最終兵器静雄
彼を後ろに乗せ、自転車で走った。公共の交通機関は目撃される可能性が高い。
人目を避けるように、ただひたすらこぎ続けた。
「臨也、見つかった、ミサイルが」
腰に回されていた腕が震える。
振り返ると、彼に貸した上着の中で何かが暴れるのが見えた。
静雄の背中から、歪な機械音が聞こえる。
「見るな・・・見るなッ!・・・・・んっ!」
彼が叫ぶ。背後の上空で、鋭い爆発音が響く。
発射されたミサイルに、静雄が自分が搭載していた弾頭を当てたのだ。
爆風に押されるようにして、自転車をこぎ続けた。
それでも、軍の力に高校生が太刀打ちできる筈が無い。
静雄は呆気なく引き戻された、塵灰舞う戦場へと。
作品名:最終兵器静雄 作家名:蒼氷(そうひ)@ついった