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無未河 大智/TTjr
無未河 大智/TTjr
novelistID. 26082
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D.C.III.R.E

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「私と清隆くんの隠し事が対価ですか。私は構いませんよ」
 ちょっと待った。
「対価って、そう言うことですか?」
「それ以外に考えられる?ユーリさんとリッカさんがここまで話したがらないことを、話して貰うための対価。そうなったら、私たちにも隠し事があるんだから話しなさい、なんて言ってるようなものだよ」
「なるほど」
 その発想はなかった。
 だからリッカさんはあんな言い回しをしたのか。
 というか、さっきから引っ掛かってるこれはなんだろう?
「それは私の秘密にしてることと一緒に話すよ」
 ――ゾクリ、と。
 カレンさんの言葉を聞いて、背筋に悪寒が走った。この正体も後で分かるのだろうか。
 それは一旦置いといて。
「それじゃあ、四人掛けのボックス席でも座りましょうか」
「いや、普通に横一列にしよう。その方が違和感は少ない」
 俺の提案はユーリさんに却下された。
 違和感ってなんだろう。
 それを説明される間もなく、俺達はユーリさんの言葉通り、通路を挟んだ横一列に座ることになった。
「さてカレン。俺達の間に道標を作ってくれ」
「了解~」
 座った途端、カレンさんがユーリさんの指示で魔法を使う。
「清隆くん、私の魔力に反発せずに受け入れてね」
「分かりました」
 言葉の直後に感じる、カレンさんの魔力の流れ。これに反発せずに、受け入れる。
『聞こえる?』
「えっ」
 頭に響く声。間違いなくカレンさんのものだ。
『声出しちゃダメだよ~。周りの人に変な目で見られちゃう』
 なるほど、確かに。
 幸い、今のところは周りの人には特に気付かれていない。
『さて今度は清隆の番ね』
 今度はリッカさんの声。
 なるほど、今は俺達四人の心が繋がっているのか。
『そういうこと。それじゃ次はこの道標を使って私達に夢を見せてちょうだい』
 夢を見せる。これまで手を繋いで行ってきた夢見の魔法を、これを通じてやるのか
『察しが早いな、清隆』
『それじゃ、頼むわね』
 分かりました。
 俺はカレンさんが作った道を伝って、四人に夢見の魔法を掛けた。



     ●     ●     ●



 目が覚めた時、俺は草原の上に立っていた。
「上手く行ったようで何よりね」
 声のした方を向くと、リッカさんが立っていた。
 と言うことは。
「やっほー」
「ここまで出来たら大したもんだ。やっぱりお前ら二人は魔法使いとして相性がよさそうだ」
 カレンさんとユーリさんも居た。
「状況を整理してもいいですか?」
「ええ」
 俺は少し考え、その結果を言葉にした。
「今ここは、俺の作った夢の中。そこにカレンさんの魔法を通して四人が繋がっている」
「そうね」
「付け加えると、夢の外側を覆うような魔力。これはユーリさんとリッカさんのもの?」
「正解よ」
「一応保険みたいなもんだ。お前ら二人なら大丈夫だと思うが、もし魔力が切れた時にその魔力を消費してこの夢を維持するようになってる」
「なるほど。それで眠っている俺達に違和感が無いように、ボックス席じゃなくて、横一列に座ることにしたと」
「話の飲み込みが早いね。流石――」
 何か言い掛けて、カレンさんは口を噤んだ。
 いや、もう答えを言ってるようなものだ。
「そういうことですか。カレンさんは心を繋げる魔法を使える」
 姫乃みたいに。姫乃の場合だと、家族に対しては無類の力を出せるけど。
「正確には心を読む魔法が得意なの。これはその応用。カテゴリー3だからね。ユーリさんに鍛えて貰ったわけだよ」
「カテゴリー3。凄いですね」
「君に言われたくないなぁ。カテゴリー4の夢見の魔法使いさん」
「えっ、どうして……。って、そうか」
「うん。偶々君の心を読んじゃった事があってね。ある程度の事は知ってる。流石に隠してるってことは事情があるんだろうから、誰にも言ってないよ」
「それは、ありがとうございます」
 でも、そうか。さっきからの違和感の正体はこれか。
 ちょくちょくカレンさんに心を読まれてたわけか。
「でも、そんな妄りに心を読んだりしてないよ。普段はリミッターを掛けてる」
「そのリミッター、俺にも使ってくれないか?」
「え、嫌だよ」
「即答かよ」
「だって、大好きな人の事はなんだって知りたいじゃん」
「お前……」
「はいはい、夫婦漫才はそこまで」
 ユーリさんとカレンさんの問答をリッカさんが止める。
 そう言えばカレンさんのユーリさんに対する態度が柔らかくなってる気がする。
 遠慮が消えてると言った方が正しいかも。元々カレンさんはユーリさんを尻に強いてるような感じはあったけど。なんか心境の変化でもあったのだろうか。
 まあ、いいか。
「で、ユーリさんにリッカさん。これで私と清隆くんの話してもいい秘密は打ち明けたわけですけど」
 その言い方だと、他にも隠し事があるって言ってるようなものでは。
 いや、俺にもそれはあるか。
「そうだな」
「ええ、ここなら話しても良いわね」
 ユーリさんはその場に腰掛け、手招きした。カレンさんがそれに応じ、ユーリさんの膝の上に腰掛けた。丁度ユーリさんがカレンさんを抱きすくめる形だ。
 ここまで自然にやってるから何も言えなかったけど、恥ずかしくないのだろうか。
「清隆、あれやってよ」
「流石に恥ずかしいですよ」
「別に俺達以外誰も見てないぞ」
「そうだよ。結構気持ちいいよ」
「……」
 まあ、いいか。
 俺もその場に腰掛けた。それを見てリッカさんは俺の膝の上に座る。
 ふわり、とリッカさんのいい匂いがする。
 なるほど確かに。いや恥ずかしいけど。
「さて、カレンに質問」
「なんでしょう?」
 座って落ち着いたのか、リッカさんがカレンさんに問いかけた。
「私は幾つに見えるかしら?」
 聞くの、それなのか。
 ブッ込むな。
 そんな俺の思いとは裏腹に、カレンさんは冷静だ。
 なんでだろ。
「学園長と対等に話されてますし、何より私でも貴女の心の奥が見えないんですよね。大きな力を持っているのは確か」
「さっき妄りに心を読んだりしてない、とか言ってたくせに」
「すみません、ユーリさんが気を許してる人のことが気になっちゃって」
「まあ、いいわ。それで質問の答えは?」
「……100歳くらい、でしょうか」
「その心は?」
「たまにピーターパンに例えて物を言うことがありますよね。作品としては、大昔からある作品です。それの初版とかに影響されたと推測します。その上でたまにユーリさんと同じような何かを懐かしむ顔をしてますから、それ以上に長生きと仮定してます」
「よく私のこと見てるのね」
「まあ、清隆くんのペンダントから何かの反応のようなものを感じることがありますから。ティンカーベルって言うんですよね、そのペンダント」
 膝に座るリッカさんに睨まれる。
 そんなに変なことしてるか、俺?
「まあいいわ。カレン、その考えはいい線行ってる。正解はもっと上だけどね。ざっくり150年は生きてると考えてくれて構わないわ」
「やっぱり」
「あら、驚かないのね」
「驚いてますよ。想定の範囲内ってくらいです。それに聞かれた時点である程度は察してましたし」
「まあ、そうよね」
 何かを納得して頷くリッカさん。
作品名:D.C.III.R.E 作家名:無未河 大智/TTjr