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セブンスドラゴン2020 episode GAD2

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「二人の言い分は分かるわ。未知の力があるドラゴンには注意しなきゃだし、きっと倒せる相手だと自信を持つことも大事。ここで気をもんでいても仕方ないわ」
 シュウは、リーダーシップを発揮した。
 十三班のリーダーはトウジであるが、物事を慎重に進めるトウジのリーダーシップと違うものを、シュウは発揮したのだった。
「……そうだな。四季の言うのももっともだ。進むぞ!」
 シュウのリーダーシップを感じながら、トウジは先を急ぐ事にした。
「うん、行きましょ」
「わあ、二人とも待ってよぉ!」
 シュウたちは、逆さの廊下を進んでいくのだった。
「そう言えば四季、この環境には慣れたのか?」
「えっ? あれ……忘れてたわ」
 シュウは、恐怖心を感じなくなっていた。
「忘れた、だと? あれほど恐れていたというのに?」
「トウジ君の言う通り、慣れれば何ともなかったね」
 トウジは、シュウの適応力の高さに驚くしかなかった。訓練を積んだ自衛隊でも恐れをなす者が多かったというのに、シュウは歩き、マモノとの戦いの内に順応していたのである。
「どうしたの、トウジ君?」
 呆けてしまったトウジの顔を、シュウは覗き込んだ。
「ああいや、気にしないでくれ。さあ先を急ごう」
 マモノはその都度退治しながら、シュウたちは進んだ。戦う度に手応えを感じ、レベルアップしている実感を得ていった。
 そうして進んでいる内に、シュウたちは都庁の十階、今回の作戦行動の場所へたどり着いた。
 ピロピロ、とトウジの籠手が鳴った。
「こちら十三班」
 本部との通信だった。
『こちら本部。目的地に到着したようですね。このフロアに三体のドラゴンの反応があります。ドラゴンの戦力はマモノとは桁違いです。全員、個々の力を過信せず、三人の力を合わせて戦ってください』
「了解した。して、ドラゴンの反応は?」
『そこから二時の方向、一匹のドラゴン反応があります。休眠中なのか、そこに止まって動きがありません。戦うなら今がチャンスです』
「全て了解した。これよりドラゴン討伐を開始する。オーヴァ」
 トウジは通信を切った。
「四季、本宮。これからドラゴンとの戦いとなる。本宮は多少慣れているだろうが四季は初めてだ。俺たちが先導する、付いてきてくれ」
 いよいよドラゴンとの戦いになり、シュウは不安が募った。
ーー私にできるのかな……?ーー
 マモノとの戦いには慣れてきた。しかし、ドラゴンは深紅のドラゴンを相手取った時以来である。しかも記憶も曖昧である。不安になるのも仕方なかった。
 ミイナのナビどおりの方向にドラゴンはいた。
「静かに」
 トウジは小声で、それでもシュウとリアンには聞こえる声音で言った。
「あれを見ろ、ドラゴンだ」
「前にも見たやつだね。ドラゴハンマードって言ったっけ?」
 リアンは、以前に退治したドラゴンを覚えていた。
 頭部が金槌のようになっている恐竜のような姿をしたドラゴンである。
 ミイナの言っていたように、敵は眠っていた。バックアタックで奇襲を仕掛けるのがドラゴンとの戦いの基礎であり、
今が最大の好機であった。
「よし、四季、ファーストアタックはお前に任せる」
 突然の提案に、シュウは驚き目が白黒してしまった。
「なんで私が!? 私初めてなんだよ!」
 シュウはつい、大きな声を出してしまった。はっ、となってドラゴンを見た。
 ドラゴンはまだ眠っていた。一同はひとまず安心する。
「四季、この三人の中で攻撃力が一番あるのはお前だ。ファーストアタックで大打撃を与え、俺たちが後に続く。これがドラゴン退治の基本だ」
 理屈は分かるものの、やはりシュウは恐怖心が勝っていた。
「四季、いつ奴も目覚めんとも知れん。覚悟を決めてくれ」
「……分かったわ。私にしかできないのよね? なら、やったろうじゃない!」
 シュウは、刀を抜いて、眠るドラゴンの背部を狙った。
「くらいなさい!」
 シュウは、ドラゴンの背中を袈裟に斬った。刃は狂いなくドラゴンを斬り付けた。
 斬られたドラゴンは、背中から虹色の血を噴き上げ、痛みの咆哮を上げた。バックアタック並びファーストアタックは成功した。
「よし、奇襲は成功だ、後に続くぞ本宮!」
「オッケー!」
 リアンは、マナを猛毒に変えてナイフに纏わせドラゴンに向かった。
「ぶすっといくよ!」
 ナイフは迷いなくドラゴンの心臓付近を貫いた。
「止めは俺が刺す!」
 トウジは、魔力を集中させマナを炎に変えた。
「燃え尽きろ!」
 炎がドラゴンを逆巻いた。
 背中に大きな斬激を受け、心臓付近に猛毒を与えられ、さらに炎に巻かれ、ドラゴンは事切れていた。
 ドラゴンの頭から輝く物体が転がった。
「Dzだ。回収するぞ」
 頭部がハンマーになっているドラゴンらしく、そこから Dzが取れた。
 トウジは、Dzを拾い上げた。
「四季、お前のおかげで労せず回収できた。礼を言うぞ」
「そんなお礼なんて。奇襲が上手く行ったのはドラゴンが寝てたおかげだし、大して役には立ってないよ」
 作戦の立役者と言えるシュウは、謙遜するのだった。
「そう謙遜するな、四季。ほら、これがお前のおかげで手に入ったDzだ」
 自信をつけさせようと、トウジはDzをシュウに差し出した。
「へえ、これがDz。ドラゴンの一部なんて言うもんだからもっとグロテスクなのを想像してたけど、まるで宝石みたいね」
 シュウの言う通り、Dzはまるで宝石のような輝きを放っていた。
 この宝石のような物体は、あらゆるものになる力がある。鉄や木材、貴金属と言うように有機物、無機物問わず変質する力があった。
 トウジは、専用のホルダーにDzを仕舞った。
「残る目標Dzは二つだ。この階にいる二匹を狩るぞ」
 トウジが言うと同時に、籠手が通信を受けて通知音が鳴った。
「こちら十三班」
『こちら本部です。どうやら一つ目のDzを手に入れられたようですね』
「偶然が重なって大した事なく手に入れられたようなものだ。それでミイナ、何かあったのだろう?」
『はい、少々厄介な事態になりました。残る二匹のドラゴン反応は二匹近接しているのです』
 ドラゴンは、近くで戦う気配に敏感であり、近接して存在していては、戦いに乱入してくることは確実である。
 ミイナからの通信から鑑みるに、ドラゴンを二体同時に相手しなければならなかった。
『一匹でも辛い戦いなのに、二匹一度に相手するのは自殺行為です。危険を感じたら迷わず撤退してください』
 忠告するミイナであったが、トウジの答えは否であった。
「いや、大丈夫だ。俺に策がある。ドラゴンの位置はどこだ?」
『正気ですか、複数のマモノを相手するのとは段違いなのですよ』
 忠告を続けるミイナであったが、トウジはよっぽど策に自信があるのか、引かなかった。
「退路は確保してある、万が一策が失敗しても退くことはできる。ドラゴンの位置を教えてくれ」
『……仕方がありませんね。危険が迫ったら絶対に逃げてくださいね。そこから十時の方向に二体のドラゴン反応があります』
 ミイナはついに根負けし、ドラゴン反応の位置を教えた。
「了解した。これよりドラゴン討伐を開始する。二人とも行くぞ」