったのはトウジであった。
 負けるはずのない相手をあてがったつもりであったが、シュウはたった一撃でマモノを仕留めてしまった。リハビリなど最早不要だと思われた。
「体が動くわね。これならドラゴンとも戦えるかも」
 シュウが自信を持ち始めた時だった。
「油断は禁物だぞ、四季。今の戦力では、俺たち三人束になってようやく互角の戦いになる。ドラゴンとはそういう相手だ」
「心配しすぎだよ、トウジ君。きゆうってやつだよ」
「杞憂で済めばいいが……やはり分からん相手に変わりはない。要心して進むべきだ」
「そろそろ先に行かない? 二人とも」
 シュウは言った。