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無未河 大智/TTjr
無未河 大智/TTjr
novelistID. 26082
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D.C.III.R.E

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「それで今日は行ったどんな用事ですか?」
「さっき、そろそろ来ると思ってた、なんて言ってたじゃないか」
「貴方の言葉で、それを聞きたいのですよ」
「……」
 俺は溜息を吐いた。
 まあ、いい。
 それが目的だ。
「話ってのは、この前の件だ」
「答えを出していただけたのですね」
「ああ」
 俺は自分の思いを目の前の主人に語って見せた。



     ◆     ◆     ◆



 時は移ろい新年度を迎え、生徒会は新体制を取ることになった。
 年度内最後の選挙で、予科一年から最後の生徒会役員としてメアリーを迎え、新生徒会長にはチェルシーが就任した。
 私はそもそも図書館島の閲覧レベルに興味があって生徒会役員になったわけで、会長になってやろうなんてことを考えてるわけではなかった。
 少しでもユーリさんに近づきたかった、なんて下心はあったけど。
 そのユーリさんは風見鶏を卒業した。
 無論学生ではなくなった為、退寮して新居を構えている。
 で、今日は新年度最初の生徒会の活動日。
 学園長や新本科二年の先輩含め、全員揃っている。学園長の話では、一人遅刻してる人がいるらしいけど。
 一体誰なんだろう。新入りの人かな?
「――というわけで、今年度も頑張っていきましょう」
 学園長の少し長めなお話と、新生徒会長チェルシーのすごく長い話が終わり、それぞれの仕事に戻ろうとした時だった。
「あら、私ですね」
 不意にシェルの着信音が鳴った。どうやら学園長の物だったらしい。
「……どうやら、遅刻していた彼がもうすぐ来るみたいです」
 学園長がそう言った瞬間、部屋の扉をノックする音が聞こえた。
 部屋にいる全員が扉の方を見た。
「――すみません、遅れました」
 扉が開き、現れたのは一人の男性だった。
 身に包んだ服には見覚えがある。確か、宮廷魔術師の制服だったはず。
「あら、初日から遅刻だなんて感心しませんね」
「お言葉ですが学園長、朝から仕事振っておいてそれはないですよ」
「そうでしたっけ?」
「惚けやがって……」
 宮廷魔術師の人が眉間に皺を寄せる。
 まあ、学園長の冗談なんだろうけど。
「あ、あの貴方は……?」
 そろそろ痺れを切らしたか、驚いてフリーズしていた清隆君が聞いた。
 まあ、そりゃそうだよね。
「そう言えば紹介がまだでしたね。では、お願いできますか?」
「了解した」
 宮廷魔術師の人は、中央奥の学園長席の横に立ち、自己紹介をした。
「本年度より着任した、王立ロンドン魔法学校、学園長補佐の宮廷魔術師、ユーリ・スタヴフィードだ。以後宜しく」
 その宮廷魔術師とは、先日風見鶏を卒業した、私の恋人のユーリさんだった。
「ユーリさん、卒業したはずでは!?」
「落ち着きなさいよ、清隆。別に変じゃないでしょ?」
「そう言うリッカさんはなんで落ち着いてるんですか?」
「それくらい想像の範疇よ」
「なるほど……」
 なんか、デジャヴ。初めて清隆君がユーリさんと会った時も同じような反応をしてた気がする。
「カレン、知ってた?」
「勿論」
「教えてよ~」
「だって、隠してた方が面白いじゃん」
「そうだけど~」
「宮廷魔術師になるところまでは予想してたけど、まさか学園に戻ってくるなんてねぇ」
「はいはい、チェルシー、カレン、エミリア。ちょっと静かにしなさいな」
「リッカさん、すみません」
 同期とお話してたら怒られた。
 ま、仕方ない。
『カレン、黙っててくれてありがとうな』
 不意にユーリさんの心の声が聞こえた。
 このことは事前にユーリさんから頼まれていた。私は私で皆の反応を見たくて二つ返事でOKしてた。
「……」
 私はユーリさんに目で返事した。
 ――いえいえ、お安い御用ですよ。
 ……なんて。
「おやおや、お熱いですねぇ、二人共」
 聞こえた声はシャルルさんのものだ。
「仲が良いのは良いことだけど、ユーリさんもカレンちゃんも、お仕事を疎かにしてはいけませんよ?」
「そんなことするわけないだろ」
「そうですよ!公私はちゃんと分けます」
「それならいいけどね」
「元会長、改めユーリさん。学園長補佐、と言うことはどのようにお仕事されるのですか?」
 今度は巴さんが聞いた。
「基本的には学園長の職務の一部を俺が担当することになる。あと、学園長に対するボトムアップ事項を俺が纏めることになる。これまで生徒会役員達が聞いてきたものを個別に学園長に確認してもらっていたが、そこに俺が間に入ることで、学園長の負担を軽減する目的がある。普段から見てたが、学園長は多忙すぎたからな」
「確かに。学園長は学園以外にも仕事がありますからね」
 ……あっ、そうだった。メアリーは学園長がこの国の女王様だって知らないんだった。
「というわけで、今後は私の補佐として、ユーリさんにも宮廷魔術師としてのお仕事の傍らで、風見鶏の運営を手伝っていただくことになります」
「これからも宜しく」
 最後にユーリさんの言葉で、改めてこの新年度最初の生徒会が始動する。
 結局ユーリさんがこの部屋にいるせいか、去年とあんまり顔触れが変わらないのが難点だけど。
 ……いや、去年ユーリさんはこの時期は世界中を回っていたから、変化はあるのか。
 今年こそは、大きな事件もなく平穏に過ごせたらいいな。





作品名:D.C.III.R.E 作家名:無未河 大智/TTjr