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セブンスドラゴン2020 episode GAD2

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 シュウは、ドラゴンへと駆け寄り、間合いに入ると切っ先をドラゴンに向けて手を伸ばした。
「突き貫く!」
 シュウは、ドラゴンの腹部に突きを放った。
 シュウが切っ先を抜くと、ドラゴンは特有の虹色の血を噴き上げ倒れた。
「やった、うまく行ったわ! リアン、あなたのおかげよ」
「いやいや、シュウちゃんの力だよ」
「謙遜するな本宮、お前たち二人の力と知略の勝利だ」
 トウジは、倒れたドラゴンからDzを回収しながら言った。
「それよりも許せよ。俺は戦いにまるで役立っていなかった。炎の効かないドラゴンがいようとは思わなかった」
「トウジ君……」
「炎の勢いに油断していた。これからはマナパワーを十分に使えるようにならんとな」
 トウジは反省していた。
「さて、邪魔なドラゴンは消え去った。先を急ぐぞ二人とも」
 トウジは気を取り直し、シュウたちを先に連れて行った。
 先ほどドラゴンが立っていた先は、破られた壁があった。更に先へと進むと、目が飛び出そうな風景が広がっていた。
 下に日食があり、フロワロの花弁が舞い散り、都庁の破壊された瓦礫の浮かぶとてつもなくおぞましい道が広がっていた。
「これが進むべき道なのか……!?」
 トウジは、籠手のレーダー機能を使って確認した。
 レーダーの指す先に自衛隊の反応があった。道は他にない。つまりこれが正しい道であった。
「でも不思議だよ。体がすごく軽い、お空も飛べそうなくらいにね」
 リアンは言った。
 ここはドラゴンによるダンジョン化が強く現れており、重力さえもほとんど無であった。
 リアンはその場でぴょんぴょん跳んでみた。
「やっぱりだね。本気でジャンプすれば、浮いてる建物を伝って先にす進めるんじゃないかな?」
「そんな事が可能なのか?」
 トウジは半信半疑であった。
「けど先に進むにはここを行かないとダメなんでしょ? 大丈夫、行ける、行けるよ! おっ先ー!」
 リアンは、先陣を切ってその場からジャンプしてしまった。
「リアン!?」
「本宮!?」
 シュウとトウジは同時に驚きの声を上げた。
 リアンの体は、そのまま日食が照らす空へとまっ逆さまになると思われた。
 しかし、二人が思うような事にはならず、リアンは吸い込まれるように外壁に足をつけた。
「ほら、大丈夫だったでしょー!?」
 リアンは、跳んだ先から手を振っていた。
「なんと危険な事を……」
「見ているこっちがヒヤヒヤするわね……」
 シュウとトウジは言った。
「ほらぁ、大丈夫だから、二人も早くおいでよー」
 リアンは変わらず手を振っていた。
 道がこれしか無い以上、二人も行かざるを得なかった。しかし、日食の照る遠い地面を見ると、吸い込まれるような感じがして二の足を踏んでしまう。
「ええい、ままよ! ここを越えずして先へ進めないならば……!」
「えっ!? トウジ君!」
 トウジは、助走をつけて足場を跳んだ。トウジの体は逆さまの空に落ちることなく、リアンのいる浮遊する外壁へと立った。
「……本当に平気だとは、帝竜の作るダンジョンはまさしく面妖だな」
 トウジは、自分が跳んだ足場へと向き直った。
「四季、何も恐れることはない。ただ真っ直ぐに跳べば大丈夫だ」
 トウジなりのアドバイスであった。
「そんなこと言ったって……」
 吸い込まれそうな漆黒の空は、見まいと思っても、嫌でも目に入ってしまう。
「シュウちゃん、下を見ないで前だけ見れば怖くないよ!」
 リアンは言う。
「四季ともあろう者が臆病風に吹かれているはずが無いだろう? 勇気を出せ!」
 向こう側では、二人がシュウを応援していた。
「……分かったわ……」
 シュウは身構えた。
「行ったろうじゃない……!」
 これ以上不様な姿を見られたくはなかった。
「二人とも待たせたわね、今行くわよ」
 シュウはその場で跳ねてみる。確かにリアンの言うように、空も飛べそうなくらい体が軽かった。
 シュウは、勢いをつけてその場からジャンプしようと地を蹴った。
「って、ええー!?」
「四季!?」
「シュウちゃん!?」
 シュウの体は逆さまの空へと高く舞い上がった。重力のほとんどない空間で、真下に力を加えたために、反作用で空へ向かってしまったのだ。
 数秒が経ってからシュウは逆さまの空から下りてきた。そしてトウジらの所まで着地した。
「し、死ぬかと思った……」
 シュウは冷や汗をかいていた。
「大丈夫か、四季? 今のは下へのクトルを強くかけてしまったからこうなってしまったのだ。斜めにベクトルをかけなければならん」
「跳ぶというより走り幅跳びする感じだと思えば大丈夫だよ」
 二人はそれぞれアドバイスした。
「さあ、先を急ぐぞ」
「待って、まだ心の準備が!」
「大丈夫、走り幅跳びするつもりだよ」
「ふえー……」
 シュウは行かざるを得なくなった。
 その後、建物の外壁という道なき道を進む十三班であったが、やがて目的地へとたどり着いた。
「なれるとあんな道も悪くないね!」
 リアンは、終始あの道のりに恐れを抱くことはなかった。
「ねえ、帰りもあれを進むの?」
 シュウは逆に、恐れおののいていた。
「自衛隊に頼めば脱出ポイントを作って貰えるはずだが、班を分けて貰えるかどうか。うん?」
 トウジは何かに気が付いた。
「どうしたの、トウジ君?」
「あそこにいるの赤髪の女は堂島凛(どうじまりん)と言って、その隣にいる背の高い男は生駒正義(いこままさよし)だ。拠点が近くでよかった。装備品を渡して脱出ポイントを作って貰い、シェルターまで帰還できるぞ」
 善は急げ、とトウジは自衛隊の二人に接触した。
「待たせたな、堂島、生駒。兵装を一通り揃えて持ってきた。受け取ってくれ」
「これは……!?」
 驚いたのはリンである。
「アサルトライフル十五丁に手榴弾百発分とは、これはありがたい。前線で戦う仲間は、すっかりくたびれた装備で戦っているからな。これで巻き返せる!」
 イコマは喜色を浮かべていた。
「またムラクモの世話になった……」
 対するリンは顔に暗い影を落とした。
「リン、トウジたちは危険を冒してここまで来てくれたんだ。その言いぐさは無いんじゃないか?」
 イコマは諭すように言った。
「本来なら国民を助けるのは、私たち自衛隊だ。それなのに見てみろ、人を助けるのさえムラクモ機関がやっている。私たちの存在意義が無いじゃないか!」
 リンは、今の自衛隊の役目に情けなさを感じていた。
「リン……」
 イコマは、リンの気持ちは分かっていた。しかし、それをムラクモ機関にぶつけるのは違うと思っていた。
「私たちの力じゃ、せいぜいマモノを倒すのがやっとだ。ドラゴンには傷一つつけられない。これでは私たちは役立たず……!」
 不意に、リンの籠手からブザーが鳴った。
「何事だ!?」
 リンは驚きの中通信を受けた。
『ドラゴンが最前線に……! 死傷者多数。援軍を要請されたし!』
「なんだと!? 分かった、今行く! 前線を下げて耐えるんだ」
『それは駄目よ堂島リン』
 通信に割って入ってきたのはナツメであった。
「ムラクモの総長、駄目とはどういう事だ!?」