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セブンスドラゴン2020 episode GAD2

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 籠手には、コンピューターが内蔵されており、タッチパッドとミニキーボードが取り付けられていた。
「問題なく着けられたようだな。ではパスワードを設定してくれ」
「えっ、パスワードですか?」
「忘れそう。誕生日でもいいかな?」
 二人は言われたようにする。
「初期設定はこれだけだ。あとは内蔵のアプリを使って好きなように使ってくれ。さしあたっては通信機能はどうだ? アプリの中にムラクモ機関全員の連絡先が登録されている……」
 ワジが説明している途中に、チロチロとシュウの籠手が鳴った。
 シュウは、タッチパネルに浮かぶ応答の表示を押した。
『よう、シュウ。見事Dzを集めて籠手を貰ったようだな』
 通信先の相手はガトウであった。
「ガトウさん、どうして私に通信を?」
『ワジのおっさんから教わらなかったか? 籠手にムラクモ全員の連絡先が入っているってな。初期設定が済ンだようだからお前の籠手に通信したンだよ』
 それよりも、っとガトウは話題を変えた。
『都庁の攻略もそろそろ九割がた進ンだ。てなワケでオレとナガレで帝竜とランデブーと行く。お前たちには自衛隊のバックアップを受けて、ドラゴン退治をしてほしい。退路を作っておいてほしいンだ』
「ですがガトウさん。都庁にいた自衛隊の方々を見ましたが、すでに装備が限界になってましたよ。これじゃあ私たちのバックアップも難しいんじゃあ……」
『安心しろよ。ムラクモ機関の技術力をなめて貰っちゃあ困るぜ』
「よーしできたぜ!」
「レイミの最高傑作の完成です!」
 ガトウが言うが早いか、ケイマとレイミの声がした。
 二人の完成させたもの、それは自衛隊の兵装であった。アサルトライフル数丁に手榴弾百発分が造られていた。『分かっただろう? そンじゃオレは行くぜ。バックアップは頼んだぜ、シュウ!』
 ガトウとの通信は切れた。
    ※※※
 十三班は、開発班の造り上げた兵装を持って再び逆さまの都庁へとやって来た。
『コール十三班』
 到着と同時にトウジの籠手が鳴り、ミイナとの通信が行われた。
「こちら十三班。どうしたミイナ?」
『これから先の目的地をお知らせします。都庁の十一階に前線で戦う自衛隊員が待機しています。十三班にはそこを目指してほしいのです』
「心得た。すぐに向かう」
『それからもう一つ報告があります。今から都庁を進んでいては時間の無駄です。なのであるものをご用意しました。都庁の入り口まで向かってください』
 三人は、怪訝な気持ちになりながらも、ミイナの指示通り都庁の入り口へと歩いた。
「これって……!」
 シュウに続いて二人も驚きを見せた。
 都庁の入り口にあったもの、それは緑に輝く菱形の物体であった。
『驚きましたか? それは脱出ポイントと言って、触れればここから新宿御苑の地下シェルターへ脱出することも、指定の脱出ポイントに瞬間移動もできる優れものなのですよ』
 まさに魔法のような性能をした菱形であった。
「それじゃあ、それを使えば一気に都庁の奥に行けるってこと?」
 シュウが訊ねた。
『可能です。現在都庁の十一階にアクセスしています。私に言っていただければアクセスポイントを変えることができます』
「ならばすぐに向かうぞ四季、本宮」
『待ってください、トウジ。現在十一階に大きなドラゴン反応があります。十分な準備をしてから向かうことを推奨します』
「準備か。回復薬は十分だ。俺たちのヴァイタルにも異常はない。問題はないと思うぞ」
『それならば良いのですが、無理は禁物です。危険を感じたらすぐに退却してくださいね』
「分かっている。さて、この装置だが触れればよいのだな」
 トウジは進み、都庁入り口の脱出ポイントに手をかざした。すると次の瞬間、トウジは光に包まれ、脱出ポイントに吸い込まれていった。
「本当に消えた!?」
 シュウは驚いてしまった。
「わあ、何だか面白そー! 次はわたしが行くね!」
 リアンは臆することなく、脱出ポイントに触れた。トウジと同様光に包まれその姿を消した。
 残るはシュウのみであった。未知の力によって人を飛ばす物体に少し恐れを抱いていた。
『シュウ、二人は間違いなく私の指定したポイントに行きました。恐れることはないですよ』
 ミイナは、シュウの心中を察して言葉をかけた。
「……そうよね、私も早く行かなきゃ。ありがとうミイナ、気遣ってくれて」
 シュウは、心を決めて脱出ポイントに歩み寄った。
 シュウは、すーっ、と呼吸を深くして、脱出ポイントに触れた。
 少し眩しい光を感じながら、全身に温かさも感じつつ、シュウは光に包まれ、脱出ポイントに吸い込まれ、消えていった。
 次に気がついた時、シュウは都庁の中にいた。
 先に脱出ポイントに触れた二人もそこにいた。
「四季も来たか。空間転移、それも人体に影響もないとは。どれほどの技術力で可能にしているのだ?」
「そんなことよりトウジ君、あれがミイナちゃんの言ってたドラゴンじゃないかな?」
 リアンの指す方向にいたのは、赤い鱗をしており、手は無く、代わりに翼を持っていて、青い牙が特徴的なドラゴンであった。
『コール十三班。そこから十二時の方向、ドラゴン反応を感知しました。分類名はサラマンドラです』
「サラマンドラ……差し詰め炎の精霊サラマンダーから取ったところか?」
 トウジは言った。
「気をつけて、二人とも! ドラゴンに気づかれたわよ!」
 シュウは刀を抜いた。
 ドラゴンは、ドタドタとシュウたちに駆け寄っていた。
「燃え尽きろ!」
 トウジは、魔法で炎を放った。ドラゴンの足止めはできたものの、まるでダメージを受けてはいなかった。
「やはり効かぬか……!」
「私が行くわ!」
 シュウは、ドラゴンへと一気に間合いを詰め、跳び上がってドラゴンを袈裟に斬った。
「なんて固さ……!?」
 シュウは手に痺れを感じた。
 このドラゴン相手では、力ずくでの戦いは通じないものと思われた。
「どいて、力じゃダメなら小細工だよ!」
 リアンが素早い動きでドラゴンへと迫ると、組み付いてドラゴンの肋間付近にナイフを突き立てた。
「隠し味だよ」
 守りの薄い肋間を攻められ、ドラゴンは咆哮を上げた。
「えい!」
 リアンは、降り際にドラゴンの顔面を両足で蹴り、宙返りしながら後ろに下がった。
 リアンの小細工の正体は、間もなく明らかになった。
「ドラゴンの動きが……!?」
「鈍くなった……!?」
 リアンは、ドラゴンに毒を与えていた。
ーーさすがドラゴン。毒で一撃とまではいかないみたいだねーー
 リアンは、手応えを感じていたが、ドラゴンを倒すまでには行かなかったことに納得ができなかった。
「シュウちゃん!」
 止めを刺そうにも、トウジの炎は効かず、リアン自らの武器では致命傷を与えられないと悟り、リアンはシュウに呼び掛けた。
「止めを刺して! いくらドラゴンの鱗が固くても、毒で弱ったいまなら急所を突けるはずだよ!」
 こうしている内にも、ドラゴンの毒は全身に回り、腐敗が始まっていた。
「分かったわ!」
 シュウは、八相構えから切っ先をドラゴンへ向けた。
「行くわよ」